目覚ましの音がしていた。

「は．．．」
手を上の方に伸ばしながら、あくびをした。
目覚ましを止める。
『少し暖かくなってきたのかも．．．』
そんな風に思いながら、天井を見ていた。

「おはよう。」
キッチンに立っているシンジに言う。
「おはよう。」
シンジが、前を向いたまま答えた。

トイレから戻り、ダイニングの椅子に腰を下ろす。
「ちょっと待ってて。」
シンジが、キッチンの方を向いたまま言う。
「うん。」
口の中で小さく言って、パンをトースターに入れた。

シンジが、目玉焼きとハム、レタスの載った皿を、私と、向かいの席の前に置く。
私の向かい側に、シンジが、コーヒーの入ったカップを置く。
「コーヒー？」
シンジが、私に聞く。
「うーん．．．ココアにしようかな．．．」
「了解。」
シンジが、キッチンの方に体を向けた。

シンジが、ココアの入ったカップを、私の前に置く。
「お待たせ。」
「ううん。」
小さく首を横に振った。
シンジが、向かい側の椅子に腰を下ろす。
沈黙が流れた。

トースターが音をたてて、パンが出てきた。
トースターに手を伸ばす。
パンを取って、自分の前の皿に置く。
バターナイフでバターを取って、パンにバターを塗っていく。
「はい。」
シンジにパンを差し出す。
「ありがと。」
シンジが微笑んで、パンを受け取る。
「ううん。」
微笑んで、小さく首を振った。
トースターに新しいパンを入れ、自分のパンにバターを塗っていく。

「今日、入学手続きした後、どうしようか？」
ハムをナイフで切りながら言った。
「うーん．．．大学の中でも歩いてみる？」
シンジが、少し口を動かしてから言う。
「．．．」
ハムを噛みながら、シンジを見た。
「．．．」
シンジが、私を見る。
「それもいいかも。」
「じゃあ、そうしようか。」
シンジが、レタスを口に入れた。

「おはよう。」
ドアの開く音がして、ミサトが出てきた。
「おはようございます。」
シンジが言う。
「おはよう。」
ミサトに言った。

ミサトが、トイレから戻ってきて、私の隣の椅子に座る。
シンジが、目玉焼きとレタス、ハムの載った皿を、ミサトの前に置く。
「ありがと。」
ミサトが言う。
「いいえ。コーヒーですか？」
シンジが答える。
「うん。少し濃い目で。」
「はい。」
シンジが、キッチンの方に向いた。

シンジが、ミサトの前に、コーヒーの入ったカップを置く。
「ありがと。」
シンジが、椅子に腰を下ろす。
ミサトが、カップに口をつけた。

トースターが、音をたてて、パンが出てきた。
シンジが、パンを取り、新しいパンをトースターに入れる。
シンジが、パンにバターを塗っていく。
「はい。」
シンジが、ミサトにパンを渡す。
「ありがと。」
ミサトが、パンを受け取り、皿に置いた。

「「「ごちそうさまでした。」」」
シンジが、皿を重ねて、流しに持っていく。
「ミサト？」
皿を重ねながら、言った。
「何？」
ミサトが、皿を重ねながら言う。
「今日、入学手続きした後、大学を少し見てくるね。」
「ああ。了解。」
皿を持って立ち上がった。
「夕方には、帰ってくるけど、お昼どうする？」
「そうねー。どうしようかな。」
流しの脇に皿を置いた。
「久しぶりに行ってみようかな。」
「あ、そうか、あそこに通ってたんだもんね。」
「そ。不良学生だったけどね。」
ミサトが笑う。
シンジを見た。
シンジが頷く。
「じゃあ、一緒に行こう。」
「ありがと。」
ミサトが微笑んだ。
 

第二東京大学近くの駐車場

「はい。お疲れ。」
ミサトが、シートベルトを外しながら言う。
シートベルトを外した。
シンジが、ドアを開けて降り、シートを倒す。
シートに手をついて降りた。
ミサトが、ドアを閉め、キーをロックする。
「じゃ、行きましょう？」
ミサトが言う。
ミサトに頷いた。

「この辺、結構、変わった？」
ミサトに聞いてみる。
「うーん。あんまり変わらないかな。」
ミサトが、少し上の空な感じで答える。
「そう。」
「変わってても、同じお店だったりしてるし．．．」
「そう。」
「うん．．．」
沈黙が流れた。
 

第二東京大学 事務局前

「お待たせ。」
ミサトに声をかける。
「ううん。」
ミサトが、微笑みながら、首を振る。
時計を見た。１１時１０分前だった。
「まだ、お昼には少し早いから、どこか行く？」
ミサトを見て、そして、シンジを見た。
「そうねー。三四郎池は、もう見た？」
ミサトが言う。
「ううん。見てないよ。」
「じゃあ、そこだけ行こうか。他のところは、大学が始まってからでいいわよ。」
ミサトが微笑む。
「了解。」
少し笑いながら、シンジを見た。
シンジも少し笑っていた。

事務局から少し歩いて、そして、階段を降り始める。
木が多くて、少し薄暗くなっていた。
「少し寒いね。」
誰に言うともなく呟いた。
「そうだね。」
シンジが言う。
「夏は、いい感じよ。元々、東京にあったから、ここだと、少し寒いかもね。」
ミサトが答えた。

階段を下りると、結構大きな池があった。
「．．．」
『加持さんと来たりしたの？』
聞こうかと思ったけど、止めることにした。
沈黙が流れた。

「そろそろ行く？」
ミサトが言う。
少し寒くなってきていた。
「うん。」
そう言って、頷いた。
「じゃあ、あっちから上がりましょう？」
そう言って、ミサトが歩き出した。

少し歩いて、ふと、池の反対側を見た。
レイが立っていた。
「レ、イ！」
立ち止まって、声をかけた。
レイが、私たちの方を見て、かすかに微笑む。
ミサトとシンジの方を見た。
「ね、レイも呼ばない？」
ミサトとシンジに聞いた。
ミサトとシンジが頷く。
レイの方を見た。
「ね、ちょっと待ってて！」
声をかけて歩き出した。

上がり口で、レイと落ち合った。
「今日は、手続き？」
レイに聞いた。
「ええ。」
レイが、答える。
ミサトを見た。
「今日は、ミサトも一緒なのよ。」
そう言って、レイを見る。
「ご無沙汰しています。」
レイが、軽く頭を下げた。
「こちらこそ。久しぶりね。レイ。」
ミサトが、微笑みながら言った。
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モニターのこちら側 Genesis 3:68 完 

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