「そろそろ行く？」
シンジが口を開く。
「うん。」
レイが頷く。
シンジが頷いて、鞄とトレイを持って立ちあがった。
レイが、バッグを持って立ちあがる。
 

地下鉄車内
「ね。」
レイが少し大きな声で言う。
「何？」
シンジが答えた。
「合鍵って、作ってもいいの？」
「合鍵．．．ちょっと聞いておくよ。」
「そう。」
「レイは、作ってもいいの？」
「分からない。作ろうと思ったこともないし。」
「そう。まあ、勝手に作っても、すぐばれると思うけど。」
「そうね。」
沈黙が流れた。

「今日、夕方、空いてる？」
レイが言う。
「うん。けど、明日の準備とか色々あるんじゃないの？」
シンジが答える。
「うん．．．」
「明日、大学で会おうか。」
「うん。」
「分かった。校門で、いい？」
「うん。」
「じゃ、校門に８時半かな。」
「うん。分かった。」

列車が減速する。
「じゃ、私、ここだから。」
レイが立ちあがる。
「うん。明日、大学で。」
シンジが、レイを見る。
「うん。それじゃ。」
レイが手を振りながら、列車を降りていく。
『またね。綾波。』
『ええ。』
列車が走りだし、レイが見えなくなった。
 

戦略自衛隊松代駐屯地 資料室

「おはようございます。」
「「おはよう。」」
シンジが、資料室に入ると、青葉、日向が端末に向かっていた。

シンジは席に着くと、端末のスイッチを入れ、メールを送った。
レイに合鍵を渡してもいいかという内容の、レイコへのメールだった。

何度目かの昼休みを告げるベルが鳴った。
「行こうか。」
青葉と日向が立ちあがる。
シンジも立ちあがった。

３人が開いている席に腰を下ろす。
誰からともなく、定食に箸をつけた。
皿の上には、コロッケとメンチカツ、キャベツの千切り、レタスのサラダ、そしてご飯と味噌汁が付いていた。

「今日で、昼は最後だっけ？」
青葉が言う。
「ええ。多分。」
シンジが答える。
「そうか。寂しくなるね。」
日向が言う。
「まっ、休みのときとか、来てみてよ。俺達は、あそこにいると思うから。」
青葉が言う。
「はい。」
シンジが答えた。
 

３人が、芝生の脇の通路を歩いていた。
「そろそろ、花見かな。」
日向が言う。
「あと２週間くらいだっけ？」
青葉が答える。
「多分そう。シンジくん、今年はどうする？」
日向がシンジの方を見る。
「そうですね。」
シンジが、相槌を打つ。
「まあ、彼女が、来たそうだったら、来てよ。」
「はい。」
 

昼のシフト終了のベルが鳴った。
「「それじゃ、お先に。」」
青葉と日向が言う。
「お疲れ様でした。」
シンジが言う。
青葉と日向が、部屋を出ていった。

シンジがメールを見ると、レイコから、特に問題はないようだというメールが来ていた。
 

第２東京大学 校門

辺りは、新入生とサークルの勧誘で、ごった返していた。
シンジは、少し早く来て、校門から少し駅よりに離れた所に立っていた。
「シンジ。」
声の方を見ると、紺のスーツを着たレイが立っていた。
「．．．おはよう。レイ。」
シンジが、レイを見て言う。
「おはよう。どうしたの？」
「スーツ、似合うなって思って。」
「クス。ありがとう。」
「行こうか。」
「うん。」
二人が歩き出す。
『おはよう、綾波。』
『おはよう。碇君。』
二人が並んで、門の中に入っていった。
 

大講堂
「本日、ここに、２０２０年度学部入学式を挙行するにあたり、大学を代表して、新入生諸君、ならびに、ご列席のご家族・友人の皆様に対し、心からお慶びを申し上げます。

．．．

それでは、最後に、入学おめでとう。」
総長の挨拶が終わり、いくつかアトラクションのようなものがあって、入学式が終わった。

「長かったね。」
シンジが口を開く。
「ホント。」
レイが、やれやれという感じで、言う。
「次は、どこだっけ？」
「１６号館の１１教室みたい。」
「えーと．．．あっちかな？」
「そうみたい。」
「じゃ、行こう。」
「うん。」
 

１６号館１１教室
「それでは、理II系コースのオリエンテーションを始めたいと思います。

．．．

それでは、ご苦労様でした。」

新入生達が、次々に席を立っていく。
「後は、生協の登録位かな．．．手続きとかは、特にないみたいだし．．．」
シンジが、書類を眺めながら言う。
「そうね。」
レイが相槌を打つ。
「もうお昼だよね。」
「うん。」
「生協の登録して、食堂で食べる？それとも、外に出て食べる？」
「そうだな．．．登録混んでなかったら。」
「そうだね。
  じゃ、行こうか。」
「うん。」
シンジとレイが立ちあがった。

生協の登録は、テントが出ていて、すぐに終わった。

「食堂．．．この前は、中央食堂に行ったから、今日は、第２食堂にしようか。」
シンジが言う。
「うん。いいよ。」
レイが答えた。
 

第２食堂
「何にしようか。」
シンジが、ショーケースを見ながら言う。
「大体同じみたいね。」
レイが言う。
「そうだね。」
「じゃあ、私は、明太子スパゲティーかな。」
「僕は、じゃあ、トンカツにしようかな。」
「トンカツかあ。」
レイが言う。
「トンカツにする？」
「全部は、食べられないのよね。」
「ダイエット？」
「それもあるけど、脂っこいから、２切れくらいで食べられなくなっちゃうの。」
「なるほど。僕の、少し食べてもいいよ。」
「あ、じゃあ、私のスパゲティーと、ちょっとだけ交換ね。」
「ＯＫ。そうしよう。」
「うん。」
 

「お待たせ。」
シンジが、トレイをテーブルに置き、椅子に腰を下ろす。
「ううん。」
レイが、微笑んだ。
「食べよう。」
「うん。貰っていい？」
「どうぞ。」
レイが、トンカツを１切れ取り、口に入れた。
「おいしい。」
レイが微笑んだ。
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