「食べない？」
シンジが、私を見て言う。
「うん。」
箸を取って、鶏肉を口に入れた。
スープっぽい味がした。
「こういう味なんだ。」
そう言って、シンジを見た。

シンジとミサトが、お汁をすくって飲む。
「なるほど。なかなかおいしいね。」
シンジが呟く。
「そうね。」
ミサトが、鶏肉を口に入れた。

デザートのアイスのようなものを食べていた。
「ちょっと暑かったね。」
シンジに言った。
「うん。けど、まあ、名物だし。」
シンジが、苦笑しながら言う。
「うん。」
私も苦笑いしながら言った。
「これ、何なんだろう。」
シンジがアイスをスプーンで触りながら言う。
「蘇が、少し入ってるのかも。」
シンジに言った。
「蘇？ああ、この辺のチーズだっけ？」
「うん。分かんないけど。」
「そうかもね。蘇も少し買っていこうか。」
「そうね。」
アイスを口に入れた。

「この後、どうするの？」
ミサトが言う。
「飛鳥寺と、石舞台古墳と高松塚古墳。」
ミサトに答えた。
「ここからだと、石舞台古墳が一番近いけど、高松塚古墳が少し遠いね。」
シンジが言う。
「そうなの。後は見ないの？」
「うーん。どこかよさそうなところある？」
「けど、もう２時だし。」
「あ、そっか。じゃあ、急いだほうがいいかも。」
「じゃあ、そういうことにしましょう。まず、石舞台古墳ね。」
「うん。」
そう言って、席を立った。
 

石舞台古墳

「ほんとに近いわね。」
ミサトに言った。
「うん。２ｋｍないしね。」
ミサトが答える。
入場料を払って、中に入る。
石の下に入って、そして出てきた。

写真を何枚か撮って、車に戻った。

「なんか、あっけないわね。」
口を開いた。
「そうだね。」
シンジが答える
「まあ、けど、こんなものじゃないかな。」
ミサトが、そう言って、ハンドブレーキを下ろした。
「蘇、買うの？」
シンジが言う。
「うん。」
シンジに答えた。
「じゃあ、すぐそこの、あすか野に、ちょっと寄ってください。」
シンジが、ミサトに言う。
「了解。」
ルノーが動き出した。
 

飛鳥寺

あすか野から、数分で、飛鳥寺に着いた。
拝観料を払って、中に入る。
飛鳥大仏を見た。

ここでも写真を何枚か撮って、そして車に戻った。

「日本最古の仏像？」
シンジに聞いた。
「そうみたいだね。日本初の本格的な寺院らしいけど。」
シンジが言う。
「ふーん。」
なんだか、あまり実感が湧かないというか、不思議な感じがした。
私と同じ名前のお寺．．．
「ここ近くに神社もあるみたいだけど。」
「飛鳥坐神社？」
「うん。」
「行ってみる？」
ミサトが言う。
「うーん。すぐなんだっけ？」
「歩きで５分みたいだよ。」
「そうなんだ。じゃあ、行ってみる。」
「了解。」
 

飛鳥坐神社

森の中に神社があった。そんなに大きくない。拝観料はいらなかった。
賽銭箱に、拝観料くらいのお金を入れた。

ミサトが、拍手をして、お辞儀をしている。
「何それ？」
「うん？神社では、こうするみたいよ。」
「ふーん。どうするの？」
「２回お辞儀をして、２回拍手をして、１回お辞儀をするの。」
「ふーん。」
なんとなく、真似をして、お辞儀と拍手をしてみた。
ここでも、何枚か写真を撮って、車に戻った。
 

「けど、日本て、不思議よねー。」
フロントガラスの向こうを見ながら言った。
「何が？」
ミサトが言う。
「神社とお寺が、あんなに近くにあるなんて。しかも同じ名前で。」
「そうねー。まあ、けど、１つの宗教しかない国だけじゃないし。キリスト教でも色々宗派があるとか、キリスト教とイスラム教の教会が並んで立ってるとか、国によって、色々あるみたいだから、いいんじゃないの？」
「まあ、それもそうかもね。」
沈黙が流れた。
 

高松塚古墳

「近いわね。」
古墳に歩きながら言った。
「４ｋｍないのよね。」
ミサトが言う。
「まあ、早く回り終わるのはいいかも。」
ミサトに答えた。

古墳は、閉鎖されていて、外からしか見れなかった。
ちょっとした、小山のような感じで、木が茂っていた。
一応、写真を撮って、壁画館に入った。
なんとなく見たことのある壁画を見た。

車に戻ると、３時ちょっと過ぎだった。

「じゃあ、法隆寺に行く？」
シンジとミサトに聞いてみた。
シンジが、ガイドを開いた。
「法隆寺は、４時までみたいだね。」
シンジが言う。
「じゃあ、行っても、今日は、あんまり見られない？」
「うん。ちょうど４時くらいになりそうだから、見られないかも。」
「そっか。じゃあ、どうする？ちょっと早いけど、宿に行く？」
「そう言えばさ、この近く、葛城って言うところあるの？」
ミサトが言う。
「あ、ええ。ありますよ。」
シンジが答える。
「そこ行ってみてもいいかな。標識に出てて、ちょっと気になったんだ。実は。」
ミサトが、バックミラー越しに私を見る。
「いいわよ。」
ミサトに微笑む。
「サンキュー。じゃ、ナビよろしくね。」
ミサトが、シンジのほうを、ちらっと見た。

「葛城山と、葛城一言主神社っていうのがあるみたいですね。」
シンジが言う。
「時間は？」
ミサトが言う。
「特に書いてありません。」
「そう。」
「葛城山は、ロープウェイがあるみたいです。」
「あ、じゃあ、まず、それ行きましょう？」
「はい。とりあえず、まっすぐです。」
「了解。」
 

葛城山ロープウェイ

時間が遅いせいか、ロープウェイは、結構空いていた。
ロープウェイを降りると、山頂まで、１５分という看板が出ていた。
「行く？」
ミサトを見た。
「まあ、他にすることなさそうだし、行きましょう？」
「そうね。」
苦笑いしながら、答えた。

山頂は、広くて、眺めがよくて、そして、ススキが辺り一面にはえていた。
「ちょっといい感じね。」
シンジに呟いた。
「そうだね。」
少しの間、シンジと並んで、山並みを見ていた。

ロープウェイを降りると、辺りが、ほんの少し暗くなってきているような気がした。
「あと、一言主神社だっけ？」
ハンドブレーキを下ろしながら、ミサトが言う。
「ええ。」
シンジが答える。
「じゃ、ナビよろしく。」
「はい。」
 

葛城一言主神社

「この辺って、ホント近いわね。」
ここまで、１０分もかかっていなかった。
「そうね。まあ、そういうところなんじゃない？」
ミサトが答えた。

ミサトが、また、拍手をして、お辞儀をしている。
私も、賽銭を入れて、拍手をして、お辞儀をした。

「ここは、願い事を１つだけかなえてくれるみたいですよ。」
シンジが、ミサトに言う。
「そうなんだ。かなえてくれるかな？」
「何お願いしたの？」
「内緒。」
「ふふふ。まあ、そうよね。」
「でしょ？内緒内緒。」
ミサトと二人で、クスクス笑いあった。

何枚か写真を撮って、車に戻った。

「さて、じゃ、宿に行きましょう？」
ミサトが言う。
「はい。前の道に出て、左です。」
シンジが答える。
「了解。」
ルノーが動き出した。
 

法隆寺グランドホテル フロント

「予約した葛城ですけど。」
「葛城様、少々お待ちください。」
係りの人が端末を操作している。
「はい。承っておリます。３名様。」
「はい。」
「では、こちらにご記入お願いします。」
「はい。」
ミサトが、宿泊カードに書きこんでいる。

「はい。」
ミサトが、宿泊カードを出す。
「ありがとうございます。それでは、こちらがキーになりますので。」
「はい。」
「それでは、ごゆっくり。」
「はい。」
ミサトが、私達の方に振りかえる。
「いきましょう？」
ミサトに頷いた。
 

５０３号室

ツインの部屋に補助のベッドが入れられていた。
ミサトが、補助のベッドに荷物を置いて、仰向けに寝転がる。
「うーん。」
ミサトが、ベッドの上で伸びをする。
「じゃあ、これは、私が使うから。」
ミサトが、私を見て、言う。
「あ、私が使うわよ。今日、何もしてないし。ミサト、疲れてるでしょ？」
ミサトに言った。
「そう？ありがと。まあ、ホントは、もう一部屋取りたいところなんだけど、許してね。
  それで、夕飯、すぐ行く？それとも、お風呂入ってから行く？」
シンジを見た。
シンジが頷く。
「とりあえず、夕飯にしようかな。お腹減ったし。」
ミサトに微笑んだ。
「了解。私も、お腹減ってたんだ。」
ミサトが微笑んだ。
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モニターのこちら側 Genesis 3:49 完 

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