シンジとレイが、語学の予習をしていた。
「ね。」
シンジが、小さな声で言う。
「何？」
レイが、シンジを見て言う。
シンジが、レイの耳に口を近づける。
「今度の日曜日に、戦自の人からお花見に来ないかって、誘われたんだけど。」
シンジがレイを見る。
レイが、シンジの耳に口を近づける。
「何人くらい来るの？」
シンジが、レイの耳に口を近づける。
「２、３人かな。サードインパクトの前に、僕と、以前の綾波がいた組織の人だから、死んでしまった人が多いんだ。もしかしたら、他の課の人とかと一緒で、２、３０人かも。」
レイがシンジを見て、そして、視線を窓の外に逸らした。
「そう．．．」
レイが呟く。
シンジが、レイを見ていた。
レイが、シンジを見る。
「止めておこうかな。」
「そう．．．そうだね。」
シンジが視線を落とす。
「うん．．．けど、シンジと二人では行こうね。」
シンジが、レイを見る。
レイが、シンジを見て微笑んだ。
 

「そろそろ行こうか。」
シンジが、腕時計を見ながら言う。
「そうね。」
そう言って、レイが、ノートパソコンを閉じる。
「お花見、何時行こうか？」
シンジが、ノートパソコンをデイパックに入れながら言う。
「そうね。土曜とか、午後、講義が無いから、うまく合うといいんだけど。」
「そうだね。お昼食べちゃおうか。」
シンジが、立ちあがって歩き出す。
レイもそうした。
「あ、そっか。それいいかも。お花見しながら食べるんでしょ？」
「そう。コンビニで買っていってもいいし。」
「そうね。それがいいな。」
「うん．．．」
「じゃさ、どこに行こうか。結構、見所、色々あるんだよ。松本城とか、城山公園とか、長野の城山公園もあるし、須坂も臥竜公園とかあるみたいだよ。」
「臥竜公園．．．そう言えば、桜が咲いてる公園あるわ。
  そっか。色々あるね．．．」
「うん。」
「ちょっと考えとく。」
「次は、別の教室なんだっけ？」
「うん。私、社会学だから。」
「それじゃ。」
「またね。」
レイが、手を振りながら、１０号館の方に歩いていった。
 

図書館

シンジが、ノートパソコンで、経済学の資料を眺めていた。
「お待たせ。」
シンジが声の方を見る。レイが微笑みながら、シンジを見ていた。
「ううん。」
シンジが、微笑んで、ノートパソコンを閉じる。
「行こう。」
シンジが、立ちあがる。
「うん。」
レイが、微笑んだ。
 

地下鉄内

「お花見、長野にしようかな。」
レイが少し大きな声で言う。
シンジがレイを見る。
「いいよ。」
シンジが答える。
「うん。じゃあ、そうする。」
「了解。」
レイが、シンジに微笑みながら、シンジの手に手を重ねる。
シンジが、レイに微笑んだ。
 

４／１９（土）
１６号館２１教室

「それでは終わります。」
教授が、そう言って、教室を出ていく。
「終わったね。」
シンジが言う。
「うん．．．」
レイが、シンジを見て、言う。
「けど、雨かぁ。」
レイが、窓の外に視線を移しながら言う。
「そうだね。どうする？」
「あんまり強くないから、ちょっと行ってみる？」
「そうだね。けど、明日は、晴れるみたいだし。」
「うん。じゃあ、ちょっとだけ。」
「分かった。長野？」
「．．．松本城、行こうか。」
「じゃあ、食堂で、お昼食べてく？」
「うん。」
「ＯＫ。」
シンジが、デイパックを持って立ちあがった。
 

松本城

「ちょっと、風が強い感じ。」
レイが言う。
「そうだね。建物がないせいかな。」
シンジが答える。
「そっか。ちょっと失敗。」
「けど、長野も似たようなものだから。」
「公園よね。」
「うん。」
「桜、綺麗だけど、ちょっと嫌かな。」
「そう。帰る？」
「うん。ごめんね。」
「ううん。風邪ひいたりするといけないから。帰ろう。」
「うん。」
バス停の方へ、来た道を戻り始めた。
 

４／２０ １１：００
長野駅改札前

レイが、ぼんやりと、改札の方を見ていた。
「お待たせ。」
シンジが、レイに声をかける。
「シンジ。」
声の方を見て、微笑むレイ。
「ごめん。遅くなって。」
「ううん。私が早く来ただけだから。」
レイが、シンジの腕に腕をからめる。
「行こうか。」
「うん。」
二人が歩き出した。

「お昼、何か用意してある？」
シンジが聞く。
「ううん。ごめん。コンビニで買うのでいい？」
レイが、申し訳なさそうに答える。
「あ、別に謝ることはないよ。僕も、今朝、洗濯したりしてたから、全然用意してないし。」
「ふふ。私も。」
「それとも、どこかで食べていく？」
「せっかくだから、桜の下でたべましょう？」
「了解。」
 

城山公園

桜が満開の園内は、いたるところにシートが敷かれ、食べたり飲んだり、歌ったりして、桜を楽しむ人であふれていた。
「凄いね。」
シンジが呟く。
「そうね。」
レイが答える。
「どこか、空いてるかな。」
目を配りながら、二人が歩いていく。

桜の下から少し外れたところに空きを見つけて、シートを敷いた。
「やっと座れたね。」
シンジが言う。
「凄く混んでるのね。」
レイが答える。
「初めて来たから、場所を取るのが、こんなに大変だとは思わなかったよ。」
「私も、外から眺めるだけだったから。」
「ま、いいや。お昼、食べよう？」
「うん。」
シンジが、コンビニの袋からジュースを、デイパックからお寿司を取出した。
レイが、コンビニの袋からサンドイッチを取出した。

「お寿司、おいしいね。」
いなり寿司を食べながら、レイが言う。
「そうだね。」
シンジが言う。
『大丈夫だった？』
『ええ。』
『そう。よかった。』
「お寿司食べてる人、多いね。」
周りを見まわしながら、レイが言う。
「なんとなく、合うんじゃないかな。雰囲気とか。」
シンジが答える。
「そうかもね。」
レイが、微笑みながら言った。

「そろそろ行く？」
桜餅を食べながら、シンジが言う。
「この後どうするの？」
レイが、シンジを見る。
「あっちの．．．」
シンジが、手を伸ばす。
「善光寺の裏の桜坂が、桜が綺麗みたいだから、そこをぶらぶら歩こうかなって思ってたけど。」
「桜坂．．．綺麗そうね。」
「そうらしいよ。」
「そうなんだ。じゃ、行こう？」
レイが、顔を輝かせる。
「分かった。」
シンジが、微笑んだ。
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