| −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 「それで、いつ頃行くの？」 ミサトに聞いた。 「そうねー。結構暑いところだから、９月末とかがいいと思うけど。」 ミサトが言う。 「そうなの。どこに行くとか、定番はあるの？」 「うーんと、京都は、確か、金閣寺とか、銀閣寺とか、清水寺とか．．． 奈良は、法隆寺の五重塔とか、東大寺とか、春日大社．．．だったかな．．．」 「なんか、聞いたことある。金閣寺って、金色の建物でしょ？」 「そうそう。他にもあると思うけど、行ったことあるわけじゃないから。」 ミサトが申し訳なさそうな顔をする。 「行ったことなくて、それだけ出てくれば十分よ。」 微笑みながら、ミサトを見た。 「ありがと。まあ、私も、調べるけど、二人も調べてくれる？日数は、奈良が１泊に、京都が２泊くらいでいいと思うんだけど。あと１日くらい伸ばして、ゆっくりするのもいいかも。」 「そうなの。ま、いいわ。結構日があるし。」 そう言って、シンジを見た。 シンジが頷く。 「うん。よろしくね。」 ミサトが微笑んだ。 戦略自衛隊 松代駐屯地 ５４号ビル ３３号室 端末からInternet上のページを手繰っていた。 キーワードは、京都 観光、奈良 観光。 観光スポットが凄く多いことが分かった。 こんなにプリントアウトしたら、持ち歩くのが大変かも．．． ガイドとか買ったほうがいいかな．．． 帰りに、本屋さんにいってみようか．．． ページを手繰りながら、そんなことを思っていた。 奈良の観光スポットに飛鳥とか明日香という地名があるのに気づいた。 私と同じ名前．．． 私の名前、ここから来てるのかな？ どんなところなんだろう。 写真を見つけて見てみた。田舎っていう雰囲気の場所だった。 なんとなく、行ってみたくなってきていた。 何度目かのベルが鳴った。 「行く？」 マヤが私に声をかける。 「うん。」 端末を落として、立ち上がった。 階段を降りていくと、入り口に、シンジ達が立っていた。 「おまたせ。」 マヤが言う。 「じゃ、行こっか。」 ミサトが、そう言って、歩き出した。 マヤ達が前を歩いている。 「ね。」 口をひらいた。 「ん？」 ミサトが私を見る。 シンジも、私の方を見た。 「奈良に、飛鳥って言うところあるのね。」 「うん。知らなかった？」 「うーん。忘れてた。日本史の勉強してて出てきたかも。」 「確か、小学校か中学で習うんじゃなかったかな。」 「そうなの。」 「うん。」 「やっぱり、そこから来てるのかな。私の名前。」 「多分ね。他には、あんまり聞かないし。」 「そう。」 「けど、いいんじゃない？皆、習うから、知ってて、すぐ憶えてくれるし。」 「そっか。そうかもね。」 「うん。」 沈黙が流れた。 「そう言えばさ。」 ミサトが、シンジを見る。 「シンジ君のお母さんとか、指令って、京大出てるんじゃなかったっけ？」 シンジが、ミサトを見る。 「そうなんですか？」 「そうじゃなかったかな。副指令が、京大の先生だったかな．．．」 「そうなんですか。」 「うん。京大も寄ってみようか。そんなに、お寺とかから離れてなかったと思うし。」 「そうですね。」 シンジが、ほんの少し作ったように、微笑みながら言った。 「やっぱりさ、午前中、Internetで、色々調べてた？」 ミサトの方を見ながら言った。 「当たり。アスカも調べてたんでしょ？」 ミサトが、笑いながら言う。 「うん。けど、たくさんありすぎて、ガイド買った方がいいような気がしてきたわ。」 「そうね。ガイドの方が、持ち運びに簡単そうだし。」 「うん。今日、帰りに買って帰ろうか。」 「そうね。」 ミサトと微笑みあって、頷いた。 ながの東急内 書店 「結構、種類あるわね。」 本棚を眺めながら言った。 「そうだね。京都と奈良だけ、たくさんあるね。」 シンジが答える。 「じゃあ、適当に好きなの選んで買ってみる？」 「そうだね。」 色々見て、シンジは、説明の多そうな、小さい版のガイドを。私は、少し写真の大きい、大きい版のガイドを買った。 地下鉄内 二人で、ガイドを見ていた。 「どの辺に行くといいのかな。」 少し大きな声で言った。 「今朝、ミサトさんが言ってた所を、とりあえず調べて、その周辺でいいんじゃないかな。」 「．．．」 「これ、全部回ったら、凄い日数かかりそうだよ。」 「そうね．．．確かに．．．」 奈良のガイドの全体の地図のページを開いて見る。いくつものブロックがあって、ガイドをざっと見た感じでも、それぞれ、１日はかかりそうな感じがした。 京都に至っては、１つのブロックでも、細かく見たら、２、３日はかかりそうな感じだった。 「考えてみたら、私達、受験生だもんね。」 少し大きな声で言った。 「うん。まあ、けど、去年は、色々、ごたごたしてたから。１週間くらい、いいんじゃない？」 シンジが言う。 「そうよね．．．」 ガイドを見ながら、呟いた。 メゾン松代 １２１号室 リビング 夕飯を食べた後、リビングで、ガイドを見ながら、行き先を選んでいた。 「まず、飛鳥の、飛鳥寺、石舞台古墳、高松塚古墳は決まりでしょ？」 シンジを見て言った。 「うん。そうだね。」 シンジが、苦笑いをしながら言う。 「あとは、法隆寺と、東大寺と、春日大社と、興福寺？」 「そうだね。１日目と２日目かな。２日目に、京都に移動できるかな．．．」 「そうね。うまく回れるかな。」 「１日目、どのくらいに着けるかな？」 「どうかしら。 ねえ、ミサト？」 ミサトの部屋の方を見て、少し大きな声で言った。 少しして、ミサトの部屋のドアが開く。 「何？」 ミサトが言う。 「１日目、奈良、いつ頃着くかな？」 ミサトに聞いた。 「そうねー。確か、奈良まで、５００ｋｍくらいだから、６時間くらいだと思うけど。車でも、電車でも。」 「そうなの。ちなみに車？それとも電車？」 「そうねー。６時間かー。ま、車でもいいわよ。」 「そう。」 「まあ、京都は、車止めるところ、少ないと思うから、あんまり役に立たないと思うけど。」 「そう．．．車でいい？」 「いいわよ。」 「じゃあ、車で。それで、６時間だと、８時に出て、１４時かー。」 ガイドを眺めた。 「飛鳥の辺りを２時間で回ったとして、法隆寺に移動しても、入れないかもね。」 シンジが言う。 「そうね。法隆寺の近くに宿を取っておいて、早く着いたら、法隆寺に入るって言う感じかな．．．」 ガイドを見ながら言った。 「そしたら、翌日、東大寺と、春日大社と、興福寺を見て、京都に移動すれば、いいんじゃないかな。」 「それで、次の日と、その次の日で、京都を見て帰ってくると。」 「ついた日の夜は、出歩けるかもしれないし。」 ミサトが言う。 「そうね。そんな感じかな。」 ガイドを見ながら呟いた。 「京都は、どの辺を回る？」 シンジが言う。 「金閣寺、銀閣寺、清水寺っていうと、洛西と洛東みたいよね。」 シンジを見ながら言った。 「そうだね。」 「それでいいんじゃない？細かく見ると、たくさんあるし。」 「そうだね。洛西は、金閣寺、等持院、龍安寺、仁和寺、妙心寺、法金剛院、広隆寺、それに、少し離れて、天龍寺。洛東は、三十三間堂、清水寺、智恩院、南禅寺、銀閣寺っていう感じかな。 あと、京大が、銀閣寺の近くにあるみたいだよ。」 「細かいわ。しかも、適当に落ちてるし。」 苦笑いしながら、シンジに言った。 「ごめん。」 苦笑いしながら、シンジが言う。 「まあ、回れないこともないと思うけど．．．京都、３泊にしようか。」 ミサトが言う。 「それがいいかも。」 ミサトを見た。 「それか、自転車で、走りまわって、１日で何とかするか。」 「きついかも。」 「そうねー。３泊にしようか。全部で、４泊５日か。ま、いいかな。」 「ふふ。決まりね？」 ミサトに微笑む。 「うん。とりあえず、その方向で、許可取ってみるわ。」 ミサトが微笑んだ。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− モニターのこちら側 Genesis 3:47 完 |