洗面所からダイニングに戻り、椅子に腰を下ろす。
トースターが音を立てて、トーストが出てきた。
トーストを取って、新しいパンを入れる。
トーストにバターを塗っていく。
「はい。」
シンジが、私の前にホットミルクの入ったカップと、玉子焼きとレタスの載ったお皿を置く。
「ありがと。」
そう言いながら、バターを塗る。
前の席のお皿にバターを塗ったトーストを置いた。

「ありがと。」
シンジが、コーヒーの入ったカップと、玉子焼きの載ったお皿を置きながら言う。
「ううん。」
トーストにバターを塗りながら言った。

「すぐ出るの？」
お皿を洗っているシンジの脇に、食器を置きながら言った。
「そうだね。」
シンジが答える。
「じゃあ、着替えてくるね。」
「うん。」
シンジが言うのを聞きながら、踵を返した。
 

列車内

「雪、ずいぶん残ってるね。」
窓の外を見ながら呟いた。
「そうだね。街中じゃないから。」
シンジが、窓の外を見ながら答える。
「雪か．．．
  次のシーズンは、スキー、行けるといいね。」
「そうだね。大学生だし。」
「．．．あんまり関係ないと思うけど。」
「．．．まあ、今まで、行く機会無かったから。」
シンジを見た。
外を見ていたシンジが、私を見る。
「どうかした？」
シンジが、私を見て言う。
「ううん．．．なんでもない。」
「．．．そう。」
シンジが、少しだけ不思議そうな顔をして言う。
シンジが、窓の外に視線を移した。
『少しだけ、幸せになったのかもしれない。』
私も、窓の外に視線を移した。
 

ディズニーランド

「何乗ろうか？」
ゲートを通った後、シンジが言う。
「そうねー。」
マップを見ながら、呟いた。
「スプラッシュ・マウンテンとか。」
試しに聞いてみる。
「え．．．寒くない？」
「やっぱ、そう思う？」
「うん。」
「じゃあ、ビッグ・サンダー・マウンテン。」
「うん。いいよ。」
「じゃ、行こう。」
そう言って、歩き出した。
 

ビッグ・サンダー・マウンテン前

「なんか、列長くない？」
そう言いながら、列についた。
「けど、みんな、そんな感じだったよ。」
シンジが答える。
「まあ、そうだけど．．．」
「うん．．．」
「まあ、分かってたことだし、仕方ないか．．．」
「ま、そうかな．．．」
沈黙が流れた。
 

ビッグ・サンダー・マウンテン

「きゃああああああああ！！！！」
急カーブで、シンジの手を握ってみた。

「怖かった？」
列車から降りて、シンジが言う。
「ううん。」
小さく首を振りながら答えた。
「そうなんだ。」
シンジを見る。
「怖かった？」
「ううん。」
シンジが、小さく首を振る。
「でしょ？」
そう言って、前を見た。
「うん。」
「けど、じっと黙ってるのも、あの場では変じゃない。」
「うん。」
「だから、ちょっと、周りに合わせてみましたとさ。」
手を組んで、頭の上に上げて、少し伸びをするようにして言った。
組んだ手を、頭の後ろに下ろして、シンジを見る。
「かわいくない？」
シンジが私を見た。
「ううん。ちょっと、どきどきしたよ。」
「クス。ありがと。」
シンジに微笑む。
「どういたしまして。」
シンジが微笑んだ。
 

ホーンテッドマンション

「いやあああああ！！！」
隣に幽霊が座った瞬間、シンジに抱きついた。

「おもしろかった。」
日差しがまぶしくて、目の前に手をかざした。
「そうだね。」
シンジが答える。
「シンジ。」
シンジの腕を取った。
 

アリスのティーパーティー

「アスカ、回し過ぎじゃない？」
「そう？」
テーブルを回す手を少し休めて言った。
「うん。」
周りを見ると、皆、男の方が回してるようだった。
「じゃあ、シンジ回してよ。」
「いいけど．．．」
シンジが、私を見ながら、ゆっくり回していく。
「そんなに変わらないのね。」
「うん。皆、相手を見てるし。」
周りを見回した。
「．．．なるほど。」
シンジを見て、頷いた。
 

スウィートハート・カフェ

「明太スパゲティー・セットとエビフライ・セット、お待たせしました。
  明太スパゲティー・セットのお客様は？」
「はい。」
軽く手を上げて、ウェイトレスを見た。
「お待たせしました。」
ウェイトレスが、私の前に明太スパゲティー・セットを置き、シンジの前にエビフライ・セットを置いていく。
「ごゆっくりどうぞ。」
ウェイトレスが歩いていった。

「食べよう？」
シンジに言った。
「うん。」
シンジが、ナイフとフォークを取り上げる。
私は、スパゲティーをフォークに絡めて、口に入れた。
「うん。まあまあね。」
シンジに微笑んだ。
 

スター・ツアーズ

「ちょっと思い出したね。」
外に出て、シンジに言った。
「エヴァの射出の感じ？」
シンジが答える。
「うん。」
「そうだね。あの方がきつかったけど。」
「まあ、あれは、アトラクションじゃないから。」
「そうだね。」
シンジを見た。
シンジが、遠くを見るような目をしていた。
シンジの手を握る。
沈黙が流れた。
 

トゥモローランド・テラス

「パレード見る？」
スケジュール表を見ながら、シンジが言う。
「そうね。」
ジンジャーエールを一口飲んで答えた。
「夕飯、どうしようか？」
「ここで、少し食べて、終わったら、帰る途中で食べるとか買うとか．．．」
「それでいい？」
「作るの嫌でしょう？」
「うん。結構疲れた。行列が。」
「うん。私も。少しゆっくりしよう。ここで。」
「そうだね。」
そう言って、シンジが、コーラを一口飲んで、シートにもたれた。
 

パレード

「きれいね。」
パレードを見ながら言った。
「そうだね。」
シンジが答える。
シンジと繋いだ手に、少し力を入れた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 
モニターのこちら側 Genesis 3:74 完 

モニターのこちら側 Genesis 3:75へ

Evaメニューに戻る