モノリスが囲んでいるスクリーンに、レイの映像が映し出されている。
「本物のリリスが現れた。」
「これは、僥倖なのか。それとも、破滅の先駆なのか。」
「彼女は補完を止めた。」
「我々の願いを妨げるもの。」
「殲滅あるのみ。」
 

発令所

リツコの携帯が鳴った。
「はい。」
『赤木博士。我々の決定を伝える。リリスを殲滅せよ。以上。』
「分かりました。」
リツコが携帯を切った。

「エヴァ操縦席に発生したＡＴフィールドが拡大しています。」
オペレーターが声を上げる。
「どこまで？」
リツコがフロントスクリーンを見たまま聞く。
「エヴァの胴体全体を覆いました。」
「まさか、融合しようとしている？」
「エヴァの全身を覆いました。エヴァが、綾波レイに変化。」
「エヴァを攻撃対象に変更。」
「了解。エヴァを攻撃対象に変更。」
 

大気圏

綾波レイに変形したエヴァに向かって、他の量産機が、ロンギヌスの槍を抱えて、一気に動き始める。
量産機が、レイにロンギヌスの槍を突きたてようとした、その瞬間、ロンギヌスの槍がボロボロと崩れ落ち始める。
 

発令所

「綾波レイから、アンチＡＴフィールドが展開。」
オペレーターが声を上げる。
「退いて！」
即座にリツコが指示を出す。
量産機が、高速に後退した。
「綾波レイが、２１号機へ接近。接触します。」
フロントスクリーンに、２１号機へ手を伸ばす巨大化したレイの姿が映った。
そして、その手が２１号機に触れた瞬間、２１号機がボロボロと崩れ去った。
「２１号機、崩壊していきます。消滅しました。」
「消滅．．．」
リツコが目を見開いて、フロントスクリーンを見ていた。
「綾波レイが、２５号機へ接近。」
 

エヴァ内部

『２つ目。』
レイが呟く。
エヴァが、近づいた量産機に手を伸ばし、触れる。
そして、レイが何かを呟く。
その瞬間、量産機が、ボロボロと崩れていく。
『なんか、すごいわね。』
アスカが呟いた。
 

発令所

「撤退して。」
リツコが言う。
「了解。」
オペレーターが答えた。
量産機が散り散りに逃げ始める。
「綾波レイから、強力なアンチＡＴフィールドが展開しています！」
オペレーターが声を上げた。
 

エヴァ内部

撤退しようとした量産機が動きを止め、そして、ボロボロと崩れ始める。
レイが、何かを呟いている。
そして、量産機が消え、レイが呟くのを止める。
『それ、何？』
アスカが聞く。
『．．．何でもないわ。』
レイが答えた。

前を見ると、リリスが、こちらを見ていた。
『次は、あれ？』
アスカが聞く。
『そうね。』
レイが答える。
そして、リリスの方へ動き始めた。
 

発令所

「綾波レイが、リリスへ接近しています。あと３秒で接触。」
オペレーターが報告する。
「．．．」
リツコは、無言のまま、フロントスクリーンを見ていた。
 

エヴァ内部

レイがリリスに手を伸ばし、そして、触れた。
『汝の罪を許す。』
そう呟いた瞬間、リリスがボロボロと崩れだし、そして、消滅した。
『汝の罪を許す．．．あんた、何者？』
アスカが呟く。
『さあ．．．』
レイが呟いた。
 

発令所

「綾波レイが、融合したエヴァを崩壊させながら、急速に降下しています。」
オペレーターが言う。
「降下予測位置、芦ノ湖。非常に高い確率で、ここに降りてきます。」
フロントスクリーンに、降下予測位置が表示されている。
「来るのね．．．」
リツコが呟いた。
 

エヴァ内部

『どこに行こうとしてるわけ？』
アスカが問う。
『発令所。』
レイが答える。
『一網打尽ってわけ？』
『そう。』
『了解。』
 

発令所

「綾波レイが、ここに到達するまで、あと１０秒。」
「．．．」
「９、８、７、６、５、４、３、２、１。
  発令所内に高エネルギー反応。パターン青。人間。綾波レイです！」
オペレーターが振り向くと、綾波レイが手を掲げて立っていた。
そして、周囲の人々が次々とＬＣＬ化していく様子が目に入った。

レイが、ＬＣＬ化したリツコの携帯を見る。
歩いていき、そして、携帯に手を触れた。
 

旧ネルフ松代支部
国連直轄 人工進化研究所 所長室

モノリスに囲まれたスクリーンの上に、綾波レイが現れた。
「リリス！？」
「とうとうここまで。」
次の瞬間、世界各地で、ゼーレのメンバーがＬＣＬ化した。
 

戦略自衛隊 松代駐屯地 駐車場

綾波レイが現れる。
そして、その輪郭がぼやけ、３人の人になった。
『それじゃ。』
レイがアスカの頭の中で言う。
『ええ。ありがとう。』
アスカが頭の中で答えた。

倒れているシンジの脇にしゃがみ、シンジの肩を揺らす。
「シンジ？シンジ？」
「ん．．．」
「シンジ？」
「ん．．．」
そう言って、シンジが起き上がり、そして、ため息をつく。
「アスカ．．．ここは？」
「．．．」
アスカが脇に止まっているルノーを指差す。
「そっか。駐屯地なんだ。それで、エヴァシリーズは？」
「それは．．．私も知らない．．．」
「そっか。また、何かの力が働いたんだね。」
「そうみたい。」
「そっか。」
シンジが、辺りを見回す。
「あ、ミサトさん。」
シンジが立ち上がろうとする。
私も立ち上がって、ミサトの脇にしゃがんで、肩を揺らした。
「ミサト？」
「ん．．．」
「ミサトさん？」
「．．．」
ミサトが起き上がり、私とシンジを見た。
「ここは？」
ミサトが辺りを見回す。
「駐屯地．．．そっか．．．とりあえず、助かったのかな？」
そう言って、ミサトが、シンジと私を見る。
「そうみたい。」
ミサトに言った。
「そう。ま、よく分かんないけど、助かったってことで、喜んどきましょうか。」
そう言って、ミサトが微笑んだ。
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モニターのこちら側 Genesis 3:102 完 

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