| −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「レイ？」 シンジが口を開く。 「何？」 レイが体を預けたまま、小さく呟いた。 「海、どこにしようか。第３新東京市は、多分、泳げないから。」 腕を組んだまま、レイが体を離す。 「そうね．．．」 「．．．」 「どこがいいかな．．．」 「．．．」 「シンジは？」 「そうだね．．．」 「．．．」 「第３新東京市の近くがいいよね。」 「うん。」 「一番近いのは、湯河原かな。」 「そうなの。」 「うん。あとは、よく分からないや。沼津も、海水浴場あるかな。」 「そう．．．」 「伊豆半島をもっと南に行くと、色々あるみたいだけど、遠くなるから。」 「じゃあ、湯河原か、沼津？」 「うん。」 「近いところでいいよ。」 「じゃあ、湯河原にしよう。始めに、第３新東京市に行って、それで、夕方に湯河原に着いて、その日は、そのまま泊まることにしようか。」 「うん．．．そうかな．．．」 レイが、シンジの腕を引き寄せ、体を預けるようにする。 「レイ？」 「．．．」 沈黙が流れた。 居酒屋 天狗 「何にする？」 メニューを持って、レイを見ながら、シンジが言う。 「じゃあ、生ビールに、揚げだし豆腐とアスパラサラダ。」 レイが言う。 「僕は、生ビールと、鳥のピリから揚げに、ゴーヤーチャンブルー。」 「以上でよろしいでしょうか？」 シンジがレイを見る。 レイが頷いた。 シンジが、店員の方を見て言う。 「とりあえず、これで。」 「かしこまりました。」 店員が、歩いていき、調理場に注文を復唱している。 「お待たせしました。」 店員が、生ビールのジョッキと枝豆の皿を置いていく。 「ごゆっくりどうぞ。」 店員が歩いていった。 「じゃあ、とりあえず、試験の終了を祝って。」 シンジが、ジョッキを持って、レイの方に差し出す。 「うん。乾杯！」 「乾杯！」 レイが、ジョッキを、シンジのジョッキに軽くあてる。 キンッ、というガラスのぶつかる音がした。 フフ。そんな風に微笑みながら、レイが、ジョッキに口を付け、ビールを飲んでいく。 シンジもビールを飲んだ。 レイが、息を吐きながらジョッキを置く。 「おいしい。」 微笑みながら、シンジを見た。 「暑いしね。」 微笑みながら、シンジは、ミサトのことを思い出していた。 『お疲れ様。』 シンジが頭の中で呟く。 『お疲れ様。』 シンジの頭の中で、レイの声がした。 「私達、ずっと一緒にいられるよね。」 カルーアミルクの入ったグラスを見ながら、レイが呟く。 シンジが、レイを見て、そして、レイを見ていた。 レイが、グラスの縁に指を滑らせる。 「ね．．．」 レイが呟く。 「うん．．．」 シンジが呟いた。 「うん．．．」 グラスの縁に指を滑らせ、ほんの少し微笑みながら、レイが呟いた。 「４６７３円になります。」 店員が言う。 「はい。」 シンジが５０００円札を出した。 「はい。」 レイが、シンジの手のひらの上に、２３００円を乗せる。 「うん。ありがと。」 微笑みながら、シンジが言う。 「ううん。」 レイが微笑んだ。 居酒屋 天狗 前 ２１３５ 「どこか寄ってく？アンミラとか。」 シンジが口を開く。 「家に行こう？甘いものは、途中で買えばいいし。」 レイが、シンジを見つめて言う。 「分かった。じゃあ、そうしよう。」 「うん。」 微笑みながら、レイがシンジの腕を取り、歩き始めた。 ファミリーマート 須坂店 レイとシンジが、アイスを眺めていた。 「アイスがいいかな．．．」 レイが呟く。 「そうだね。アイスもいいかも。ケーキは？」 シンジが答える。 「うん。ケーキとか、ゼリーとか、ヨーグルトもいいかな。」 「水は？」 「水は、冷やした麦茶でいいから。」 「そっか。」 「じゃあ．．．」 レイが、ゼリーのコーナーに歩いていき、コーヒーゼリーを買い物かごに入れた。 「とりあえず、これかな。シンジは？」 「じゃあ、僕は、これ。」 シンジが桃のゼリーを取り、買い物かごに入れる。 「うん。あと．．．」 レイが、スナック菓子のコーナーに歩いていく。 レイが、ポテトチップスを入れた。 「じゃあ．．．」 シンジがトルティアチップスを入れる。 「あとは．．．」 レイが、アイスのコーナーに行って、パフェ風のものを取り、かごに入れる。 「シンジは？」 「じゃあ、僕は．．．」 シンジが、レモンのシャーベットを、かごに入れた。 「いい？」 レイが聞く。 「うん。」 「じゃあ、買ってくるね。」 「うん。」 シンジが、雑誌を眺めている。 「お待たせ。」 レイの声がした。 「うん。」 レイの方を見て、シンジが答える。 「持ってくれる？」 レイが、袋をシンジに差し出す。 「うん。いくらだった？」 袋を受け取りながら、シンジが言う。 「１２３０円。」 「了解。家で払うね。」 「うん。」 レイが、シンジの腕に腕を絡めた。 須坂ハイツ ４０２号室 「アイス、すぐ食べる？」 シンジが聞く。 「うーん。とりあえず、シャワー浴びる？」 レイが答えた。 「そうだね。」 そう言いながら、アイスを冷凍庫に入れた。 「先に入っていい？」 レイが聞く。 「いいよ。」 「ありがと。ちょっと待ってて。」 「うん。」 シャワールームのドアの開閉音がした。 シンジが、ベッドにもたれていた。 「お待たせ。」 レイが、バスタオルを巻いて、シンジの前に立った。 「うん。じゃあ、浴びてくるね。」 シンジが立ちあがる。 「シンジ．．．」 レイが、立ちあがったシンジに、もたれるように体を預けてくる。 「レイ．．．」 シンジが、腕の中のレイを見る。 レイがシンジを見上げた。 「シンジ．．．」 レイが目を閉じる。 「レイ．．．」 シンジの唇が、レイの唇に重なり、舌が絡んだ。 シンジが、唇を離す。 レイが不思議そうな顔をする。 「シャワー浴びてくるよ。」 シンジが、微笑む。 「．．．うん．．．」 レイが、真顔のまま頷いた。 レイが、ベッドに腰を下ろしていた。 「お待たせ。」 シンジが、レイに声をかける。 シンジを見て、レイの表情が、パッと明るくなる。 「うん。」 レイが微笑む。 「アイス食べる？」 レイに近づきながら、シンジが言う。 「その前に．．．シンジが食べたいな。」 苦笑するシンジ。 レイに引き寄せられて、シンジが、ベッドに倒れこんだ。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− モニターのこちら側 Genesis 5:43 完 |