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ミサトがゲンドウと冬月を見る。
「現在の状況は．．．」
日向が口を開く。
「マギが失われて、この辺り、箱根のインフラは、すべて死んでいます。かろうじて、７０７のシェルターが生きているので、そこで生活しています。現在の所、確認している生存者は我々だけです。」
「そう．．．」
ミサトが答えた。
青葉が続ける。
「昨夜、松代のマギへのアクセスを試みましたが、失敗しました。」
「そう．．．」
ミサトが答える。
ミサトがゲンドウと冬月を見た。
「毎日、ここへ来られているんですか？」
「青葉君、日向君、そして私は、昨日戻ってきたんだが．．．」
そう言って、冬月がゲンドウを見る。
「私は、三日前に、伊吹君と戻ってきたが、毎日来ている。」
ミサトが視線を走らせる。
「マヤも戻ってきたんですか？」
ミサトがゲンドウを見た。
「ああ。赤木君も戻ってきた。しかし、伊吹君が赤木君と無理心中した。」
「あ．．．」
ミサトが開きかけた口を、ゆっくりと閉じ、視線を落とした。
「そうですか。」
ミサトが呟く。
沈黙が流れた。
「とりあえず、７０７に戻ろうと思うが、いいかね？」
冬月が言う。
ミサトが冬月を見た。
「はい。」
「じゃあ、行こうか。」
冬月が全員を見渡す。
青葉、日向、ゲンドウ、シンジが頷いた。
一行が歩き出した。
冬月とゲンドウ、青葉と日向、ミサトとシンジが並んで歩いていた。
「葛城さん。」
日向がミサトに話しかける。
「無事だったのね、日向君。」
ミサトが日向を見る。
「ええ。葛城さんもご無事で。」
日向が微笑む。
ミサトが、少し複雑な表情で微笑む。
「そうね。」
日向がけげんそうな顔をする。
「どうかしたんですか？」
「ううん。なんでもないわ。」
ミサトが笑顔を作る。
日向が、何かを思い出すような表情をしながら口を開く。
「シンジ君を、第７ケイジに送るために、非常用ルート２０へ．．．あ！」
日向がミサトを見る。
「非常用ルート２０は爆破されて．．．」
ミサトが苦笑いする。
「死んだのよ。私。」
日向が目を見開き、そして、前を見て、視線を落とした。
「すみません。」
「いいのよ。現に、こうして生きてるんだから。」
日向がミサトを見る。
ミサトが微笑んだ。
「はい。」
日向が微笑んだ。
日向が口を開く。
「補完が始まったとき、僕の前に、綾波レイが現れて、それが葛城さんの姿になったんです。」
ミサトが前を見ている。
「それで、つい．．．」
日向がミサトを見る。
「そう。」
ミサトが前を見たまま答える。
日向も前を見た。
沈黙が流れた。
一行が第壱中学に着くと、日が傾き、少し過ごしやすくなり始めていた。
校舎に入り、シェルターに降りていく。
「中の構造は、把握しているかね？」
冬月がミサトに問う。
「はい。」
「では、適当に部屋を選んで使ってくれ。夕食は１８００位だが．．．」
冬月がミサトを見る。
「まあ、シンジ君が作ってくれるだろう。」
「恐れ入ります。」
苦笑いするミサト。
「それでは。」
冬月が部屋に入っていった。
ゲンドウ、青葉も部屋へ入っていく。
「葛城さん。」
日向がミサトに声をかけた。
「あ、何？」
ミサトが日向を見る。
「どうします？」
「とりあえず、シャワー浴びるわ。」
「そうですか。」
ミサトが顔を日向の耳に近づける。
「ここにいる間は駄目よ。」
ミサトが日向から離れ、日向に微笑む。
日向がミサトを見る。
「はい．．．」
日向は、少しの間、ミサトを見つめた後、歩き出し、部屋に入っていった。
ミサトが視線の方を見る。
シンジが、壁にもたれてミサトを見ていた。
「シンジ君．．．」
ミサトが不安そうにシンジを見る。
「．．．」
シンジが、顔の横に右手をあげ、微笑んだ。
ミサトが微笑む。
『副司令は、死んだ人が生き返らないということに気づいてるみたいだから。』
シンジが、頭の中で言う。
『分かったわ。』
シンジの頭の中で、レイの声がした。
「僕も、部屋に戻って、シャワー浴びますから。」
そう言って、シンジが歩き出す。
「ええ。」
ミサトが言った。
『日向さんとは？』
シンジが、頭の中で言う。
『二人目の私が死んだころから。多分、これからも。軽蔑する？』
シンジの頭の中で、レイの声がした。
『いや。けど、僕とは一緒にいられないかもしれないね。』
『そうね．．．ごめんね、碇君。』
ミサトがシンジを見た。
シンジが歩きながら、右手をあげた。
『碇君．．．』
シンジが部屋に入る。
ミサトがシンジの部屋のあたりを見ていた。
ミサトが、着替えを持って、脱衣所に入っていく。
着替えを籠に入れる。
もう一つの籠に、上着を入れる。
ジッパーを下ろし、ワンピースの前を開いて腕を抜き、籠に入れる。
ブラジャーを外し、ショーツを脱いだ。
タオルを持って、浴場に歩いていく。
洗面の前の鏡が目に入る。
鏡の前に立った。
胸からお腹に伸びる傷跡。
ミサトが傷跡に指を滑らせる。
ミサトがため息をついた。
ミサトがシャワーで石鹸を流している。
ミサトがシャワーを止めた。
「ふーーー。」
ミサトが息をつく。
ミサトが壁を見つめる。
シャワーから水滴が落ちた。
ミサトがランドリーの椅子に座っていた。
洗濯物が乾燥機の中で回っている。
ミサトは、回っている洗濯物を見ていた。
「葛城さん。」
日向の声がした。
ミサトが、日向の方を見る。
「日向君。」
日向が洗濯機を開けて、洗濯物を乾燥機に入れていく。
日向がミサトの隣りに腰を下ろした。
「洗濯の終わる時間だと思って。」
乾燥機を見ながら、日向が口を開く。
「そう。」
乾燥機を見ながら、ミサトが答えた。
「そう言えば、洗濯物、頼まれましたよね。」
「そうね。悪かったわね。」
「いいえ。ずっと好きでしたから。」
「そう。」
沈黙が流れた。
「葛城さん。」
日向が口を開く。
「．．．」
ミサトが日向を見る。
「葛城さん。」
日向が顔をミサトの顔に近づける。
「日向君．．．」
日向の唇がミサトの唇を塞いだ。
日向がミサトから唇を離す。
ミサトが前を向き、俯いた。
日向がミサトを見ていた。
乾燥機が止まった。
ミサトが立ちあがり、乾燥機の扉を開ける。
ミサトが洗濯物を取り出した。
ミサトが日向を見る。
「それじゃ。日向君。」
ミサトが微笑む。
「ええ。」
日向が微笑んだ。
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モニターのこちら側 Genesis 5:13 完
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