「ご注文は？」
ウェイトレスが言う。
シンジを見た。
シンジが私を見る。
レイを見た。
レイが私を見る。
「じゃあ、ブレンド。」
ウェイトレスを見た。
ウェイトレスが、シンジ達を見る。
「じゃあ、僕も。」
シンジが言う。
「私は、レモンティー。」
レイが言った。
「ブレンド２つに、レモンティーをお１つでよろしいですか？」
皆が軽くうなづく。
「かしこまりました。」
ウェイトレスが歩いていく。

グラスを取り上げて、水を飲む。
グラスを置いた。
「こういうのって、初めて？」
そう言いながら、シンジを見た。
「そうかな．．．」
シンジが私を見て、そして、レイを見た。
「．．．」
レイが、私達を見る。
「そうかもね。」
そう言って、窓の外を見た。
沈黙が流れた。

「今日、どうだった？」
シンジの声がした。
シンジを見る。
シンジが、レイを見ていた。
「まあ．．．大丈夫。」
「そう。」
シンジが、作ったような笑いを浮かべる。
シンジが、私を見た。
「アスカは？」
「多分ね。」
「そう。僕も、多分ね。大丈夫。」
シンジが言う。
「うん。まあ、終わったことだから、考えてもしょうがないわよ。」
シンジに、微笑みながら言う。
「そうだね。」
シンジが微笑んだ。

「お待たせしました。」
ウェイトレスが、私達の前にカップを置いていく。
レイの前にカップとポットを置いた。
「ごゆっくりどうぞ。」
ウェイトレスが歩いていった。

カップを取り上げ、コーヒーを少し飲んだ。
「いつごろ帰ってきたの？」
カップから口を離し、聞いた。
「２年くらい前。」
レイが、カップに紅茶を注ぎながら言う。
「そう。」
カップを置いた。
レイが、ポットを置く。
そこから視線を外し、シンジを見た。
シンジが、レイを見ていた。
「それまで、あそこに？」
シンジが言う。
「．．．」
レイがレモンをカップに入れる。
シンジが、私を見る。
沈黙が流れた。

「私達は、芦ノ湖に帰ってきたけど．．．」
シンジからレイに視線を移しながら聞いた。
「人工進化研究所のベッドで寝ていたわ。」
レイが、私を見る。
「そう．．．」

「人工進化研究所では、何をしてるの？」
シンジが口を開く。
「．．．」
レイがカップの中を見ている。
沈黙が流れた。

レイを見ていた。
レイが、カップからレモンを取り出す。
「．．．言えないの。」
レイが呟く。
シンジを見た。
シンジが、私を見る。
沈黙が流れた。

「私達は、戦略自衛隊で、まあ、特に何もしてないけど．．．」
レイを見て言った。
「そう．．．」
レイが私を見る。
『皆いるのよ．．．』
そう言おうとして、口をつぐんだ。
多分、情報は、筒抜けなんだろうけど。
カップを取り上げて、コーヒーを飲んだ。
少し苦味が強くなったような気がした。
 

地下鉄車内

３人で並んで座っていた。
「発表は見に来るの。」
少し大きな声で聞いた。
レイが、私を見る。
「ええ。」
「朝一？」
「多分。」
「じゃあ、見た後、あそこで待ち合わせしない？」
「ええ。」
「じゃあ、発表日に、また、あそこで。」
「ええ。」
レイが、前を見る。
私も前を見た。窓に映っている私達が、私達を見ていた。
 

メゾン松代

シンジが鍵を開け、ドアを開ける。
シンジが私を見る。
中に入って、靴を脱ぎ、スリッパを履く。
シンジが、鍵を閉めた。
シンジが、靴を脱ぎ、スリッパを履いて、私達の靴を揃えた。
シンジが私を見る。
シンジを見ていた。
「どうしたの？」
シンジが言う。
「ううん。」
軽く目を閉じて、首を横に振った。
「そう。」
シンジが歩き出す。
私も歩き出した。

部屋に入り、荷物を置いて、部屋着に着替える。
セーターを羽織って、部屋を出た。
洗面所で、うがいをして、ダイニングへ。
シンジが、紅茶をいれていた。
「シンジ。」
シンジの横に行って言う。
「ミルクティー？」
シンジが言う。
「うん。」
「ちょっと待ってて。」
「うん。」
そう言って、リビングに行き、ソファに座り、足を伸ばす。
「んーーん。」
伸びをした。

「お待たせ。」
シンジが、カップを差し出す。
「ありがと。」
シンジが、私の隣に腰をおろした。
「なんだか．．．変だったね．．．」
シンジが呟く。
シンジを見た。
シンジが、カップに口をつけて、外を見ていた。
「そうね．．．ちょっと変だった。」
沈黙が流れた。

「本当に、綾波なのかな？」
シンジが口を開く。
ミルクティーを一口飲んだ。
「さあ．．．」
「一緒にいれば、そのうち分かるね。多分。」
「．．．多分ね。」
ミルクティーを、また、一口飲んだ。
窓の外を見ていた。
 

ダイニング

「もういいかな。」
シンジが、鍋の中を眺めながら言う。
「ミサトさん、呼んでくれる？」
シンジが、私を見て、言う。
「うん。」
椅子から立ち上がり、リビングに歩いていく。
ミサトの部屋の前に立った。
「ミサト？ご飯できたよ。」
「はーい。」
少しして、ドアが開き、ミサトが出てきた。
ミサトが、匂いをかぐような仕草をする。
「なんか、おいしそうな匂い。」
ミサトが微笑みながら言う。
「そうね。」
少し笑いながら言った。

ごはんをお椀によそい、置いていく。
自分の前に置いて、シンジとミサトを見た。
シンジとミサトがうなづく。
「「「いただきます。」」」
しゃもじを取り、鍋から、カキと白菜をよそう。
箸を取って、カキを口に入れた。
「おいしい。」
シンジに微笑む。
シンジが、カキを口に入れる。
シンジが、私を見て、微笑んだ。
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モニターのこちら側 Genesis 3:66 完 

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