| −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 鳥の囀りが聞こえていた。 「ん．．．」 シンジが目を開ける。 天井に、外の光があたって、明るくなっていた。 「朝か．．．」 そう呟いて、シンジが体を起こす。 左側を見ると、レイが寝息を立てていた。 レイを起こさないようにベッドから抜け出して、洗面所に歩いていった。 シンジが、顔を洗って戻ると、レイが、ベッドの中から、シンジを見た。 「おはよう。レイ。」 微笑みながらシンジが言う。 「おはよう。シンジ。」 そう言って、レイが、目を閉じ、唇をつきだす。 ほんの少し、苦笑いをしながら、シンジが、レイの唇に唇を重ねた。 「今日は、バイトでしょ？」 シンジが、トーストをかじりながら言う。 「うん。休みは、土日だけ。」 レイが、トーストを口から離して言う。 「とりあえず、往復だけしようか。」 「そうね．．．」 沈黙が流れた。 「海は、少し調べておくから。第３新東京市って、どう行ったらいいのか、よく分からないし。」 スープを飲みこんで、シンジが言う。 「そっか。そうだよね。観光地じゃないし。」 スプーンを持った手を休めて、レイが言う。 「うん。まあ、調べてみないと分からないよ。」 「うん。」 レイが、スープを口に運んだ。 地下鉄内 「それじゃ、夕方ね。」 レイが、立ちあがりながら言う。 「うん。」 シンジが、微笑みながら手を振る。 レイが、手を振りながら、地下鉄を降りていった。 戦略自衛隊 松代駐屯地 資料室 「おはようございます。」 「「おはよう。」」 シンジが、ドアを開けると、青葉と日向が、いつものように、端末に向かっていた。 「今日から、休みなんだ。」 日向が言う。 「ええ。試験、終わったので。」 シンジが答える。 「夏休みは、どこか行くのかい？」 青葉が、シンジを見て言う。 「ええ．．．海に行くと思います。」 「海か。いいね。」 「あと、第３新東京市に。」 「．．．」 日向と青葉が、シンジを見る。 沈黙が流れた。 「彼女のリクエスト？」 日向が口を開く。 「ええ．．．」 シンジが、少しためらいがちに口を動かす。 「そう．．．」 「．．．」 沈黙が流れた。 「それで、第３新東京市って、今は、どう行けばいいんですか？」 シンジが口を開く。 「どう行くんだろう。」 そう言いながら、日向が、青葉を見る。 「そうだな．．．途中までは、電車で行けるよ。前は、鉄道が引かれてたんだから。御殿場くらいかな．．．」 青葉が、キーボードを叩きながら言う。 「そうみたいだね。あとは、車かな。」 青葉が、シンジを見る。 「そうですか。」 「車の免許は、持ってたっけ？」 「申請すれば、貰えるみたいですけど。」 「ああ、ここの訓練受けてるんだ。」 「ええ。」 「そう．．．」 青葉が、シンジから視線を外し、遠くを見るようにした。 青葉が、シンジを見る。 「まあ、貰うのもいいんじゃないかな。ただ．．．」 「ただ？」 シンジが、青葉を見ながら言う。 「もしかしたら、許可が必要かもしれないから、それも兼ねて、結城さんに、連れていってもらうっていうのは、手かもしれない。」 「ああ。なるほど。」 「まあ、デートにはならないけどね。」 「ええ。けど、それは、いいかもしれません。」 「海は、どこに行くの？」 「湯河原か、沼津あたりにしようかと思ってますけど。」 「第３新東京市の後？」 「ええ。あそこには、長居しても仕方ないような気がするので。」 「なるほど。なら、それがいいかもしれない。御殿場から行けるから。」 「そうですね。結城さんに聞いてみます。」 「うん。」 「ありがとうございます。」 そう言って、シンジが、キーボードを叩き始めた。 結城レイコ 執務室 シンジがドアをノックする。 「はい。」 中から、レイコの声がした。 「碇です。」 「開いてるわ。入って。」 「はい。」 シンジが、ドアを開けて中に入り、ドアを閉めた。 シンジが、レイコの机の前の椅子に腰を下ろす。 「今日は、どうしたの？」 レイコが口を開く。 「第３新東京市に行く件なんですけど。」 シンジが口を開く。 「ああ。その話ね。」 「ええ。あそこに行くのには、特別な許可とか必要ですか？」 「うーん。どうだったかな。ちょっと待ってくれる。」 「はい。」 レイコが、端末のキーボードを叩き始める。 「そうね。一応、私達の．．．戦自の許可がいるみたい。まあ、シンジ君の場合は、申請を出してもらえれば、いいんじゃないかな。」 「そうなんですか。じゃあ、彼女は、結構、面倒かもしれませんね。」 「うーん。けど、国連がいいと言えば、何の問題もないわ。」 「ああ。なるほど。」 「ただ、車がいるけど。」 「ええ。それで、相談なんですけど、結城さん、連れていってくれませんか？」 「は？」 レイコが、虚をつかれたような顔をする。 「ええ．．．まあ、そうなんですけど．．．」 シンジが、ばつが悪そうに、頭を掻く。 「うーん．．．なるほど。それは、一理あるわね。」 腕を組んで、難しい顔をしながら、レイコが言う。 「ええ。青葉さんに、そうアドバイスされたので。」 「なるほど．．．ちなみに、どういう予定のつもり？」 「最初に、第３新東京市に行って、その後、湯河原に、１泊か２泊しようと思ってますけど。」 「そう。いづれにしろ、第３新東京市には、車で入らないといけないというわけね。」 「はい。」 「了解。調べておくわ。それで、私が、付くのがベストなら、そうするし、そうでなければ、別の方法を用意するから。」 「分かりました。お願いします。」 「シンジ君、運転できるんだっけ？」 「申請すれば、貰えると思いますけど。」 「なるほど。一応、申請しておけば？」 「分かりました。」 「じゃあ、おおまかな日程とか決まったら、教えて。細かいことを詰めましょう。」 「はい。」 「他には、何かある？」 「いいえ。」 「ＯＫ。それじゃ、また。」 「はい。失礼します。」 「はい。」 シンジが立ちあがり、軽く頭を下げて、部屋を出ていった。 「第３新東京市ね．．．」 レイコは、端末で、何か調べて、電話を取り上げた。 資料室 「「それじゃ、お先に。」」 青葉と日向が言う。 「お疲れ様でした。」 シンジが、モニターから二人に、視線を移して言った。 「さてと．．．」 シンジが、レポートを片付けながら言う。 「今日は、夕飯、何にしようかな。」 カバンを肩にかけ、シンジが立ちあがった。 メゾン松代 ドアを開けて、中に入ると、灯りが、中からもれていた。 「ただいま。」 「おかえりなさい。」 中から、レイが出てきた。 「今から、夕飯作るから。」 「うん。ありがと。ご飯は炊いておいたから。」 「うん。分かった。」 シンジが、靴を脱いで、スリッパを履く。 「シンジ。」 レイが、呟く。 「うん。」 シンジが呟いて、レイの唇とシンジの唇が重なる。 二人の舌が絡んだ。 シンジが、唇を離す。 レイが、目を開いて、シンジを見た。 「ちょっと待ってて。おかず作るから。」 シンジが、レイを見る。 「うん。」 レイが微笑んだ。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− モニターのこちら側 Genesis 5:44 完 |