「そろそろ戻ろうか。」
シンジが言う。
ミサトを見た。
ミサトが頷く。
「そうね。」
シンジを見て、そう言った。
「じゃ、行こうか。」
シンジが立ちあがる。
私も立ちあがった。
ミサトを見る。
ミサトが立ちあがって、私を見ていた。

街中を歩いていると、パラパラと雨が降り出した。
皆、鞄から傘を出して、広げる。
雨脚が強くなった。
「びしょ濡れになっちゃいそうだね。」
シンジが言う。
「そうね。」
「この辺りだと．．．家が近いかな。」
コンフォート１７マンションの近くだった。
「玄関前で雨宿りしていこうか。」
シンジが言う。
「そうしよう。」
皆で、マンションの方へ急いだ。

コンフォート１７マンションの玄関前の屋根の下で、雨宿りしていた。
「降るわね。」
空を見上げながら呟いた。
「そうだね。」
シンジが言う。
「ここが使えるといいのに。」
「そうだね。」
沈黙が流れた。

「これから、どうなるのかしら。」
暗くなり始めた空から降ってくる雨を見ながら呟いた。
「．．．」
誰も答えなかった。
沈黙が流れた。

「そろそろ行こうか。暗くなるから。」
シンジが言う。
雨脚は、それほど弱まっていなかったが、暗くなっているのは確かだった。
街灯もなければ、懐中電灯も持っていない。戻らなくてはならないのは明らかだった。
「行こう。ミサト。」
ミサトを見た。
ミサトが肯いた。

学校に着くと、辺りは薄暗くなっていた。
校舎に入り、シェルターへの階段を降りる。
「シンジ、シャワー浴びるでしょ？」
シンジに聞いた。
「うん．．．夕飯少し遅くなるけど、いい？」
シンジが少し不安そうに私を見る。
「いいよ。」
シンジに微笑んだ。
「ありがとう。」
シンジが微笑んだ。

広間に戻って着替えを取り、浴場へ。

着替えを脱衣籠に入れた。
スカートのホックを外し、ジッパーを下ろして、スカートを下ろす。
スカートから足を抜いて、別の脱衣籠に入れる。
「結構、濡れちゃったな．．．」
色の変わった裾を見て呟いた。
ベストを脱いで、籠に入れる。
リボンを解き、籠に入れた。
シャツのボタンを外し、腕を抜いて、籠の中へ。
ブラを外し、パンティーを脱いで籠に入れた。
ミサトを見た。
ミサトが私を見ていた。
「お待たせ。」
「ううん。」
「入りましょ？」
「うん。」

サッシを開けて、浴場に入った。
「また、入る？」
ミサトに聞いた。
「いいかも。」
ミサトが微笑む。
「じゃ、そうしよ。」
小さい浴槽にお湯を入れはじめた。

シャワーで髪を濡らし、頭を洗う。
『ほんと。恵まれてるわよね。』
頭の中でそう呟いた。
ここ以外では、何も動かないのだから。
本来なら、ここでも、シャワーを使えるのは、何日かに一回のはず。
「そうした方がいいかもしれない。」
頭の中で呟いた。
シャワーでシャンプーを流し、髪にリンスを伸ばす。
浴槽を見ると、６割程お湯が入っていた。
浴槽に歩いていって、お湯を止めた。
リンスを軽く流して、体に石鹸を伸ばしていく。
手で石鹸を泡立て、顔に伸ばし、顔から流していく。
顔のぬめりが取れてから、肩、脇の下、手、胸、お腹、背中、股、お尻、そして足を流した。
シャワーを止めて、立ちあがった。

浴槽に入り、お湯を再び出し始める。
お湯に肩まで浸かった。
息を吐いた。
ミサトが入ってくる。
お湯が、ほぼ一杯になる。
ミサトがお湯を止めた。

「これから、どうなるのかな。」
なんとなく呟いた。
「分からない。」
ミサトが呟く。
「人、戻ってこないみたいだし。」
「そうね。」
沈黙が流れた。

「それもいいかな．．．アスカとシンジ君がいてくれれば。」
ミサトが言う。
ミサトを見た。
ミサトが天井の方を見ていた。
「人が戻ってきたら、私達は、しばらく拘束されると思う。」
「．．．」
「いきなり殺されたりはしないと思う。あのときみたいに事態は切迫してないし。」
「．．．」
「アスカは、人を殺してしまってるけど、殺されそうになってたし、死刑にはならないと思う。」
「．．．」
「多分、裁判があると思うけど、その進み方を決めるのは、いくつか要素があるから、なんとも言えないわ。委員会が残っていれば、私達をまた利用しようとするだろうし、残っていなければ、ネルフと委員会の情報の公開の度合いによるわ。」
「委員会？」
「ネルフの上部組織よ。あの時、日本政府にネルフを攻撃させたのも、委員会。」
「そう。」
「まあ、その辺りは、ちょっと分からないわ。」
「．．．」
沈黙が流れた。

「けど、いづれにしても、また、３人でいたいな。」
ミサトが呟く。
ミサトを見た。
ミサトが私を見ていた。
ミサトが私の手に手を重ねた。
ミサトから視線を逸らし、天井を見た。
沈黙が流れた。

「そろそろ出る？」
そう言って、ミサトを見た。
「うん。」
ミサトが手を離し、立ちあがる。
私も立ちあがった。

浴場の中で軽く体を拭いた。
脱衣所に出て、少し体を冷ました。
タオルを洗って体を拭き、下着を着け、制服を着る。
「普通の服があれば、いいんだけどな。」
思わず、呟いた。
「家、行ってみようか。」
ミサトが言う。
ミサトを見た。
「けど、入れないわよ。」
「玄関？」
「そう。」
「確か、鍵をいくつか開けると開くようになってたはずだけど。」
「そうなの？」
「確か、そう。
  私も、少し服欲しい気もするし。明日行ってみる？」
「いいかも。」
ミサトに微笑んだ。
「じゃ、行ってみましょう？」
ミサトが微笑んだ。

服を洗濯機に入れて、食堂に行くと、シンジが夕食の用意をしていた。
「もう少し、待っててくれる？」
シンジが言う。
「うん。大丈夫だから。」
そう答えた。

しばらくして、シンジがスパゲティーを持ってきた。
「有り合わせっていう感じだけど。」
ペペロンチーノの具を少なくしたような感じのスパゲティーだった。
それにコーンとグリーンピース、にんじんを刻んだものが添えてある。
「ご飯、いる？」
「私はいいわ。」
シンジがミサトを見る。
「私もいいから。」
「了解。」
シンジが調理場に戻っていった。

少しして、シンジがコンソメ・スープを持ってきた。
私達の前にカップを置いて、それに注ぐ。
シンジが椅子に座った。
「食べよう？」
シンジが言う。
３人で目で合図を交わす。
「「「いただきます。」」」
シンジが微笑んで、スパゲティーをフォークに絡めはじめた。
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モニターのこちら側 Genesis 3:18 完 

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