押し入れからマットレスや敷布、毛布を出して敷いた。
枕を置いて、横になる。
「なんか眠くなるね。」
「そうね。」
横になっていたミサトが言う。
「もう寝るんだ。」
シンジの声がした。
シンジが入り口に立っていた。
「他にすることもないしね。」
そう言ってミサトを見た。
「そういうこと。」
「じゃあ、僕も寝るかな。」
シンジが、押し入れの方に歩き出した。

シンジが私から少し離れたところに布団を敷いて横になった。
「ちょっと涼しくていい感じだね。」
シンジが言う。
「うん。そう。」
シンジの方に顔を向けて言った。
「歯を磨いて、少し寝ようかな。」
シンジが起き上がる。
「けど、夜中に起きちゃうかな．．．ま、いいか。」
そう言って、シンジが、バッグから歯ブラシを取り出して、立ち上がる。
「私も、そうしよう。」
起き上がって、バッグから、歯ブラシとパジャマを取り出して、バッグに入れた。
 

脱衣所

パジャマに着替えて、洗面台に向かって歯を磨いていた。
『いつ来るかな．．．』
『やっぱり、夜中．．．かな．．．』
歯を磨きながら考えていた。
『こなかったりして．．．』
歯ブラシを洗って、うがいをした。
『ないか．．．』
歯ブラシと歯磨きをケースに入れて、バッグに入れた。
 

広間に戻ると、シンジが布団に横になっていた。
ミサトは、パソコンに向かって何か打ち込んでいた。
レイは、何か本を読んでいた。

横になって、毛布をかけると、眠くなった。
『疲れてるかな．．．』
そんな風に思っていた。
 

目が醒めると、部屋の電気が消えていて、皆、横になっていた。
腕時計を見ると、１時を少し過ぎたところだった。
『トイレ行こう。』

トイレに行って、広間に戻ってくると、電気が点いていた。
『．．．来た？』
中を見ると、武装した５人が、シンジ達に手錠をかけていた。
一人が振り向いて私に銃を向ける。
両手を頭の脇に上げた。
一人が近づいてきて、私に手錠をかける。
「どこかに行くの？」
一応、聞いてみた。
「おとなしく付いてきてくれればいい。」
一人が言った。
 

校舎の外に出て、護送車のような車に乗せられた。
密室の中に、シンジ、ミサト、レイ、そして私。
車が動き出す。
「どうなるのかな？」
そう言って、ミサトを見た。
ミサトが首を振る。
沈黙が流れた。

しばらく走った後、トンネルに入り、そして、カーエスカレーターに乗ったような感じがした。
「地下施設があるのかしら。」
ミサトが呟いた。
 

車から出されて、通路をしばらく歩き、ある扉を入ると、以前見た発令所のような場所に出た。
「いらっしゃい。」
声の方を向くと、リツコが立っていた。
「リツコ。」
ミサトが言う。
「久しぶりね。」
リツコが言った。
「あんた、ここで何してんの？」
「この前のことを再現するお手伝い．．．みたいね。」
「みたいねって、それ．．．」
「補完が始まれば、一番好きな人と一緒にいられるみたいだから．．．」
「リツコ．．．」
「そのためには、シンジ君が、一番好きな人を亡くせばいいみたいね。」
リツコが私を見る。
「何言ってるの？リツコ。」
「そういうこと。」
『ふせて！』
頭の中の声にしたがって、体を倒した。

ダン。

銃声がした。
『死ぬの？』

ダン。

次の瞬間、周囲が暗くなって、そして、床の感触が畳になった。
『え？』
目を開けると、さっきまでいたシェルターの広間だった。
『どういうこと？』
起き上がろうとすると、手に手錠がかけられているのが分かった。
なんとか起き上がると、周りにシンジとミサトがいた。

「大丈夫？」
ミサトが言う。
「ええ。けど、これ、どういうこと？」
ミサトに聞いてみた。
「分からないわ。けど、ここに長居しない方がいいのは確かね。まず、手錠外さないと。」
ミサトが、バッグから、ピンを取り出して、私に近づいてきた。
「手出して。」
手を出すと、ピンを手錠の鍵穴に差し込んで、少し動かし始めた。

カチッ。

手錠が外れた。
「アスカ、できたっけ？」
「ええ。」
ピンを借りて、自分の手錠を外した後、ミサトの手錠を外した。
ミサトがシンジの手錠を外している。
「次は？」
「私の車が動くといいんだけど．．．」
ミサトが手錠を外し終えて言った。

シェルターを出て、駐車場に行ってみる。
ミサトが、ランドクルーザーを色々見ている。
「大丈夫そうね。」
運転席で、ミサトが呟く。
「乗って。」
「了解。」
ドアを開けて乗り込んだ。
ランドクルーザーが動き出す。

「さて、どう来るかな。」
ミサトが言う。
「私を殺そうとしたっていうことは、エヴァシリーズ、できてるのかしら。」
「そうかもね。」
「出してくる？」
「そうかもね。けど、そしたら、助からないわ。」
「．．．」
「いや、さっきの力が働くと、なんとかなるかもね。」
「さっきの力？」
「地下施設から、シェルターに移動した力。」
「．．．」
「あれ、使徒の使ってた力よね。」
「．．．」
「誰かが、持ってるのよ。」
「．．．」
沈黙が流れた。

そのとき、ドーンという音とともに、車体が持ち上がるような衝撃が来た。
「何？」
少し走ったところで、ミサトが急ブレーキをかける。
トンネルのあった辺りで土砂崩れが起きて、道がふさがれていた。
「出られなくなったみたいね。」
ミサトが言う。
ミサトが窓から顔を少し出して、空を見上げた。
「エヴァシリーズ．．．」
窓から顔を少し出して、空を見上げると、エヴァシリーズが、あの時のように、上空で旋回していた。

「どう．．．する？」
ミサトに聞いてみた。
「一応、シェルターに入ってみる？入れるかどうか分からないけど。」
ミサトが、投げやりな口調で言う。
「そう．．．ね。」
ランドクルーザーが、来た道を戻りだす。
『私が出ればいいのかな．．．』
フロントライトに浮かび上がる道を見ながら、ふと思った。
 

第壱中学校に戻ってきた。車を降りると、上空には、エヴァシリーズが旋回していた。
「どうする？」
ミサトに聞いてみた。
「まあ、また来るんじゃない？」
「そしたら、シェルターに入ってても仕方ない？」
「けど、外にいても仕方なさそう。生き延びる可能性が高いのは．．．」
「ここにいること？」
「多分ね。」
「そうだよね．．．」
沈黙が流れた。
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モニターのこちら側 Genesis 3:100 完 

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