「とりあえず、お風呂に行く？」
先輩が口を開いた。
「露天風呂があるんですよね？」
先輩を見た。
「ええ。」
先輩が私を見る。
「じゃ、早く行きましょう？」
先輩の腕をつかんだ。
「分かったわ。」
先輩が苦笑いする。
「レイも行くでしょ？」
先輩がレイを見る。
「ええ．．．」
レイが私達を見た。
「それじゃ、着替えを用意してきて。あ．．．」
先輩が立ちあがり、作り付けの箪笥の前に腰を下ろし、箪笥を開ける。
先輩が浴衣を取り出した。
先輩がレイの方に体を向け、浴衣を見せる。
「これでよければ、これを持って．．．着てくるといいわ。」
レイが先輩を見る。
「分かりました。」
レイが立ちあがり、部屋を出ていった。

「先輩？」
先輩が私を見る。
「私達も浴衣で行きます？」
「ええ。そうしようかと思って。」
先輩が微笑む。
「分かりました。
　あの、ちょっと、トイレ行ってきますね。」
先輩に言った。
「了解。」

トイレから戻ると、先輩が浴衣に袖を通していた。
私も浴衣を取り出して、着替え始めた。
パンツのホックを外し、チャックを下ろして、Ｔシャツの裾をたくし上げる。
右腕を右の袖から抜き、左腕を左袖から抜いて、首からＴシャツを抜き、軽くたたんで床に置く。
パンツを膝まで下ろし、右足を抜いて、左足を抜き、軽くたたんで床に。
浴衣に袖を通し、前を合わせて、帯紐をまわし、結んだ。
バッグから下着の替えとポーチを出して大きめのポーチに入れ、Ｔシャツとパンツを布の袋に入れて、バッグに入れた。
「お待たせしました。」
先輩を見た。
「下着、いいの？」
「ええ。ちょっと汗をかいたし。」
「そうね。
　レイは、どうしたのかしら。」
先輩が入り口の方を見る。

トントン。

ドアをノックする音がした。
「読まれてるみたいね。」
先輩が苦笑する。
「行きましょうか。」
先輩が私を見た。
「はい。」
先輩に微笑んだ。

ドアを開けると浴衣姿のレイが立っていた。
「レイ、着替えとかは？」
レイに話しかける。
「着替えてきました。」
「そう。」
「じゃ、行きましょう。」
先輩が鍵をかけながら言う。
「「はい。」」
レイと同時に答えた。

階段を降り、曲がりのある廊下を抜けて、フロントの前を通り、大浴場の標識の指す方へ廊下を歩いていく。
「結構遠いですね。」
先輩に言った。
「そうね。
　お風呂だけでも入れるんでしょうね。」
前を見たまま先輩が言う。
「なるほど。」
階段を上がり、廊下を少し歩いて、階段を降りると、ソファーの置かれた少し広い部屋があり、その奥に、大浴場の入り口があった。脇にゲームなどが置かれた部屋があった。
女湯の扉を開けて入る。
広いたたきがあり、左側に暖簾がかかり、一段高くなっていた。
スリッパを脱いで、暖簾をくぐる。脱衣籠とタオル、ロッカーが備えられていた。

３人並んで、脱衣籠の前に立ち、浴衣の帯を解いていく。
浴衣を脱いで、籠に入れる。
ブラジャーのストラップを外して、背中に手を回し、ブラジャーのホックを外して、腕を抜き、浴衣の下に入れる。
パンティーを下ろして、足を抜き、浴衣の下に入れた。
「えーと．．．」
タオルの棚の前に歩いていき、普通のタオルを取った。
先輩とレイもタオルを取る。
「入りましょ？」
先輩が浴場の入り口に歩き始める。
「はい。」
先輩の後を歩きながら答えた。

内風呂を通り抜け、露天風呂に出ると、夕焼けで辺りが赤く染まっていた。

桶にお湯を汲んで足にかける。
「あつっ。」
温泉は、これさえなければ完璧なんだけど。
桶にお湯を汲んで腰から膝にかけた。
熱さにため息をついた。
もう一度桶にお湯を汲んで、息を止めながら、肩からかけた。
「ふー。」
ため息をついた。
湯船に足を入れていく。
ゆっくりと体を沈めた。

３人が湯船の端寄りに少しづつ離れてお湯に浸かっている。

ザバッ。

先輩が立ちあがり、湯船の端に腰を下ろす。

ザバッ。

私も立ちあがり、先輩の隣りに腰を下ろした。
レイも立ちあがって、私達の近くに来て腰を下ろした。
「平和ね。」
先輩が呟く。
「そうですね．．．」
沈黙が流れた。

先輩がお湯の中に入る。
私もそうした。
「あの．．．」
レイの声がした。
「何？」
レイの方を見た。
「まだ、出ないんですか？」
レイが私を見る。
「あ．．．」
レイを見ながら、少し考えた。
「温泉って、お湯に入るのを楽しんだり、お湯に入って病気を治したりするところなの。だから、こうして、のぼせないように出たり入ったりしてお湯に長く入るの。」
「そうなんですか。」
レイが不思議そうな顔をする。
「肩、冷えない？」
レイに聞いた。
「．．．冷えたかもしれません。」
レイがお湯に浸かる。
レイに寄っていって、レイの肩に触れた。
冷たい感触。
「冷えてるよ。風邪引いちゃうから、気をつけてね。」
「はい。」
レイが、そう言ってうつむく。
なんとなく、レイの頬が赤くなっているような気がした。
レイの隣りで夕焼け空を見ていた。

ザバッ。

先輩が湯船の端に腰を下ろす。
ふと思いついて、手で水鉄砲を作り、先輩の顔に水を飛ばした。
「キャッ。」
先輩が悲鳴を上げる。
「まーやー。」
先輩が私を見ながら言う。
「ご、ごめんなさい、先輩。ちょっとした出来心なんです。」
私の顔にお湯がかかった。
「アッ。」
先輩も手で水鉄砲を作って、私の顔に水を飛ばしている。
「や、やめてください、先輩。」
「お返しよ。マヤ。」
「もう、先輩ったらぁ。」
「フフフ。」
「アハハハ。」
思わず、二人で笑っていた。

３人で湯船に浸かっていた。
「そろそろ中で体を洗って出ましょうか。」
先輩が口を開く。
「はい。」
先輩を見た。

３人で湯船を出て内風呂へと歩き出した。

お湯を出して、手に当てながら、少し温度を調節する。
ハンドシャワーで髪を濡らしていく。
シャンプーを手に取り、軽くあわ立てて、髪に伸ばしていく。
地肌を少しマッサージして、軽く流す。
もう一度、シャンプーして、シャンプーの感じがしなくなるまで洗い流した。
リンスを手に取り、髪に伸ばしていく。
軽く流した。
手にボディソープを取り、伸ばして、体を洗っていく。
首。背中。右肩から右手先へ。左肩から左手先。左乳房から右の乳房。お腹、お尻、右足そして、左足。
ハンドシャワーでボディソープを流し、タオルを濡らして、体全体のヌルヌルを落として、もう一度、ハンドシャワーで流した。
「あ。」
タオルを濯いで、体の雫を軽く拭き取り、脱衣所に出た。
脱衣籠から、ポーチを取りだし、洗顔フォームを取り出した。
浴場に戻り、洗い場の椅子に腰を下ろす。
顔を軽く濡らして、洗顔フォームを手に取り、顔に伸ばした。
洗顔フォームをハンドシャワーで流した。

「ね、借りていい？」
先輩の声がした。
「あ、はい。」
先輩に洗顔フォームを渡した。
「ありがと。マヤ。」
「いいえ。」
先輩に微笑んだ。

内風呂に浸かっていると、レイが入ってきた。
そして、先輩も。

「出ましょうか？」
先輩の声がした。
「そうですね。」
そう言って立ちあがった。

バスタオルを巻いて、ドライヤーで髪を乾かしていく。
顔に乳液を塗った。
水を拭き取って、下着を着け、浴衣を着た。

振り返ると、レイが暖簾の脇で待っていた。
先輩が浴衣に手を通していた。
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モニターのこちら側 Genesis 0:16 完 

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