校舎の出口の前で中庭を見ていた。
「遅いね．．．」
シンジが言う。
「そうね．．．」
息が少し白くなった。

ドアの開く音がした。
振り向くと、レイが立っていた。
少しして、レイが口を開く。
「お待たせ．．．」
「ううん。」
シンジが言う。
私は、少し視線を落として、首を振った。

「うかった？」
シンジが聞く。
「ええ。」
レイが答える。
「僕たちも、うかったよ。」
「そう．．．」
「一緒に通えるかもしれないね。」
「そうね。」
沈黙が流れた。

「書類、取りに行く？」
シンジが口を開く。
レイが首を振る。
「もう取ってきたの．．．」
レイが、少しだけ悲しそうな表情をする。
「そう．．．」
「ごめんなさい．．．」
「いや．．．」
「．．．」
沈黙が流れた。

シンジを見た。
シンジが、私を見ていた。
シンジが頷く。
シンジが、レイを見る。
「じゃあ、僕たち、書類を取りに行かないといけないから。」
「ええ。」
レイが頷く。
「途中まで一緒に行く？」
「．．．うん。」
レイが頷いた。

３人で並んで歩いていた。
「じゃあ、ここで。」
レイが口を開く。
事務局の建物の前だった。
「うん。じゃあ、また。」
シンジが言う。
「またね。」
レイに言った。
レイは、軽く頷いて、そして、歩いていった。

シンジを見た。
シンジが私を見ていた。
「書類、貰おうか。」
「そうね．．．」
事務局の建物の方へ歩き出した。
 

メゾン松代

ソファにもたれて、窓の外を見ていた。
「何か言われたのかな？」
ミルクティーのカップをテーブルに置きながら、シンジが言う。
「多分ね．．．」
少し伸びをしながら答えた。
「そうだね．．．」
「私たちも何か言われるかな．．．」
「ミサトさんが帰ってくれば分かるんじゃない？」
「行けばよかったかな？」
「そうかもね．．．」
「けど、結構、色々書くものあったよね。」
「うん。」
「頼むものもあるけど。」
「うん。」
「．．．」
「．．．」
沈黙が流れた。

「まあ．．．」
シンジが口を開いた。
「．．．」
「．．．」
「まあ．．．何？」
シンジに聞いた。
「少し、心配が減ったのかもね。」
「．．．」
「先に伸びただけかもしれないけど。」
「そうね．．．」
ミルクティーのカップに口をつけた。
 

ダイニング

「もういいかな。」
シンジが鍋の中を眺めながら言う。
シンジを見ていた。
シンジが私を見る。
「呼ぶ？」
「うん。」
「了解。」
椅子から立ち上がり、リビングの方へ。
ミサトの部屋の前に立つ。
「ミサト？ご飯できたよ。」
「はーい。」
少しして、ミサトが部屋から出てきた。
「今日は何？」
ミサトが口を開く。
「カキ鍋。」
「最近、食べたよね。」
「うん。いつだったかな。」
「ま、いっか。シーズンだし。」
「そ。」
そう言いながら、ダイニングの椅子に腰を下ろした。

ごはんをお椀によそい、置いていく。
自分の前に置いて、シンジとミサトを見た。
シンジとミサトが頷く。
「「「いただきます。」」」
しゃもじを取り、鍋から、カキと白菜をよそう。
箸を取って、カキを口に入れた。
シンジを見て、頷いた。
シンジが、カキを口に入れる。
シンジが私を見て、頷いた。

「そう言えば、今日、レイに会ったんだけど．．．」
そう言いながら、ミサトを見た。
「何か言ってた？」
ミサトが、少し口を動かして、そして言った。
「何も言ってなかったけど、待ち合わせて、一緒に、入学手続きの書類を取りに行こうとしたら、先に取りに行ってて．．．」
「．．．」
「何か言われたのかと思って。」
「そう．．．」
「何か来てる？」
「ううん。何も。」
ミサトが首を振りながら答える。
「そう。」
「まあ、ある意味、レイらしいような気もするけどね。」
「．．．そうかな。」
「．．．よく分からないけど。」
沈黙が流れた。

「「「ごちそうさまでした。」」」
器を重ねて、椅子から立ち上がる。
流しまで歩いていって、器を置いた。
「ありがと。」
シンジが言う。
「ううん。」
軽く首を振った。

ソファにもたれて、外を見ていた。
シンジの気配が、動いていく。
ソファから立ち上がって、シンジについていく。
「どうしたの？」
部屋の前で立ち止まり、シンジが私を見る。
「なんでもないけど．．．」
シンジを見ながら言った。
「．．．そう。」
シンジが、少し不審そうな顔をして、私を見る。
シンジが、視線をドアに向けて、ドアを開ける。
シンジが、部屋に入った。
シンジの後ろから、部屋に入り、ドアを閉めた。
シンジが、歩いていき、椅子に腰を下ろした。
シンジのベッドに腰を下ろす。
沈黙が流れた。

「えーと．．．」
シンジが口を開く。
「レイ．．．どう思う？」
シンジを見た。
シンジが、私から視線を外す。
「分からない．．．」
「うん．．．」
「何か言われたにしては、変な感じかな。」
「来ない？」
「うん。」
「．．．うん。」
「何も言われていないとして．．．」
「．．．」
「それも変かな。」
「．．．」
「そういう指示が出てるとか．．．」
「．．．まあ、それもあるかも。」
「難しいね。」
「うん。」
沈黙が流れた。

「ま、いいわ。ごめんね。」
そう言って、立ち上がった。
「ううん。」
シンジが、微笑む。
「うん。ありがと。」
シンジに微笑んだ。
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モニターのこちら側 Genesis 3:67 完 

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