目覚ましが鳴りはじめた。
頭の上に手を伸ばして、目覚ましを止める。
少しため息をついて、そして、起き上がった。

「おはよう。」
キッチンに向かっているシンジに言う。
「おはよう。」
シンジが、キッチンに向かったまま、答えた。

洗面所から戻って、ダイニングの椅子に腰を下ろす。
「何にする？」
シンジが、振り返って聞く。
「うん．．．コーヒー．．．や、やっぱり、ココアかな。」
「了解。」
そう言って、シンジが、キッチンに向かった。

トースターが音を立てて、トーストが出てくる。
トーストを取って、パンを入れた。
トーストにバターを塗っていく。

「お待たせ。」
シンジが、ココアの入ったカップと、ベーコンエッグとレタスの載ったお皿を置く。
「ありがと。」
そう言いながら、トーストにバターを塗る。
前の席のお皿にバターを塗ったトーストを置いた。

「おはよう。」
ミサトが、髪を手で梳きながら、ダイニングに入ってくる。
「おはようございます。」
「おはよう。」
ミサトがトイレに歩いていった。
シンジが、立ち上がって、キッチンに向かう。
トースターにパンを入れた。

「いつもより少し早く出るの？」
ミサトが、トーストを飲み込んで言う。
「いえ。少し遅くても大丈夫だと思います。遠いけど、時間は、ほとんど変わらないので。」
シンジが、コーヒーを一口飲み込んで言う。
「そうなんだ。それなら、いいけど。」
ミサトが、シンジを見て、そして、私を見た。
『？』
ミサトを少し見ていた。
「どうかした？」
ミサトが言う。
「ん？ううん。」
そう言って、小さく首を振った。
「ふふ。いや、下宿とかしたいかなって思って。」
ミサトが、私を見て、少しいたずらっぽく言った。
「うーん。まあ、けど、ここも下宿みたいなものでしょう？」
ミサトを見て、少し笑いながら言った。
「そう言ってもらえると、助かるんだけどね。」
ミサトが、微笑みながら、トーストを齧った。
 

列車内

シンジと並んで座っていた。
「どうして、下宿なんて言ったのかな？」
シンジが言う。
「二人で暮らしたいかなって思ったとか。」
シンジに答えた。
「ああ。なるほど。」
シンジが、納得したように言う。
沈黙が流れた。

「シンジは、そうしたい？」
聞いてみた。
「うーん。アスカは？」
シンジが、聞いてくる。
「夕方、行かなくちゃ行けないし、監視もあるし、このままでもいいかなって。」
「僕も、そうかな。」
「ミサトが嫌だったら、別だけど．．．」
「そうだね．．．」
沈黙が流れた。
 

第２東京大学校門

辺りは、新入生とサークルの勧誘で、ごった返していた。
「すごいね。」
シンジが言う。
「そうね。」
それとなく辺りを見回しながら答えた。

「君達、新入生？テニス、興味ない？」
先輩とおぼしき人が声をかけてきた。
「あ。いえ。結構です。」
軽く頭を下げて、作り笑いをしながら答えた。
 

大講堂

「本日、ここに、２０２０年度学部入学式を挙行するにあたり、大学を代表して、新入生諸君、ならびに、ご列席のご家族・友人の皆様に対し、心からお慶びを申し上げます。

．．．

それでは、最後に、入学おめでとう。」
総長の挨拶が終わり、いくつかアトラクションのようなものがあって、入学式が終わった。

「あー、疲れた！」
大講堂を出てすぐ、背伸びをしながら言った。
「アスカ。」
シンジが、少し咎めるような口調で言う。
「一応、講堂を出るまで我慢したのよ。」
そう言って、頬を少し膨らませて、シンジを見た。
シンジが、右手を口にあてて、あくびをしていた。
「シンジ？」
「ごめん。けど、ホント、疲れたね。」
シンジが笑いながら言う。
「そうね。」
思わず、笑いながら答えた。

「次は、どこだっけ？」
シンジに聞いた。
「１６号館の１１教室．．．かな。」
「どっちだっけ？」
「あっちかな。」
「そう。じゃ、行こう。」
「うん。」
 

１６号館１１教室

教室に入ると、後ろの方にレイがいた。
レイに小さく手を振る。
レイが、軽く頭を下げた。
「あそこ行く？」
シンジに聞いた。
「そうだね。」
シンジが答える。
「じゃ、行こう。」
そう言って、レイの方に歩き出した。

「久しぶり。」
レイの隣の席に腰を下ろしながら言った。
「お久しぶり。」
レイが、小さく言った。
シンジが、私の隣の席に腰を下ろす。
「サークルとか入るの？」
レイに聞いてみた。
「ううん。夕方は、行かなくちゃ行けないから。」
レイが小さく答える。
「やっぱり。私たちも、そう。」
レイの方を見て答えた。
「そう。」
「帰り、一緒に帰れるかもね。」
「そうね。」
沈黙が流れた。

教授と思しき人が入ってきて、教室の中が静かになる。
「それでは、理II系コースのオリエンテーションを始めたいと思います。

．．．

それでは、ご苦労様でした。」

新入生達が、次々に席を立っていく。
「後は、生協の登録位かな．．．手続きとかは、特にないみたいだし．．．」
シンジが、書類を眺めながら言う。
「じゃあ、生協の登録行って、それで、お昼かな？」
シンジに聞く。
「そうだね。」
シンジが私を見て言った。
「この後、どうするの？」
レイに聞いた。
「アスカと同じ。」
レイが、私を見て言う。
「じゃあ、一緒に行く？」
「ええ。」
レイが、小さく微笑んで言った。

生協の登録は、テントが出ていて、すぐに終わった。

「お昼、食堂にする？それとも、外？」
シンジが言う。
「そうね．．．食堂、混んでるかな？」
ちょっと聞いてみた。
「うーん。そうだね．．．まあ、けど、最初だから、行ってみようか。」
「了解。いい？」
レイに聞いた。
「ええ。」
「じゃ、行きましょう？」
シンジを見た。
「了解。」
そう言って、シンジが歩き出した。
 

中央食堂

「結構、混んでるね。」
とんかつの載ったトレイをテーブルに置きながら、シンジが言う。
「そうね。もうひとつの方が空いてるのかな？」
椅子に腰を下ろしながら言った。
レイが、隣の席に腰を下ろす。
「そうかもね。まあ、ゴールデンウィークまでかもしれないけど。」
「ふふ。そうね。」
「食べよう？」
「うん。」
そう言って、明太子スパゲティーをフォークに絡め始めた。

「それは、野菜サンド？」
シンジが、レイに聞く。
「ええ。」
サンドイッチを飲み込んで、レイが答えた。
「ここ、肉と魚を避けると、なかなか厳しいよね。」
「ええ。」
沈黙が流れた。

「周りに、いいお店あるかな？」
そう言って、シンジを見て、レイを見た。
「少し探してみて、なさそうなら、コンビニで買えばいいから。」
「そう。」
レイからシンジに視線を移した。
シンジが、私を見て、そして、目を伏せた。
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