シンジを見た。
シンジが、私を見ていた。
「帰ろっか？」
少し小さな声で言った。
「そうだね。」
シンジが頷く。
手を繋いだまま、歩き出した。
 

列車内

「夕飯どうしようか？」
シンジが口をひらく。
「うーん．．．」
背もたれに背中を押し付けながら、手足を伸ばした。
「．．．」
シンジを見ると、首を背もたれに押し付けて、目を閉じていた。
『疲れたよね．．．』
そう思いながら、背もたれに首をもたれさせた。

「．．カ．．．アスカ。」
「ん．．．」
目を開けると、シンジの足が目に入った。
「アスカ？」
シンジの声。
シンジの肩にもたれていた。
体を起こして、シンジを見た。
「長野、着いたよ。」
シンジが微笑む。
「うん。」
シンジに微笑んだ。
 

長野駅 ２１：３８

「何食べようか？」
シンジが言う。
「うーん。お腹、空いてるような、空いてないような．．．」
歩きながら答えた。
「寝てたからね。」
「うん。」
駅から、駅前を眺めた。
「じゃあ．．．屋台のラーメンとか。」
「そうね。いいかも。」
「じゃあ、そうしようか。」
「うん。」
駅から外に出た。
 

屋台

「なんにしましょう？」
屋台のおじさんが言う。
「僕は、とんこつラーメン。」
「．．．」
シンジを見た。
シンジが私を見る。
「にんにくラーメン。」
シンジが、少し驚いたような顔をする。
「あいよ。」
屋台のおじさんが答えた。

「思い出した？」
前を見たまま呟いた。
「うん。」
シンジが答える。
「少し、変わったかな．．．」
「そうかもね。」
「うん．．．」
沈黙が流れた。

「おまち。」
シンジと私の前に、ラーメンが置かれた。
「食べよう？」
シンジが言う。
「うん。」
そう言って、割り箸を取った。

「「ごちそうさま。」」
そう言って立ち上がった。
「まいどあり。」
おじさんが言った。

「おいしかったね。」
シンジが言う。
「うん。」
前を見ながら呟いた。
「あの時は、ふかひれチャーシュー大盛りだったっけ？」
「うん。そう。」
「．．．」
「けど、ちょっと多いかなって思って。」
「そっか。」
「食欲出るかなって思って。けど、ちょっと変だった？」
「ううん。そんなことないよ。」
「嘘。驚いてたよ。さっき。」
「．．．うん。ちょっとね。」
「ま、いいわ。私も、自分が、ちょっと意外だったから。」
「そう．．．」
沈黙が流れた。
 

地下鉄列車内

向かい側の窓に映る私たちを見ていた。
「私、大丈夫かな．．．」
少し大きな声で言った。
「何が？」
シンジが、答える。
「うん？．．．うん．．．」
「．．．」
シンジが、私の手を握る。
沈黙が流れた。
 

メゾン松代

シンジが、ドアの鍵を開ける。
シンジに続いて、中に入り、鍵を閉めた。
靴を脱いで、スリッパを履く。
シンジが、靴を揃えるのを見ていた。
シンジが立ち上がる。
「何か飲む？」
シンジが、私に言う。
「うーん。いいわ。」
「そう。」
「お風呂、先に入ってもいい？」
「いいよ。」
「ありがと。」
シンジに微笑んだ。
「ううん。」
シンジが、微笑みながら、首を振った。

浴室のドアを開ける。
少し暖かい空気が残っていた。
浴槽のお湯も、少し温かかった。
お湯を出して、外に出て、ドアを閉めた。
セーターを脱いで、ジャージを脱ぎ、ブラジャーとパンティーを洗濯物のかごに入れる。
浴室に入って、股を軽く洗い、体にお湯をかけた。
浴槽に入り、少し水を出した。

お湯と水を止めて、浴槽に体を沈める。
「はー。」
ため息が出た。

少し浴室の壁を見ていた。
「あんまりのんびりしちゃいけないか．．．」

髪を洗って、ボディーソープを体に伸ばし、シャワーで流していく。
顔を洗って、リンスして、髪をまとめて、また、浴槽に入った。

浴槽から出て、体を拭く。
脱衣所でも体を拭いて、下着をつけ、ジャージを着た。

シンジの部屋のドアをノックする。
「はい。」
シンジの声が聞こえた。
「出たよ。」
「了解。」
シンジの声を聞いて、自分の部屋に入る。
そして、髪を乾かし始めた。

髪を乾かし終えて、ベッドに横になる。
天井を見ていた。
浴室のドアの閉まる音がした。
「シンジ、出たのかな．．．」
そう呟いて、ベッドから起き上がった。

リビングで、ソファにもたれていた。
「アスカ？」
シンジの声。
シンジを見た。
「どうしたの？」
シンジが、ソファの後ろから、私を見る。
「うん？うん．．．別に．．．」
「そう。何か飲む？」
「うん。」
「ホット？アイス？」
「うーん。ちょっとアイスかな．．．」
「了解。」
シンジが、ダイニングに歩いていった。

「お待たせ。」
シンジが、私に、小さめの湯飲みを渡す。
「ありがと。」
口をつけて、一口飲んでみる。
冷えたハーブティーだった。
もう一口飲んで、床に置いた。
シンジが、隣で、何か飲んでいた。
「それは？」
「同じもの。」
「そう．．．」
沈黙が流れた。

「シンジ？」
なんとなく、口にしてみた。
「何？」
シンジが答える。
「ん．．．なんでもない．．．」
「そう．．．」
沈黙が流れた。

「ね。」
「何？」
「．．．」
シンジを見た。
シンジが私を見ていた。
「アスカ。」
そう言って、シンジが私を抱きしめる。
「うん。」
シンジの唇が、私の唇をふさいだ。
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モニターのこちら側 Genesis 3:75 完 

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