「おまたせしました。」
係りの子が、お通しと、サラダ、そして、刺身の盛り合わせを置いていく。
シンジが、割り箸を取って、私に渡す。
「ありがと。」
シンジに言った。
シンジが微笑む。
シンジが、割り箸を、レイに渡す。
「ありがと．．．」
レイが、微笑む。
シンジが、微笑んだ。
シンジが、割り箸を取って割り、お通しを少し取って口に入れる。
シンジが、ビールを少し飲んだ。

「お醤油、取ってくれる？」
シンジに言った。
「はい。」
シンジが、私に、醤油の容器を渡す。
「ありがと。」
醤油皿を取って、醤油を入れる。
「はい。」
シンジに醤油の容器を渡した。
シンジも、醤油皿を取って、醤油を入れ、元のところに戻した。
レイが、サラダを少し取って食べている。
醤油皿に、わさびを取り、軽く溶かす。
お刺身を一切れとって、醤油をつけ、口に入れた。
「おいしい。」
小さく呟いて、シンジを見た。
シンジが、私を見て微笑む。
シンジに微笑んだ。

「海、どうしようか。」
シンジが、お刺身を飲み込んで言う。
「海ね．．．」
お刺身を見たまま、呟いた。
「お待たせしました。」
係りの子が串焼きと、とり皮せんべいを置いていく。

「考えたくない？」
シンジが言う。
「その前のことがね．．．」
串焼きを取りながら言った。
「そっか。ま、けど、その話は、ここじゃできないし．．．」
「うん．．．」
「沖縄とかどう？」
「沖縄かぁ．．．いいかもね。」
「うん。懸案事項だし。」
「うん。中学のころからのね。」
ちょっとだけ、レイを見た。
レイが、私を見ていた。
「どうせなら、長めに行って、色々行くのがいいかも。」
「色々？」
シンジが言う。
「石垣島とか、宮古島とか。」
「宮古島、いいらしいよね。」
「うん。」
「なんか、帰ってきたくなくなるって。」
「うん。」
「帰ってこれなくなっちゃうかな．．．」
「．．．そうかも．．．ね．．．」
この日常を、すっぱり止めて、しばらく呆けていられたら．．．
箱根が終わったら、少しはいいかも．．．
「お待たせしました。」
係りの子の声がした。
揚げ出し豆腐と、山いも磯部揚げが置かれていく。
「以上でよろしいでしょうか？」
「はい。」
「それでは、ごゆっくり。」
係りの子が歩いていく。

「少しゆっくりした方がいいかもね。」
シンジが言う。
「そうね。」
シンジに答えた。
「試験中、ちょっと大変だったし。」
シンジが、とり皮せんべいを食べながら言う。
「そうね。」
結構、睡眠時間を削ったから。ちょっと疲れてるのかもしれない．．．
レイが、磯部揚げを見ているのが目に入った。
「あ、レイ、食べて。肉とか魚じゃないのは、レイが優先だから。」
「ありがと。」
レイが、微笑んで、山いも磯部揚げを取り、口に入れた。

「あと、何頼む？」
皿が概ね空いたところで、シンジが言う。
「お茶漬けかな。」
シンジを見て、そして、レイを見た。
「焼きおにぎり、かな。」
レイが言う。
「了解。
  すみません！」
シンジが少し大きな声で係りの人を呼んだ。

レイが、サラダをつまんでいた。
「甘いものとか、食べに行く？」
シンジが言う。
「行く。」
思わず、顔をほころばせながら言った。
レイを見ると、レイも、頷いていた。
「じゃあ、そろそろ出る？」
「うん。」
そう言って、シンジに頷いた。
 

居酒屋 能登 前

シンジと並んで立っていると、レイが出てきた。
「お待たせ。」
レイが軽く頭を下げながら言う。
「ううん。」
小さく首を振った。
「どこ行こうか。」
そう言って、シンジがゆっくり歩き出す。
「来る途中、ドトールとかマックとかあったよね。」
「そうだね。」
少し歩くと、ドトールがあったが、もう閉まっていた。
少し先のマックも、そろそろ閉店だった。

権堂の駅についてしまった。
「どうしようかな。」
シンジが言う。
シンジを見ていた。
「あ。そういえば。」
シンジが、広い道を、長野の方に歩き出す。
「もしかして、ロイホ？」
シンジに聞いた。
「そう。電車の方がいい？」
「うーん。いいんじゃない？けど、もうちょっとゆっくり歩かない？」
「そうだね。」
シンジが、歩をゆるめた。

「ゆっくり歩くと気持ち良いね。」
シンジが呟く。
「そうね。」
そう言って、シンジの向こうのレイを見た。
レイが、ほんの少し目線を下げて歩いていた。
 

ロイヤルホスト 昭和通店

「ご注文がお決まりになりましたら、お呼びください。」
ウェイトレスの子が歩いていく。
メニューを見ていた。
「どうしようかな．．．」
小さく呟いた。
「ね。レイ？」
レイに話しかけた。
「何？」
レイが、私の方を見る。
「これ、食べられるかな？」
バナナスプリットを指差しながら聞いた。
「分からない。」
「うーん。どうしようかな。」
「まあ、頼めばいいんじゃない？」
シンジが言う。
「食べてくれる？」
「いいよ。」
シンジが苦笑しながら言う。
「了解。じゃあ、これ。」
「綾波は決まった？」
「ええ。」
レイが答える。
「了解。すみません。」
シンジが、ウェイトレスの子に声をかけた。
 

「お待たせしました。」
ウェイトレスの子がデザートを置いていく。
レイの前にゴディバリキュールクープ、シンジの前に白玉宇治金時、そして、私の前に、バナナスプリット。
「ごゆっくりどうぞ。」
ウェイトレスの子が歩いていった。
「食べよう？」
「「うん。」」
そう言って、スプーンを取り、チョコレートのかかった、バニラアイスを口に入れた。
「おいしい。」
思わず微笑んだ。

「ね。それ、一口もらっていい？」
レイに聞いてみた。
「いいよ。」
そう言って、レイが、カップを差し出す。
「ありがと。」
そう言って、レイのアイスクリームを一さじ取り、口に入れた。
「おいしい。」
「私も貰っていい？」
レイが言う。
「うん。」
そう言って、トレイを差し出す。
レイが、アイスを一さじ取って、口に入れた。
「うん。いい感じ。」
レイが微笑んだ。
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モニターのこちら側 Genesis 3:92 完 

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