「ね。」
窓ガラスに映っているシンジを見ながら言った。
「何？」
シンジが私の方を見て言う。
「ミサトの誕生日のプレゼント、何がいいかな？」
「．．．そうだね。」
「．．．」
「．．．」
「シンジは、あげるの？」
「．．．ピアスとか。」
「もう買った？」
「うん。」
「じゃ、混ぜてもらうことにしちゃおうかな。」
「いいよ。」
「まずいかな．．．」
「うーん。いいんじゃない？」
「．．．」
沈黙が流れた。
 

メゾン松代

「「「ごちそうさま」」」
ミサトが、食器を持って立ち上がる。
私も、そうした。

ミサトが、リビングを通って、部屋に戻ろうとする。
「ミサト？」
ミサトに声をかけた。
「何？」
ミサトが、振り返って、私を見る。
「誕生日のプレゼント、シンジと一緒でいいかな？」
ほんの少し上目遣いで、ミサトを見ながら言った。
「あ、そっか。そう言えば、誕生日ね。」
ミサトが笑いながら言う。
「そーよ。忘れてたの？」
思わず、つられて笑いながら言った。
「うん。すっかり。
  そうねー。別にいいわよ。」
「そう？よかった。じゃあ、そうするね。」
「うん。ありがと。」
そう言って、ミサトが部屋に入っていった。
「．．．」
なんとなく、ミサトの部屋のドアを見ていた。
 

２０１９年１２月８日 １２０６

「アスカ。」
シンジの声がした。
「はーい。」
そう言って、椅子から立ち上がる。

ダイニングに行くと、ラーメンが３つ並んでいた。
いつもの椅子に腰を下ろす。
「ミサトいるの？」
「うん。」
シンジが、椅子に腰を下ろしながら言う。
「そう。」
そう言いながら、箸を持った。

ミサトが、ダイニングに入ってくる。
「ラーメンなんだ。」
そう言いながら、椅子に腰をおろした。
「ええ。」
シンジが答える。
「いただきます。」
そう言いながら、ミサトが、箸を汁につけた。

「ミサト、今日は、どこか行かないの？」
麺を飲み込んで言った。
「一応、夕方から出かけるわよ。」
ミサトが、私の方を見て言う。
「そうなんだ。」
ラーメンに目を落として言った。
「うん。どうして？」
「え．．．ううん。別に．．．」
「そう．．．」
「．．．」
沈黙が流れた。

「「「ごちそうさま。」」」
シンジが、器を持って、立ち上がる。
私たちも、そうした。

「ね。」
シンジに話し掛けた。
「何？」
シンジが、器を洗いながら言う。
「渡した？」
「まだ。この後、渡そうと思って。」
「そう。じゃ、渡すとき教えて。」
「うん。」
シンジから離れて、部屋に歩き出した。
 

世界史の問題を解いていた。
「アスカ。」
シンジの声。
「はい。」
そう答えて立ち上がった。

「ミサトさん。」
ミサトの部屋の前に立って、シンジが言う。
「はーい。」
中から、ミサトの声がした。
少しして、ドアが開く。
「何？」
ミサトが私たちを見て言う。
「あの、これ。」
シンジが、リボンのついた小さな箱を差し出す。
「あ、ありがとう。あけていい？」
ミサトが、微笑みながら、シンジを見る。
「ええ。」
シンジが、微笑みながら、頷いた。
ミサトが、包装を開いていく。
いつもしているような形の、赤い石のついたピアスが出てきた。
「あ、ありがとう。」
ミサトが、シンジを見る。
「どういたしまして。」
シンジが微笑んだ。
「ありがと。」
ミサトが私を見る。
「ううん。」
微笑みながら、軽く首を振った。
 

「出かけるから、後よろしくね。」
廊下でミサトの声がした。
「はーい。」
シンジの声がした。
「はーい。」
少し大きな声で答えた。

少しして、玄関のドアの閉まる音がした。
 

地理の問題を解いていた。
「アスカ。」
シンジの声がした。
「はーい。」
そう言って、椅子から立ち上がった。

ダイニングに行くと、テーブルに、カツの卵とじと、おひたし、ひじき煮が並んでいた。
炊飯器の蓋を開けて、お椀に、ごはんを盛っていく。
「あ、ありがと。」
そう言って、シンジが、お味噌汁のお椀を置いた。
「ううん。」
そう言いながら、お椀を置いた。

「「いただきます。」」
箸を取って、お味噌汁に漬けた。
「ミサト、上手く行ってるのかな？」
そう言って、カツを口に入れた。
「さあ。」
シンジが、ひじきを口に入れる。
「．．．」
「うまく行くといいね。」
シンジが呟く。
「そうね。」
カツの卵とじを見ながら呟いた。
 

ドアの開く音がした。
数学の問題集から目を上げる。
「．．．」
なんとなくドアを見ていた。

「さてと．．．寝ようかな。」
軽く伸びをして、そして、問題集を閉じる。
立ち上がって、部屋を出た。

リビングのソファに、ミサトがもたれていた。
「ミサト？」
ミサトが、私を見る。
「起きてたんだ？」
ミサトが言う。
「うん。寝ようかと思って。」
「そう。」
ミサトが、視線を、私から外に戻した。

ハーブティーを２杯いれた。

「ミサト。」
ミサトが、私を見る。
「はい。」
ミサトにカップを差し出した。
「ありがと。」
ミサトが手を伸ばし、カップを受け取る。
ミサトの隣に、腰を下ろした。
カップに口をつける。
沈黙が流れた。

「アスカ。」
ミサトが、小さく呟く。
「何？」
外を見たまま呟いた。
「ありがと．．．」
ミサトが呟く。
「ううん。」
ミサトの手を握った。
「うん．．．」
ミサトが、軽く、私にもたれた。
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モニターのこちら側 Genesis 3:61 完 

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