私達の部屋の前。
先輩が鍵を開ける。
先輩が部屋に入る。
私も部屋に入った。
後ろ手で鍵を閉める。
先輩が私を見ていた。
先輩を見つめる。
「先輩．．．」
ドアに寄りかかった。
先輩が唇が私の唇を塞ぐ。先輩の舌が私の舌に絡んだ。

先輩が唇を離す。
「火薬の味．．．」
先輩が呟いた。
「．．．」
先輩を見ていた。
「シャワー浴びようか。」
先輩が言う。
「．．．はい。」
先輩に答えた。

部屋に入った。
先輩が私の帯に手をかけ、帯を解く。
先輩が私の浴衣を脱がせた。
先輩が、私を抱くようにして、ブラジャーを外し、ショーツを下ろす。
私も先輩の浴衣を脱がせ、ブラジャーを外し、ショーツを下ろした。
「先輩．．．」
先輩に抱きつこうとした。
先輩が私の手を取る。
「シャワーの後で。」
先輩が微笑む。
先輩に微笑んだ。

内風呂にお湯をためながら、シャワーを使う。
椅子に腰掛けた私の髪を、先輩が洗っていく。
シャワーで流していく。
シャワーが私の顔を流し、肩、背中、腕、胸、お腹、足を流していく。
「いい？」
目の雫を拭って、目を開けた。
「はい。」
鏡越しに先輩を見た。
「じゃ、お願い。」
椅子から立ちあがった。
先輩が椅子に腰を下ろす。
先輩の髪を軽く洗い、全身を流していく。
「はい。」
先輩が目をこする。
「ありがとう。」
先輩が微笑む。
先輩の耳に唇を近づけた。
「ね．．．先輩．．．」
先輩の胸にシャワーをあてた。
「マヤ．．．」
先輩が呟いた。

．．．

ＲＲＲ．．．ＲＲＲ．．．

電話の音がしてる。

「はい。」

「あ、ごめんね。」

「ええ。ありがとう。」

「マヤ．．．」
肩が揺すられた。
目を開ける。
先輩が見ていた。
「先輩．．．」
先輩が微笑む。
「朝よ。」
「あ．．．」
「クス。かわいい。」
先輩の唇が私の唇に触れた。

羽織に袖を通した。
先輩が電話をかけている。

「レイ？」

「用意できたわ。」

「それじゃ。」

先輩が受話器を置く。
「いい？」
先輩が私を見た。
「はい。」
先輩に微笑んだ。

カラン。コロン。カラン。コロン。

下駄をはいて、道を歩いていく。
硫黄の匂いが流れている。
お店は、ほとんど開いていなかった。
「涼しいですね。」
先輩に話しかけた。
「そうね。ここ、箱根より標高が高いし。」
「昔は、スキー場があったんですよね。」
「そう。あそこの山にね。」
先輩が前方の山を指差す。
木の無い斜面の広がる山があった。
湯田中からの道でも、そういう山を、よく見かけた。
「箱根にもあったんですよね？」
先輩に話しかける。
「駒ヶ岳の頂上にね。」
「スキー、盛んだったんですね。」
「私は、あまりしなかったから、よく分からないけど。」
硫黄の匂いが強くなった。
「そろそろね。」
先輩が呟いた。

少し歩くと、お店が途切れて、湯気の立ち昇る広場に出た。
石造りの柵まで歩いていき、木桶の中を川のように流れるお湯を見ていた。
ふと我に帰り、レイを見た。
レイが、湯気の立ち昇る先を見ていた。

「もうちょっと、歩く？」
先輩が言う。
「何があるんでしたっけ？」
「西ノ河原。１０分位よ。」
「あ、じゃあ、行きましょう？」
「いい？」
先輩がレイを見る。
レイが頷いた。

河原の脇の遊歩道を歩いている。
河原のあちこちから湯気が上がっている。
「面白いところですね。」
「温泉の源泉は、こんな感じのところが多いみたい。」
「そうなんですか。」
「日光にも、こんな感じのところがあるみたいよ。」
「そうなんですか。」
色々調べてるんだ．．．私もがんばらないと．．．

「そろそろ戻りましょうか。」
先輩が言う。
「はい。あっ！」
先輩を見た。
「何？」
先輩が私を見る。
「写真、取りません？」
「そうね。」
先輩が微笑む。
「それじゃ．．．」
辺りを見まわした。平日の朝のせいか、人がいない。
レイを見た。
「ごめん、レイ、撮ってくれる？」
レイが私を見る。
「はい。」
「ありがとう。」
レイにデジカメを渡した。
「先輩。」
先輩の手を取り、遊歩道に並んだ。
レイがデジカメを構える。

カシャ。

シャッター音がした。
「レイ？」
レイに声をかける。
「はい。」
「シャッター切る前に、『はい、チーズ！』とか言ってくれる？」
「はい。」
先輩の右腕を抱えて、先輩の肩に頬を寄せた。
「はい、チーズ！」
デジカメのレンズに微笑んだ。

カシャ。

「ありがとう。」
先輩から手を離し、レイの方に歩いていく。
「ありがとう。」
レイがデジカメを私に渡す。
モニターを見た。
幸せそうに微笑む二人が映っていた。

レイを見た。
「レイも撮ってあげるね。」
レイが私を見る。
「私達が立っていたあたりに立ってくれる？」
「はい。」
レイが私達のいた辺りに立つ。
先輩が私の脇に立っていた。
「はい、チーズ！」
レイが、神秘的な微笑みを浮かべる。

カシャ。

レイが、私達の方に歩いてくる。
「はい。」
レイにデジカメを渡した。
レイがデジカメのモニターを見る。
レイが私を見た。
「ありがとう。」
レイが微笑んだ。
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モニターのこちら側 Genesis 0:19 完 

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