ミサトが食堂に入ると、他の皆がテーブルについていた。
「おはようございます。」
「「「「おはようございます。」」」」
ミサトがシンジを見る。
「ごめんね。遅くなっちゃって。」
「いいえ。」
シンジが微笑んだ。

テーブルには、梅干と海苔とカイワレと豆腐が並んでいた。
「カイワレ．．．」
ミサトが呟く。
「ちょっと、育ててみたんです。」
シンジが答える。
ミサトがシンジを見る。
「相変わらずマメね、シンジ君。」
「ええ。」
苦笑するシンジ。

「出発は、０９００ということで。」
青葉が冬月に言う。
「ああ。済まないが、頼む。」
「いいえ。」
青葉が日向を見る。
「「ごちそうさまでした。」」
青葉と日向が言う。
青葉と日向が食器を持って、立ちあがる。
食器を下げ膳口に置き、食堂を出ていった。

冬月が湯のみを置く。
「葛城君。」
お茶を飲んでいたミサトが冬月を見る。
「はい。」
「それでは、ここは、よろしく頼む。」
「はい。」
冬月がゲンドウを見る。
ゲンドウが頷く。
冬月がミサトを見た。
「それでは失礼する。」
「はい。」
冬月とゲンドウが食器を持って立ちあがり、食器を下げ膳口に置くと、食堂を出ていった。

シンジが調理場から出てきて、ミサトの前に座る。
「ミサトさん、今日は、芦ノ湖に行くんですか？」
「いいえ。私、シンジ君の勉強を見る係りになったの。」
「え？」
「なんてね。シンジ君と私は、ここに残って留守番することになったの。シンジ君は、勉強して、私は、まあ、シンジ君の護衛かな。」
「そうなんですか．．．」
シンジが、少し複雑そうな、うれしそうな顔をする。
ミサトが、微笑む。
「勉強用のパソコンって、あるのかしら。」
「さあ．．．けど、あるとしたら、職員室とか．．．」
「そうね。じゃ、ちょっと探してくるわ。」
ミサトが、シンジに微笑みながら立ちあがる。
「はい。」
シンジが微笑んだ。

食堂に、冬月とゲンドウが入っていくと、シンジが椅子にかけていた。
テーブルには、お弁当らしき包みと水筒が並んでいた。
「葛城君は？」
冬月が言う。
「勉強用のパソコンを探しに行ってます。」
シンジが答える。
「そうか。」
冬月が納得したように呟いた。

青葉と日向が、食堂に入って来る。
「「おはようございます。」」
「よし、じゃあ、行こうか。」
冬月が言う。
「「はい。」」
青葉と日向が答える。
冬月、ゲンドウ、青葉、日向がお弁当、水筒を取り、鞄に入れる。
「それでは、後はよろしく。」
冬月とゲンドウがシンジに言う。
「いってらっしゃい。」
シンジが答えた。

ミサトが、職員室を物色していた。
パソコンとラベルの付けられたロッカー。
「これね。」
そう呟いて、ミサトが鍵を開ける。
ロッカーからノートパソコンとアダプターを取り出す。
「動くのかしら。」
ノートパソコンを机に置いて、ロッカーの鍵を閉める。
ミサトがノートパソコンを持って、職員室を出ていった。

ミサトが、シンジのいる広間の入り口に立ち、脇の壁を叩く。
シンジがミサトの方を見た。
「はい。」
「パソコン見つけてきたけど、コンセントあるかしら？」
「ええ。ありますよ。」
シンジが、近くの壁に目線を投げる。
「オッケー。」
ミサトが広間の中に入ってくる。
コンセントにアダプターを挿し、アダプターをパソコンに繋いで、電源を入れる。

シュー。

パソコンが微かな音をたてながら起動する。
「授業のソフトって、入ってるんだっけ？」
ミサトがシンジに聞く。
「ＬＡＮでダウンロードするんですけど。」
シンジが答える。
「あー、そっか。制御室のパソコンじゃないわよね、それ。」
「多分。」
「じゃ、どうしようか。」
「紙の教科書を使うとか。」
「そうねぇ．．．ちょっと、調べてくるわ。」
「はい。」

しばらくして、シンジのいる広間にミサトが戻ってくる。
「シンジ君。」
ミサトが言う。
「はい。」
シンジが答えた。
「これ、先生用のデータカードなんだけど、まあ、使ってみて。」
ミサトがシンジに１０枚ほどのデータカードを渡す。
「はい。」
「先生用だから、要点とか、進めるスピードとか、問題の答えとか、書いてあるから、それを見ながらやってね。」
「はい。」
「じゃ、私は．．．部屋か、この中をぶらぶらしてるから。」
「はい。」
ミサトが広間を出ていこうとする。
『綾波？』
『何？』
ミサトが広間を出ていく。
『．．．僕達、どうなるのかな？』
『この状態が、ずっと続くということはないわ。』
『．．．拘束や尋問を受けることもある？』
『多分。殺されることはないと思うけど。』
『分かった。勉強しておく。』
『ええ。その方がいいわ。将来のために。』
シンジがノートパソコンにデータカードを挿した。
 

シンジが、ミサトの部屋の中を見る。
ミサトはいなかった。
「どこだろう．．．」
そう呟いて、シンジがシェルターの中を歩いていく。

シンジが制御室のドアをノックする。
「はーい。」
ミサトの声がした。
シンジがドアを開ける。
ミサトが、椅子にかけ、本を読んでいた。
「ミサトさん。」
シンジが言う。
ミサトがシンジの方を見る。
「あ、ごめん。探した？」
「はい。」
「どうしたの？」
「お昼ご飯できましたけど。」
「あ、そっか。ありがとう。」
ミサトが、本に栞を挟んで、机に置き、立ちあがる。

「お昼、何？」
ミサトが言う。
「そうめんです。」
シンジが答える。
「へー、そんなものもあるの。」
「そうめんは、干してありますから。」
「そう言えばそうね。保存食なんだ。」
「ええ。それに、昼は暑いし。」
「そうね。」
「はい。」
「そうだ。外で食べようか？」
「え？ええ。」
「ふふふ。楽しみ。」
ミサトが微笑む。
それを見てシンジも微笑んだ。

屋上で、シンジが、御椀に、そうめんの汁を入れて行く。
「はい、ミサトさん。」
「サンキュー。」
ミサトが御椀を受け取る。
シンジが、御椀に汁を入れる。
シンジが箸をミサトに渡し、そうめんのざるからラップを取った。
シンジがミサトを見る。
「「いただきます。」」
ミサトが、そうめんを取り、汁につけ、口に運ぶ。
「んー、おいしい！
  司令や副司令には悪いけど、最高！」
ミサトが満面に笑みを浮かべて言う。
「そうですね。」
シンジが苦笑いした。
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モニターのこちら側 Genesis 5:15 完 

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