部屋にナップザックを置き、部屋着とタオルを持って、浴場に行く。

部屋着とタオルを脱衣籠に入れる。
リボンを解き、背中のチャックを下ろしてベストを脱ぎ、ウェストのホックを外してスカートを下ろし、籠に入れる。
ブラウスを脱いで、籠に入れた。
ブラを外し、パンティーを脱いで籠に入れる。
ミサトを見た。
ミサトが私を見ていた。
「入ろう？」
ミサトに言う。
「ええ。」
ミサトが呟いた。

「お風呂入る？」
浴室のサッシを閉めながらミサトに聞いた。
ミサトが私をみる。
「うん。」
ミサトが頷いた。
小さい浴槽に歩いていき、蛇口をひねってお湯を出した。

シャワーでシャンプーを流し、リンスを伸ばして軽く流して、浴槽を見た。
半分くらいお湯が入っていた。
浴槽に歩いていき、お湯を止めた。
ミサトが、体に石鹸を伸ばしていた。
石鹸を泡立てて、体に伸ばしていく。
腕から、肩、胸、お腹、股、背中、腰、そして足。
顔に石鹸を伸ばして、洗い流す。
ぬめりがなくなってから、体の石鹸を流した。
シャワーを止める。

ミサトが、お湯を足しながら、お湯に浸かっていた。
「入るね。」
そう言ってお湯に浸かった。

お湯を入れる音がしていた。

ミサトが、お湯を止める。
音が反射してこもるような感じだけがしていた。

「ミサト？」
なんとなく口を開いた。
沈黙が流れた。

「何？」
ミサトが口を開く。
「．．．」
問われて少し考えていた。
「．．．」
「なんでもない。」
「そう。」
沈黙が流れた。

「私達、どこに行くのかしらね。」
ミサトが口を開く。
「どこって？」
ミサトを見た。
ミサトが、向こうの壁と天井の合わせ目のあたりを見ていた。
「どこ、は変かな。どうなるのかな。」
ミサトを見ていた。
目がうつろな気がした。
「このまま３人でいたら、とか？」
「そうね。」
「３人でいたら．．．そのうち子供とか作るんじゃない？」
ミサトが、私を見る。
「私も？」
「．．．うん。」
「何言ってるか分かってる？」
「一応．．．」
ミサトが私を見つめて、そしてまた視線を戻した。
「そう．．．」
「３人しかいなかったら、仕方ないんじゃない？」
「．．．」
「できたら、そうでない方がいいけど。けど、今のところ、３人しかいないみたいだし。」
「．．．」
「大人って、そういうものなんでしょ？」
「．．．」
沈黙が流れた。

「なんだか、自分で自分が嫌になるわ．．．」
ミサトが呟く。
ミサトから視線を逸らして、天井を見上げた。
「そういうこと言ってると、私みたいになるわよ。」
沈黙が流れた。

「アスカみたいになるのは、結構いいかも。」
ミサトを見た。
ミサトが微笑んで、私を見ていた。
「そう。」
ミサトに微笑んだ。

「出ない？」
ミサトに言う。
「ええ。」
ミサトが答えた。

軽く体を拭いて浴場から出て、脱衣所で少し体を冷ました。
タオルを洗って、体の水を拭き取り、下着をつけ、部屋着を着た。
洗濯機に制服と下着を入れてスイッチを入れた。

食堂に入ると、シンジが椅子に座っていた。
「ちょっと待っててね。」
シンジが、微笑みながら立ちあがる。
「うん。」
シンジに微笑んだ。
シンジが、調理場から、お盆に湯のみを載せて出てくる。
「はい。」
私達の前に湯のみを置いた。
ラベンダーの香りがした。
「ラベンダー？」
思わず呟いた。
「うん。」
「そんなものまであるんだ。」
「気分を落ちつけるのにいいんだっけ？」
「ああ．．．なるほど。」
ここは非常時に使われるんだ。そういう準備もしてるわけね．．．
湯のみを取って、口をつけた。
薄い紅茶のような味がした。

シンジが、ピラフとほうれん草のおひたし、コンソメスープを置いていく。
「なんだか豪華ね。」
シンジを見て言った。
「今日は、随分歩いたし。」
微笑みながら言う。
「そうね。」
シンジに微笑んだ。
シンジが、椅子に腰を下ろす。
「食べよう？」
「うん。」
「「「いただきます。」」」
シンジが、スープに口をつけた。

「食べ物って、あとどのくらい持つのかな？」
ピラフを飲みこんで、言った。
「どのくらいかな。１年くらいは持ちそうだけど。」
シンジが言う。
「そしたら、校庭を畑とか田んぼにしないといけないかしら。」
「校庭は、少し掘り起こして、土を出して肥料を入れて．．．」
「農薬とかもいるのかな。」
「うーん。少し勉強した方がよさそうだね。」
「．．．そうね。」
そもそも、どのくらいの広さに、どんなものを植えれば暮らしていけるのかさえ分からない。食べ物だけじゃなくて、着るものもいるのだ。
「１年だときついかもね。１年でうまくできるとは限らないし。自然に生えてるものとかも探さないといけないかも。」
「そうだね。」
シンジが、スープを飲んだ。

「「「ごちそうさま。」」」
シンジが、皿をかたしていく。
「私が持っていこうか？」
シンジに聞いた。
「あ、じゃあ、デザート持ってくるから。持ってきてくれる？」
「うん。」
シンジが、調理場に歩いていった。
ピラフとおひたしの皿を重ね、スプーンを載せて、調理場に持っていく。
「ありがとう。」
シンジが、私の方をちらっと見て言う。
「どういたしまして。」
皿を、流しの脇に置いた。
テーブルに戻り、スープのカップを持った。
調理場に入ると、シンジが、あんみつの餡を盛りつけていた。
シンジが、あんみつの器をお盆に載せる。
「お待たせ。」
「ううん。」
「行こう。」
「うん。」

テーブルに戻って腰を下ろす。
シンジが、あんみつの器とスプーンを私達の前に置く。
「どうぞ。」
「うん。いただきます。」
「「いただきます。」」
ミサトが餡と寒天をすくって口に入れる。
「おいしいね。」
ミサトが微笑んだ。

あんみつを食べ終わり、シンジが器を片して、調理場から出てきた。
「ね、シンジ？」
「何？」
シンジが私を見る。
「チェロ、弾いてよ。」
「ああ。いいよ。僕の部屋でいい？」
「うん。」
「じゃあ、行こう。」
「うん。ミサトも聞くでしょ？」
「チェロ？」
「うん。シンジが弾いてるの聞いたことない？」
「ないけど．．．」
「じゃあ、聞いてみなくちゃ。」
「そう。」
シンジが、椅子を持って部屋に歩いていく。私達は、その後をついていった。

シンジが、チェロをケースから出して、少しの間調節していた。
「じゃ、弾くね。」
シンジが、チェロを弾き始める。
あの時聞いた曲が、広間に響き始めた。
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モニターのこちら側 Genesis 3:28 完

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