三人で、語学の予習をしていた。
「ね。アスカ？」
「何？」
「こんな感じでいいのかな？」
シンジが、ノートパソコンを、私に見せる。
「．．．これは、こっちの方がいいかもね。」
そう言いながら、訳を少し直した。
「そっか。なるほど。ありがとう。」
「どういたしまして。」
そう言って、フランス語の教科書に目を移した。

「それでさ．．．」
シンジが言う。
「ん？」
参考書を見たまま答えた。
「お花見、どうしようか？」
そう言えば、戦自の皆から誘われていたっけ．．．
「皆で行くの、あんまり好きじゃないでしょう？」
シンジを見た。
「うん。」
シンジが頷く。
「二人か、三人で行けばいいんじゃない？」
「三人．．．」
「レイ？」
レイの方を見た。
「．．．」
レイが、私を見る。
「お花見、一緒に行かない？」
「いいけど．．．」
レイが、それでいいの？というような顔をする。
「レイが嫌じゃなければ．．．」
「了解。」
そう言って、レイが微笑んだ。
「いい？」
そう言って、シンジを見た。
「了解。」
ほんの少しあきれたような感じで、シンジが頷いた。

「そろそろ行く？」
シンジが、腕時計を見ながら言う。
「そうね。」
そう言って、ノートパソコンを閉じた。
「お花見、いつ行こうか。」
シンジが、ノートパソコンをデイパックに入れながら言う。
「そうね．．．けど、土曜か日曜でしょう？」
「そうだね。じゃあ、とりあえず、土曜の講義の後にしておいて、天気がよくなかったら、日曜日に、また行くことにしようか？」
シンジが、私を見て、そして、レイを見る。
レイを見た。
「．．．」
レイが私を見て頷く。
「じゃあ、そうしよう。で、次、教室、別なんだっけ？」
「うん。私たち、社会学だから。」
「うん。それじゃ。」
「またね。」
シンジが、手を振って歩いていく。
手を振って見送った。
「いこっか。」
レイを見た。
「ええ。」
レイが微笑んだ。
 

図書館

シンジが、ノートパソコンで、経済学の資料を見ていた。
「お待たせ。」
シンジに声をかけた。
「．．．」
シンジが私たちを見て、微笑みながら、首を振る。
シンジが、ノートパソコンを閉じた。
「行こうか。」
シンジが、立ち上がる。
「うん。」
シンジに微笑んだ。
 

地下鉄内

「お花見、どこにする？」
シンジが少し大きな声で言う。
「土曜なら大学の近くでしょう？」
シンジの方を見て、少し大きな声で言った。
「そうだね。じゃあ、日曜になったら、松代か長野にしようか。」
レイの方を見た。
「聞こえた？」
「．．．」
レイが頷く。
「じゃ、そうしましょう？」
シンジを見て言った。
「了解。」
地下鉄の音が流れていた。

「それじゃ、また。」
そう言ってレイが立ち上がる。
「うん。またね。」
レイに微笑んで、手を振った。
レイが、手を振りながら、降りていった。
 

４／１９（土）
１６号館２１教室

「それでは、終わります。」
教授が、そう言って、教室を出て行く。
「どうする？」
シンジが、外を見ながら言う。
雨が降っていた。
「うーん。行ってみたい気もするのよね。」
そう言いながら、シンジを見た。
「じゃあ、一応、行ってみようか。」
「行く？」
レイを見て言った。
「．．．」
レイが小さく頷いた。
「じゃあ、食堂でお昼食べてから行こう。」
シンジが言う。
「了解。じゃ、行きましょう？」
そう言って立ち上がった。
 

松本城

「ちょっと風が強いかな。」
シンジが言う。
「そうね。ちょっと失敗かな。ごめんね。」
そう言って、シンジに軽く頭を下げた。
「ううん。いいよ。じゃあ、少し眺めて、それで帰ろうか。」
「そうね。」
そう言って、レイを見た。
レイが、桜を見ていた。
沈黙が流れた。

「レイ？」
レイに近づいて、声をかけた。
「なに？」
レイが、桜を見たまま答える。
「初めて？」
「ええ。」
「そっか。けど、そろそろ行かない？風邪引くわ。」
「そうね．．．ごめんね。」
レイが私を見て、そして言った。
「ううん。」
少し視線を落として、首を振った。
「行こうか。」
そう言って、シンジが、バス停の方へ、来た道を戻り始めた。
 

４／２０ １１：００
長野駅改札前

レイが、ぼんやりと改札の方を見ていた。
「お待たせ。」
レイに声をかけた。
レイが私たちの方を見て、微笑む。
「ごめんね。遅くなって。」
「．．．」
レイが、静かに首を振る。
「じゃ、行きましょう？」
レイが頷き、そして歩き出した。

「お昼、どうしようか？どこかで食べる？それとも、コンビニで買っていく？」
レイに聞いた。
「．．．アスカの好きなように。」
レイが答えた。
「うん．．．どうしようか？」
シンジを見た。
「せっかくだから、桜を見ながら食べようよ。」
「了解。じゃあ、何か買っていくっていうことで。」
そう言って、レイにウインクした。
「了解。」
微笑みながら、レイが答えた。
 

城山公園

桜が満開の園内は、いたるところにシートが敷かれ、食べたり飲んだり、歌ったりして、桜を楽しむ人であふれていた。
「日曜の昼は、また、一段と混んでるね。」
シンジが呟く。
「そうね。こんなに混んでるんだ。」
「どこか空いてるかな．．．」
シンジが、目を配りながら歩いていく。

桜の下から少し離れたところに空きを見つけて、シートを敷いた。
「座れたね。」
シンジが、微笑みながら言う。
「そうね。よかった。」
レイを見た。
レイが頷いた。
「じゃあ、お昼食べようか。」
そう言って、シンジがコンビニの袋からウーロン茶を、デイパックからお寿司を取り出した。
レイが、コンビニの袋からサンドイッチを取り出す。
私は、小分けのつけめんを出した。

「これ、おいしい。」
レイが、つけめんを食べながら言う。
「そう。よかった。」
そう言って、レイに微笑んだ。
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モニターのこちら側 Genesis 3:78 完 

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