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『なんでもいいよ。』
沈黙の後、レイが言う。
「え．．．」
『碇君？』
「はい？」
『もう。聞いてなかったの？』
「なんでもいい、って言ったんだよね？」
『なんだ、聞いてたんだ。』
「うん。」
『特に思いつかないから、なんでもいいよ。』
「そう。
実は、何あげたら喜んでもらえるか、よく分からなくて。」
『ふふ。まあ、そうだよね。私も、碇君の誕生日に、何あげたらいいか、よく分からないし。』
「そうだよね。まだ、会ったばかりだし。」
『うん。だから、碇君に会えればいいよ。』
「．．．そう。」
『ね、今度の日曜は空いてる？』
「うん。空いてる。」
『そしたら、ディズニーランド行こうよ。』
「いいよ。」
『やったー。一人じゃ行けないから、今まで、行ったことないんだよね。』
「そう言えば、僕も、行ったことないや。」
『でしょ？ふふふ。楽しみ楽しみ。』
「待ち合わせ、どこにしようか？」
『うーん。碇君が決めて。』
「長野駅に．．．８時くらい？」
『うん。いいよ。』
「じゃ、長野駅中央改札口に８時ね。」
『うん。分かった。』
「それじゃ。」
『うん。またね。』
「うん。」
『ガチャ。ツー。ツー。ツー。』
シンジが受話器を置いた。
『綾波．．．』
『．．．』
シンジが、電話器を見ていた。
３／２９ ７：５０ 長野駅中央改札口
シンジが、改札口を見ながら、ぼんやりと立っていた。
「碇君。」
シンジが、声の方を見ると、白いコートを着たレイが立っていた。
「おはよう、綾波。」
シンジがレイに微笑む。
「うん。おはよう。」
レイが微笑んだ。
「じゃ、行こうか。」
「うん。」
列車内
「定期って買えるんだっけ？」
レイが言う。
「え？ああ。どうなのかな。まだ、学生証がないから買えないんじゃないかな。」
シンジが答える。
「あ、そっか。
なんか、ここのところ、第２新東京に行くことが多いから、定期があればいいなって、思っちゃった。」
「うん。通学定期って、結構安いんだよね。」
「そう。まあ、大学だと、毎日行くとは限らないから、本当に安くつくかは、よく分からないけど、大学以外でも行くみたいだし。」
「そうだね。まあ、それも、時間割が分かるまでは、分からないけど．．．」
シンジが、レイを見る。
レイがシンジを見ていた。
「４／１から、それを一気に決めるんだと、結構大変そうだね。」
「そうね。」
そう言いながら、レイが、前を見る。
「同じクラスだといいね。」
レイが呟く。
「そうだね。」
シンジが呟いた。
ディズニーランド
「何乗ろうか？」
ゲートを通った後、シンジが言う。
「そうだなー。」
マップを見ながら、レイが言う。
「ちょっと寒いから、スプラッシュ・マウンテンは止めて、とりあえず、ビッグサンダー・マウンテンかな。」
「ジェットコースター系が好き？」
シンジがレイを見る。
「かな。ふふ。」
レイが微笑んだ。
ビッグサンダー・マウンテン
「きゃああああああああ！！！！」
急カーブで、レイが、シンジの手を掴む。
「おもしろかったぁ。」
列車から降りて、レイが言う。
「岩肌が、すぐそこまで迫ってくるのが、迫力あったね。」
「うんうん。もう最高。」
レイが、シンジと手を繋ぎながら言った。
ホーンテッドマンション
「いやあああああ！！！」
隣りに幽霊が座った瞬間、レイが、シンジに抱き付いた。
「おもしろかった。」
外に出て、目の前に手をかざしながらレイがいう。
「そうだね。」
レイがシンジの方を向く。
「ごめんね。抱き付いちゃって。」
「あ、それは、別に．．．」
シンジが、少しバツの悪そうな顔をして、視線を逸らした。
「ふふ。碇君。」
レイが、シンジの腕を取った。
アリスのティーパーティー
シンジが、レイを見ている。
「どうかした？」
レイが、少し不思議そうな顔をして、シンジを見た。
「ううん。別に。」
「そう。
ね、回さないの？」
「回したほうがいい？」
「そうね．．．どっちでもいいよ。」
「じゃ、このままでもいいかな。」
「うん。」
シンジとレイが、互いに、相手を見ていた。
スウィートハート・カフェ
「ナポリタン・セットとハンバーグ・セット、お待たせしました。
ナポリタン・セットのお客様は？」
「はい。」
レイが、軽く手を上げて、ウェイトレスを見る。
「お待たせしました。」
ウェイトレスが、レイの前にナポリタン・セットを置き、シンジの前にハンバーグ・セットを置いていく。
「ごゆっくりどうぞ。」
ウェイトレスが歩いていった。
「じゃ、食べようか。」
シンジが言う。
「うん。」
シンジがナイフとフォークを取り上げる。
レイがナポリタンを口に入れた。
「おいしい。」
レイが微笑んだ。
「そう言えば、前も、ハンバーグ食べなかったっけ？」
レイが、シンジに言う。
「えーと、そう言えばそうだね。
その時は、綾波も、スパゲティーじゃなかったっけ？」
「あ、そんな感じする。」
「好きなんだ。」
「うーん。なんか、こういう感じのところのメニューだと、スパゲティーが好きかな。」
「あ、そうか。僕も、そういうのあるかもしれない。」
「ふふ。夕飯は、違うところで食べようね。」
レイが微笑む。
「そうだね。」
シンジが微笑んだ。
スターツアーズ
「なんか、凄かったね。」
外に出て、シンジが言う。
「うん。」
レイが、シンジの手を取って、呟いた。
「疲れた？」
レイがシンジを見る。
「うん。少し。」
「夜のパレード、見るんだっけ？」
「うん。」
「じゃ、お茶しながら休もう。」
「そうだね。」
レイが微笑んだ。
トゥモローランド・テラス
「パレード見る？」
スケジュール表を見ながら、シンジが言う。
「うん。」
レイが、ウーロン茶を飲みながら答えた。
「ちょうど、夕飯の時間だから、夕飯、どうしようか。」
「少ししたら、ここで軽く食べて、終わってから、帰る途中に食べるのは？」
「そうだね。そうしようか。」
「うん。」
レイが、ほんの少し眠そうな目で、シンジを見ていた。
パレード
「きれい。」
レイが言う。
「そうだね。」
シンジが答える。
レイが、シンジと繋いだ手に、少し力を入れた。
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モニターのこちら側 Genesis 5:31 完
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