駐車場に歩きながら、葛城三佐がカメラのモニターを見ている。
「はい。」
葛城三佐がアスカにカメラを渡す。
アスカがモニターを見ている。
「けど、アスカとレイが、こんな風にしてるのって、不思議な感じだわ。」
「そう？」
「そうよ。沖縄でも、こうだったのに、まだ慣れないわ。」
「そう．．．」
アスカが私を見る。
アスカが私にカメラを渡す。
顔を赤くしたアスカが、モニターから私を見ていた。

葛城三佐の車に戻ってきた。
アイドリングの音が聞こえる。
「さ、乗って。」
葛城三佐がドアを開けて言う。
「写真、撮りますか？」
葛城三佐に言った。
「あぁ。ここでは、いいわ。後でね。」
「はい。」
カメラを葛城三佐に渡した。

葛城三佐がドアを閉める。
「いいかい？」
「ええ。」
車が動き始めた。

「次は、どこに行くの？」
アスカが葛城三佐にたずねる。
「とりあえず、途中にある地震観測所の前まで行こうと思ってるけど。」
「ああ、あそこね。」
「その後、どうしようか？」
「鬼押出し園か浅間牧場？」
「ええ。」
加持一尉と葛城三佐が相談している。
「鬼押出し園て？」
「そうねー。要するに浅間山の北側に広がる溶岩群の中を散歩できるところよ。」
「で、浅間牧場は？」
「いわゆる牧場。山羊とか驢馬とかに触ったりできる所。」
「どっちもどっちって感じね。それより、軽井沢でショッピングっていうのは、どう？」
「はーん、加持と？」
「もっちろん。ミサトは、いつも加持さんといるんでしょ？ちょっと、貸してよ。」
「分かったわ。それでいい？」
「ああ。俺は、いいよ。」
「じゃ、軽井沢いきましょ。」
 

１２３０ 軽井沢駅前。
「じゃ、１４００に旧軽ロータリーでいい？」
「ええ。行きましょ、加持さん？」
「ああ。じゃ、葛城、後で。」
「ええ。」
アスカと加持一尉が腕を組んで、駅前から伸びる道を歩いていく。
「レイ、一緒じゃなくてよかったの？」
「ええ。」
「そう。私達は、どこ行こうか？」
「お任せします。」
「一時間半じゃ、それこそウィンドウショッピングか、どこかでお茶する位しか、することないのよね。」
葛城三佐が軽井沢のガイドを見ている。
「お茶か．．．」
葛城三佐が私を見る。
「ちょっと、付き合ってくれる？」
「ええ。」
車が動き出した。
 

１２４５ 万平ホテル駐車場
「着いたわ。」
「ここは？」
「万平ホテル。ま、軽井沢で一番のホテルってとこかな。」
「．．．」
「お茶していきましょ。」
「はい。」
少し歩くと、壁の白と桟の黒のコントラストがきれいな洋風の建物が見えてきた。
中に入る。カフェテリアへ。
「お二人ですか？」
「はい。」
「こちらへ。」

テーブルに水の入ったグラスとメニューが置かれた。
「ご注文、お決まりになりましたら、お呼びください。」

葛城三佐がメニューを見ている。
「アスカ、連れてきたら、喜こびましたね。」
「そうかもね。決まった？」
「葛城三佐は？」
「葛城三佐．．．せめて葛城さんにしない、レイ？できたら、ミサトさんか、ミサトがいいんだけど。」
「はい。ミサトさん。」
「よろしい。私は、シャーベットに、コーヒーかな。」
「じゃ、私は、シャーベットに紅茶。」
「了解。」
葛城三佐が、厨房の方を見て、右手を上げた。

「これ、おいしいですね。」
「でしょ？スグリのシャーベット。結構有名なのよ。冬があったころは、雪の降る中やってきて、ホットチョコレートを飲むのが通だったんだけどね。」
「そうなんですか。」

窓の外を見ていた。
「レイ？」
葛城三佐の声がした。
「はい。」
葛城三佐の方を見る。
「どうして、アスカといるの？」
「．．．」
「普通は、他の人の姿なんでしょ？」
「補完計画が発動した時のこと、知ってるんですね？」
「ええ。」
「．．．」
「．．．」
葛城三佐が私を見ている。
沈黙が流れた。
「一番嫌われていたから。」
葛城三佐の目がみひらかれる。
「！？」
「一番深く関われるから。」
「．．．」
「．．．」
沈黙が流れた。
紅茶を一口。
葛城三佐がコーヒーを飲む。
私は、また、窓の外に視線を移した。

「レイ？」
「はい。」
葛城三佐の方を見た。
「もう一ついい？」
葛城三佐が私を見る。
「ええ。」
葛城三佐を見た。
「あなた、使徒なんでしょ？最初のシ者。今となっては、最初にして最後のシ者。」
葛城三佐が私を見ている。
沈黙が流れた。
「あの時、マギは、私を、パターン青、人間と識別した。」
「そんな事関係ないわ。」
「．．．」
「．．．」
「父の仇。」
「知ってるの。」
「ええ。」
「．．．」
「ＡＴフィールドにのった思考が強かったので。思い出しました。」
「！」
葛城三佐が私を見ている。
沈黙が流れた。
「ま、いいわ。この世界、あなたが作ってるんでしょ？」
「私は、補助しているだけ。」
「加持は、現実の世界には、戻れないし。ま、痛し痒しって、ところかしらね。」
「．．．」

窓の外を見ていた。
「そろそろ、行きましょうか？」
葛城三佐が言う。
葛城三佐の方を見た。
「ええ。」
席を立って、カフェテリアを出た。
「トイレ、寄ってく？」
「はい。」
「えーと。あ、あそこね。」
葛城三佐が歩き出した。後に付いていく。
 

万平ホテル駐車場。１３４０。
「少し時間あるから、ちょっとだけ寄り道しようか。」
「．．．」
「多分、加持とアスカもいるんじゃないかな。」
「．．．」
車が動き出した。
 

１３４５ 軽井沢教会
「やっぱり。」
葛城三佐がドアを開ける。私もドアを開けて、外に出た。
葛城三佐がドアをロックしている。
「加持！アスカ！」
葛城三佐が声をかける。
「ミサト！よく分かったわね。」
「加持のやることなんて、お見通しよ。」
「写真でも撮っていくか、葛城？」
「ええ。」
「じゃ、アスカ、頼むよ。」
「ええ。」

教会の前で腕を組む加持一尉と葛城三佐。
シャッターを押すアスカ。
アスカがモニターを見ている。
「はい。」
アスカが葛城三佐にカメラを渡す。
葛城三佐がモニターを見ている。
「加持？」
葛城三佐の持つカメラのモニターを覗き込む加持一尉。

「レイ？」
アスカが、私を見ていた。
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モニターのこちら側 Genesis 2:4 完 

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