「次は、どうするの？」
ミサトに話しかけた。
「仁和寺、龍安寺、金閣寺って行こうと思ってるけど。」
ミサトが、前を見たまま答える。
「そうなの。」
「うん。同じ道沿いにあるみたいだから。」
「そうなんだ。」
「まあ、そのくらいなら、そんなに時間かからないんじゃないかな。」
「そう。」
 

仁和寺 駐車場

ミサトが、キーをロックする。
「行こう？」
ミサトが、私を見た。
「うん。」
ミサトに頷いた。

境内を歩いて、そして、拝観料を納めて御殿と霊宝館を見た。ここにも、国宝がいくつかあった。

「国宝って、たくさんあるのね。」
なんとなく口に出してみた。
「そうだね。」
シンジが答える。
「なんでなのかな？」
「．．．なんでだろうね。」
「まあ、いいか。」
「．．．」
沈黙が流れた。
 

車に乗って、ほんの少し走ると、龍安寺に着いた。
 

龍安寺

石庭を見た。

「１５個、石があるの？」
シンジに囁く。
「そうらしいよ。けど、見えないように作ってあるんだって。」
シンジが囁く。
「ふーん。どうして？」
「さあ．．．」
「．．．」
「．．．」
沈黙が流れた。

『見えないように作ってある。なんでだろう．．．』
石庭を見ながら考えたけど、いい考えは浮かばなかった。

なんとなく、頭の中にひっかかりながら、知足のつくばいや、竜安寺垣を見た。
 

少し車に乗って、金閣寺に着いた。
 

金閣寺

「金色だね．．．」
金閣を見て、思わず言ってしまった。
「そうだね。」
シンジが言う。
「なんていうか、ちょっと新鮮ね。」
「そうだね。建物だからね。」
「うん。仏像なら、普通だけど。」
「そうだね。」

鏡湖池を回って、ガイドに載っているアングルからも見てみた。
不思議な感じがした。
 

駐車場

「まだ、時間あるから、少し回ってみようか。」
ミサトが言う。
「けど、駐車場ないんでしょ？」
バックミラーのミサトを見る。
「まあ、なんとかなるでしょ。」
ミサトが、ハンドブレーキを下ろした。
 

等持院

木像がたくさんあった。庭園が見所だったらしい。
 

妙心寺

時間が遅かったので、法堂には入れなかった。
大心院、桂春院、退蔵院を見た。やっぱり庭が見所らしい。
境内が広くて、これだけ見るので、時間いっぱいまでかかってしまった。

「次は、どうするの？」
ミサトに聞いた。
「法金剛院も、広隆寺も、もう入れないみたいだから、帰りましょう？」
ミサトが私を見て、そして、シンジを見る。
「そうですね。」
シンジが言う。
 

リーガロイヤルホテル京都 ８１２号室

「はあー。」
ミサトが、ベッドに腰をおろし、背伸びをしながら、横になる。
「お疲れ様。」
ミサトに言った。
「そんなに移動してないんだけど、見るものが多いと、ちょっと疲れるね。」
ミサトが言う。
「まあ、それはあるかもね。」
「夜、出歩くの、いつにしようか？」
「そうねー。まだ、時間早いし、今日がいいかもね。」
「やっぱ、そう思う？」
「うん。」
「じゃあ、そうしようか。夕飯食べちゃっても、７時くらいで済みそうだし。」
「うん。そうしよう。」
ミサトが起き上がる。
「シンジ君。そういうことだから。」
「了解。」
シンジが、苦笑した。
 

京料理 たん熊北店

「お飲み物は？」
女中さんが聞く。
「私はビール。」
「私は、ウーロン茶。」
「僕も、ウーロン茶で。」
「かしこまりました。」
女中さんが、軽く頭を下げて歩いていった。

「昨日に続いて、高そうなお店ね。」
ミサトを見た。
「ええ。ガイドにも載ってたでしょう？」
ミサトが言う。
「ええ。」
「まあ、ホテルの中にあるんだし、いいんじゃない？」
「そう．．．」

女中さんが、私たちの前に器を置いていく。
「これは？」
シンジが聞く。
「柚子釜と身蟹あちゃら和え、菊花寿しです。」
女中さんが、軽く頭を下げ、歩いていった。
「食べましょう？」
ミサトが、寿司を口に入れる。
シンジが、寿司を口に入れた。
私も、寿司を食べてみた。
「おいしいですね。」
シンジが言う。
「ちょっと贅沢かな。」
ミサトが、顔をほころばせながら言う。
「そうですね。」
シンジも、顔をほころばせながら言った。

女中さんが、器を置いて、軽く頭を下げて歩いていった。
「鱧寿司ですよね？」
シンジが言う。
「そうなんじゃない？」
ミサトが、そう言いながら、口に入れる。
シンジも、口に入れた。
私も、１つ取って食べてみる。
「名物でしたっけ？」
シンジが言う。
「そうなの？よく知らないけど。けど、さすがにおいしいわね。」
ミサトが答える。
「ええ。」
シンジが、また１つ口に入れた。

「今日は、ちょうどいい感じね。」
巨峰を食べながら、言った。
「そうね。少し安い方のコースだから。ちょっと学習したのよ。」
ミサトが、笑いながら、少し押さえ目の声で言う。
「そうなの。」
「うん。この後、出歩く予定だし。」
「そうね。」
巨峰を、また口に入れた。
 

阪急京都線 河原町駅出口

地下鉄を降りると、８時を少し回っていた。
人通りが、結構多い。

「人通り、結構多いね。」
ミサトに言う。
「そうね。繁華街だから。」
「そう。」
「少し賑やかなところ歩こうか。」
ミサトが歩き出す。
シンジと歩き出した。
 

先斗町

「ぎっしりっていう感じね。」
通りの両側の店を眺めながら言った。
「そうね。」
ミサトが言う。
「ま、お酒が飲めるようになったら、また来ましょう？」
ミサトが、微笑んだ。

少し行ったところで、左へ入った。
川を渡って、すぐのところに、たん熊北店の看板。
「これ、ホテルで食べたところの本店？」
ミサトを見た。
「そういうこと。」
ミサトが微笑んだ。

その後、河原町通りを少し見て、新京極通りで、みやげものを色々見た。

「祇園も、少し眺める？」
地下鉄の駅の入り口に戻ってきたときに、ミサトが言った。
「近いの？」
「あの橋の向こうが、祇園だから。」
「そうなんだ。」
「まあ、この時間だと、酔ったおじさんしか見かけないかもしれないけど。」
「なるほど。まあ、行ってみるのもいいかも。」
「いい？」
ミサトが、シンジを見る。
「ええ。」
シンジが、微笑みながら答えた。

四条通を歩いたせいか、特に変わった感じはしなかった。
「舞妓さんとか、見かけたりするの？」
ミサトに話かけた。
「そういうのは、もう少し裏の方に入らないと、ないかもね。」
前を見たまま、ミサトが答える。
「そういうもの？」
「多分ね。」
「そう．．．」

突き当たりの八坂神社まで行って、そして、ホテルに戻った。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 
モニターのこちら側 Genesis 3:55 完 

モニターのこちら側 Genesis 3:56へ

Evaメニューに戻る