ほんの少しの間、レイを見ていた。
「どこがいいかな？」
そう小さく言って、なんとなく、ミサトの方を見た。
「．．．そうね．．．レイ、食べ物の好みは、相変わらず？」
ミサトが言う。
『あ．．．そうか．．．』
思わず、心の中で呟いて、レイを見た。
「ええ。あまり変わりません。」
「そう。天ぷらは食べられる？」
「あまり食べられないかもしれませんけど、大丈夫です。」
「じゃあ、天ぷらにしましょう。ちょっと有名なお店があるのよ。」
ミサトが私を見る。
ミサトに頷いた。
 

天満佐 店内

店員さんがお茶を置いていく。
「お決まりでしょうか？」
店員さんが聞く。
「上天丼を４つ。１つ、ご飯少なめでお願いします。」
ミサトが答える。
「上天丼４つで、１つご飯少な目ですね。かしこまりました。」
店員さんが歩いていった。

「ここ、先生とか、よく来てるみたいなの。」
ミサトが言う。
「そうなの。」
ミサトに答えた。
「うん。見てのとおり、ちょっち高いから。学生のころは、なかなかね。」
「そっか。」
そう言って、少し古びた感じのする店内を見回した。
天ぷらの匂いがした。

「上天丼４つ、お待たせしました。ご飯少な目の方は？」
レイが、店員さんの方を見る。ミサトが、レイの方に手を向けた。
「はい。」
そう言って、店員さんが、天丼とお新香の載ったお盆を、私たちの前に置いていく。
「ごゆっくりどうぞ。」
店員さんが、歩いていった。

「食べましょう？」
ミサトが、そう言いながら、割り箸を箸袋から出す。
皆が頷きながら、割り箸を箸袋から出した。
ミサトが、海老天を一口かじり、口を少し動かして、飲み込んだ。
「うん。おいしい。」
シンジが、かき揚げを少し崩し、口に入れる。
「おいしいですね。」
シンジが、ミサトを見て、そして、私を見た。
私も、かき揚げを少し崩して、口に入れた。
さくっとした歯ごたえに、香ばしさが口の中に広がる。
「うん。おいしい。」
シンジに頷きながら言った。

「レイは、大学、結構行けそうなの？」
ミサトが、ごはんを飲み込んで言う。
「ええ。」
レイが、少し口を動かしてから言った。
「そう。じゃあ、二人とは、結構会いそうね。」
ミサトが、シンジと私を見て言う。
「はい。」
レイが小さく頷いた。

お茶を飲んでいた。
ミサトがトイレから戻ってくる。
「じゃあ、そろそろ行く？」
ミサトが言う。
「．．．」
皆が頷いて、そして立ち上がり始める。
「トイレ行ってきていい？」
ミサトに聞いた。
「ええ。じゃあ、外で待ってるね。」
ミサトが答える。
「私も。」
レイが、言う。
「了解。」
ミサトが微笑んだ。

「お待たせ。」
トイレの前に待っていたレイに言った。
レイが、軽く首を横に振る。
レイが、トイレに入っていった。
トイレの戸を、見ていた。

トイレの戸が開き、レイが出てきた。
「あ．．．ごめんなさい。」
レイが俯く。
「ううん。外寒いし。」
微笑みながら答えた。
「．．．」
レイが私を見ていた。
「ね。」
「何？」
「何か、気になることとかあるの？」
聞いてみた。
「．．．」
レイが、私を見て、そして、視線を遠くにそらす。
沈黙が流れた。

レイが、私を見て、そして、視線を落とす。
「私は、いない方がいいかと思って．．．」
レイが呟く。
「．．．」
レイを見ていた。
レイが私を見る。
「．．．」
沈黙が流れた。

「そっか．．．」
視線を落として、そして呟いた。
沈黙が流れた。

レイを見た。
レイが私を見ていた。
「．．．行こっか。」
呟くように言った。
「ええ。」
レイが呟くように答えた。
 

天満佐 前

「お待たせ。」
ミサトとシンジに声をかけた。
ミサトが首を振る。
シンジが、微笑んで私たちを見ていた。
「じゃ、行こうか。」
ミサトが言った。

広い通りに出て、通り沿いに歩いていく。
「なんか、相変わらずって感じだなぁ。」
ミサトが、手を上に伸ばして、伸びをしながら言う。
「あ、ここの羊羹、有名なのよ。ちょっと待っててね。」
ミサトが、藤むら、というお店に入っていく。

シンジが、ショーケースを眺めている。
「おいしそう？」
聞いてみた。
「まあ、おやつには食べられそうだから。」
シンジが、微笑みながら言う。
「まあ、それもそうね。」
「うん。」
ショーケースを眺めていた。

「お待たせ。」
お店から出てきたミサトが言う。
軽く首を振った。
「レイ、まだ、時間ある？」
ミサトが、レイの方を見た。
「？」
レイが、少し小首をかしげる。
「羊羹、食べにこない？」
「．．．」
少しの間の後、レイが、頷いた。
「ＯＫ。じゃあ、行きましょう？」
ミサトが、歩き出した。
 

メゾン松代 駐車場

「はい。お疲れ。」
サイドブレーキを引いて、ミサトが言う。
「お疲れさま。」
ミサトに言った。
シンジが、ドアを開け、シートを倒す。
シートに手をついて、ルノーを降りた。
レイが、反対側のドアから降りる。
ドアを閉めた。
ミサトが、ドアをロックする。
「じゃ、行きましょう？」
ミサトが、歩き出した。
 

メゾン松代 １２１号室 前

ミサトが鍵を開け、ドアを開けて、中に入る。
「どうぞ。」
ミサトが、レイを見て、中の方に手を向けた。
「お邪魔します。」
レイが、靴を脱いで、玄関マットに乗り、私たちを見た。
「ああ。ちょっと待って。」
そう言って、シンジが下駄箱からスリッパを出し、レイの足元に置いた。
「ありがとう。」
レイが言う。
「どういたしまして。」
シンジが答えた。
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モニターのこちら側 Genesis 3:69 完 

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