リーガロイヤルホテル京都 フロント

「いらっしゃいませ。ご宿泊ですか？」
「予約した葛城ですけど。」
「少々、お待ちください。」
係りの人がキーボードをたたいている。
「葛城様。本日より３泊４日で、３名様。承っております。
  それでは、申し訳ありませんが、こちらにご記入をお願いします。」
「はい。」
ミサトが、差し出された宿泊カードに書き込み始めた。

「はい。」
ミサトが、宿泊カードを差し出す。
「ありがとうございます。それでは、ご案内いたしますので。」
係りの人が、こちらに手を向ける。
振り返ると、係りの人が、コンテナに手をかけ立っていた。
 

８１２号室

「それでは、ごゆっくり。」
係りの人がドアを閉めた。
ミサトが、ベッドに倒れこむ。
「んーっ。極楽、極楽。」
部屋の真中に、ソファとテーブルが置かれ、周りに４つのベッドが置かれていた。
「ベッド、４つあるんだ。」
なんとなく口に出してみた。
「うん。あんまりないみたいなんだけど、空いてたみたいだから。」
ミサトが天井を見たまま言う。
「そう。
  ね。ここ、高くないの？」
ミサトを見ながら言った。
「高いわよ。」
「そう。」
ミサトが、起き上がって、私を見る。
「けど、まあ、警備とか色々あるから。」
「．．．そっか。」
「ま、VIPよりは、かなり落ちるけどね。」
ミサトが、苦笑いする。
「あたりまえでしょ。」
思わず、苦笑した。

「それで、とりあえず、ご飯食べる？」
ミサトが言う。
「うん。お風呂に入りたいところだけど、時間かかるし。」
そう言って、シンジを見た。
シンジが頷く。
「じゃ、行きましょう。」
ミサトが立ち上がった。
 

日本料理 吉兆

「お飲み物は、何にいたしましょう？」
女中さんが聞く。
「私は、ビール。」
女中さんが、私たちの方を見る。
シンジを見た。
シンジが、手を向けて促す。
「ジュース類は、何があるんですか？」
「コーラ、オレンジジュース、ウーロン茶がございます。」
「じゃあ、ウーロン茶で。」
「僕も、ウーロン茶で。」
「かしこまりました。」
女中さんが、軽く頭を下げ、歩いていった。

「なんか、めちゃくちゃ高そう。」
ミサトに言った。
「うん。けど、この中は、似たようなものだから。」
ミサトが、私を見て言う。
「そう．．．」
沈黙が流れた。

女中さんが、私たちの前に器を置いていく。
「これは？」
シンジが聞く。
「ひし蟹吹き寄せと、茸白和えです。」
そう言って、女中さんが、軽く頭を下げ、歩いていった。
「食べましょう？」
ミサトが、ひし蟹を口に入れる。
シンジが、茸を口に入れた。
沈黙が流れた。
「違いますね．．．」
シンジが言う。
「そうね．．．」
ミサトが、そう言って、茸を口に入れた。
私も、茸を口に入れた。
「のど越しが違う？」
シンジを見た。
「うん。」
シンジが頷いた。

女中さんが、軽く頭を下げ、歩いていった。
「栗赤飯．．．」
シンジが呟いて、口に入れる。
私も、一口食べた。
「おいしいね。」
シンジに言った。
シンジが頷いた。

その後、さらにご飯が出てきて、デザートも２種類出てきた。

「なんか、食べ過ぎっていう感じ。」
氷菓子を食べながら、誰に言うともなく言った。
「そうね。」
ミサトが、軽く伸びをしながら言う。
「けど、これで、終わりでしょ？」
「そうみたいだけど。」
「ま、いいんじゃない？」
「うん．．．」
沈黙が流れた。
 

エレベーター内

「ここもプールあるんだ。」
案内を見ながら言った。
「うん。行く？」
ミサトが言う。
「んー。ちょっとね。」
「お腹痛くなりそうよね。」
「うん。そう。」
「とりあえず、部屋に戻ったほうがよさそうね。」
「うん。」
エレベーターの動く音がしていた。
 

８１２号室

「はー。もう動きたくない。」
ベッドに倒れこんだミサトが言う。
「そうね。」
ベッドに腰をおろして、言った。
なんとなく、ベッドに横になってみた。
すごく楽になって、気持ちよくなった。
「ホント、動けなくなりそう。」
天井を見ながら言った。

「僕、先に、お風呂に入っていいかな？」
シンジの声がした。
「いいわよ。」
ミサトが言う。
「私も。」
私も言った。
「うん。じゃあ、お先に。」
シンジが、ビニール袋の擦れる音をさせて、浴室に入っていった。

「．．．カ．．．アスカ。」
肩を揺らされていた。
目を開けると、シンジが、私を見ていた。
「あ．．．寝ちゃってた？」
「うん。」
「．．．」
「お風呂、空いたから。」
「うん。」
起き上がって、バッグに手を伸ばす。
パジャマと下着を出した。
ハッとして、シンジの方を見た。
シンジが、向こうを向いて、何か、バッグの中をいじっていた。
向き直って、ホッと息をついた。
パジャマと下着を、小さなバッグに入れて、浴室に入った。

シャワーで、軽く浴槽を流してから、髪を濡らした。
髪を洗って、リンスをすすぐ。
顔を、洗顔フォームで洗った。
ボディソープを、首から、肩、腕、胸、お腹、背中、股、腰、足に伸ばす。
濡らしたタオルで、泡を落としてから、シャワーで流した。
浴槽の泡を流して、そして、少しお湯をためた。

お湯につかって、壁を見上げる。
思わず、あくびが出た。
『寝ちゃわないようにしないと。』
手で撫ぜて、ボディソープが残っていないか確かめてから、立ち上がった。

身体を拭いて、下着をつけ、パジャマを着て、浴室を出た。

ミサトもシンジも、ベッドに横になっていた。

「ミサト。ミサト。」
ミサトの肩を揺らしながら、言った。
「んーん．．．なぁにぃ？」
少し不機嫌そうに、ミサトが言う。
「お風呂、空いたわよ。」
「んー．．．明日にする。」
「．．．」
ミサトから手を離した。

軽くため息をついて、ベッドに戻った。
袋から服を出して、クローゼットにかける。
下着を、別の袋に入れて、バッグに入れた。

シンジの方を見た。
「もう寝た？」
シンジに話し掛けた。
「ん？ううん。」
シンジが、少し眠そうに答える。
「．．．おやすみ。シンジ。」
「おやすみ。アスカ。」

ベッドに横になった。
天井が見えた。
軽くため息をついた。
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モニターのこちら側 Genesis 3:53 完 

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