資料室

端末に向かっていた。
『箱根に行って、何が起きる？』
『フォースインパクト？』
『量産機が、また出てくる？』
『けど、レイは、もういない．．．』
『何か替わりのものがある？』
戦自のデータベースを探っても、何も分かりそうになかった。

昼のシフト終了のベルが鳴った。
マヤが端末を落とし、バッグを持って、椅子から立ち上がる。
「明日から夏休み？」
マヤが言う。
「ええ。明日から、またよろしく。」
マヤを見て、言った。
「うん。よろしくね。それじゃ。」
マヤが小さく手を振りながら歩き出す。
「お疲れ様。」
そう言って、小さく手を振った。
マヤが部屋から出て行った。

『マヤ、関係あるのかな．．．』
「ま、いっか。」
そう呟いて、端末の電源を落とし、バッグを持って、椅子から立ち上がる。
部屋を出た。

階段を下りると、入口で、シンジが待っていた。
「お待たせ。」
「．．．」
シンジが、首を小さく横に振る。

シンジが歩き出した。
シンジに並んで歩く。
「飲むの、家の方がいいかな？」
下を見たまま言った。
「．．．なんか、気が滅入りそうだね。」
シンジが言う。
「．．．そうかも。」
「．．．まあ、けど、一応、駅まで行こうか。」
「．．．」
「．．．」
「そうだね。」
そう言って、シンジを見た。
シンジが、何か考えるような感じで、遠くを見ていた。
視線を前に戻す。
沈黙が流れた。

警備員の人にＩＤカードを見せながら、ゲートを出る。
「お疲れ様でした。」
警備員の人が言う。
軽く頭を下げた。
 

地下鉄車内

シンジと並んでつり革につかまっていた。
地下鉄の音が、あたりを満たしている。
『なんか．．．』
『もうどうでもいいのに．．．』
『どうして．．．』
勝手に言葉が浮かんできて、気分が悪くなっていく。
『ちょっと、だめかも．．．』
そう思って、シンジを見た。
「シンジ？」
シンジが前を見ていた。
「シンジ！」
少し大きな声を出した。
シンジが私を見る。
少し不機嫌な顔になってるかも。
シンジが私を見て、そして、シンジの手が私の手を握った。
『！』
シンジの手が少し冷たい感じがした。
「シンジ？」
シンジが微笑んで、そして、視線を前に戻した。
『．．．』
沈黙が流れた。
 

長野駅改札

レイが俯いて立っていた。
「．．．」
レイの前に歩いていった。
レイが顔を上げる。
レイが私とシンジを見て、そして、視線を落とした。
「こんばんは。」
シンジが言う。
「こんばんは。」
レイが、シンジを見て言う。
「こんばんは。」
レイに言った。
レイが私を見て、頷いた。

「聞いた？」
レイに言った。
「ええ。」
レイが私を見て言う。
「何が起こるの？」
「．．．」
レイが目を伏せて、小さく首を横に振る。
「そっか．．．」
そう言って、目を伏せた。

「とりあえず、どこか行く？」
シンジが言う。
シンジを見て、そして、レイを見た。
「．．．」
レイが、シンジを見て、私を見る。
シンジが私を見た。
「ま、夕飯は食べたいから、少し行こうか。」
シンジが私を見て言う。
「．．．」
シンジを見て、頷いた。
 

居酒屋 能登

「ご注文、お決まりになりましたら、お呼びください。」
そう言って、係りの女の子が歩いていく。
「ここって．．．」
シンジを見た。
「さっき、ネットで。」
シンジが、メニューを見ながら言う。
「そっか。」
そう言って、レイを見て、そして、メニューを見た。

「決まった？」
シンジが言う。
「うーん。まあ。」
メニューを見ながら答えた。
「綾波は？」
「大体。」
「すみません！」
シンジが、少し大きな声で言った。

「お飲み物は？」
係りの子が言う。
シンジが私を見る。
「グレープフルーツサワー。」
係りの子を見て言った。
「私も。」
「僕は、生ビール。あと．．．」
シンジが、私を見る。
「サラダ？」
レイを見た。
レイが頷く。
「じゃあ、きのこサラダに、シーフードサラダ。」
シンジを見る。
「あと、串焼きの盛り合わせを．．．２つと、とり皮せんべい．．．３つ、揚げ出し豆腐に、山いも磯部揚げと、刺身の盛り合わせ．．．」
シンジが、私を見る。
シンジに頷いた。
「とりあえず、以上で。」
「はい。少々お待ちください。」
そう言って、係りの子が歩いていった。

「海、どうしようか。」
シンジに言った。
「どうしようか。」
シンジが言う。
レイを見た。
「．．．」
レイが目を伏せて、小さく首を振る。
視線をシンジに戻した。
「続けて行く？」
シンジに聞いた。
「うーん。どうかな。」
シンジが、テーブルに視線を落とす。
「また別にしようか。」
「うん。なんかね。」
「終わってから、考える？８月の頭だし。」
「そうだね。」
「了解。」
沈黙が流れた。

「生ビールに、グレープフルーツサワー。お待たせしました。」
シンジの前に生ビールのジョッキ、私たちの前にグレープフルーツサワーが置かれた。
係りの子が歩いていく。
「じゃあ、試験お疲れ様でした。」
ジョッキを持ち上げて、シンジが言う。
「「「乾杯。」」」
ジョッキとカップを打ち合わせる。
少し飲んで、そして、カップを置いた。
小さくため息をついて、そして、シンジを見た。
シンジが私を見ていた。
沈黙が流れた。
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モニターのこちら側 Genesis 3:91 完 

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