シンジが、更衣室の前の壁にもたれていた。
「それじゃ、お先。」
「ええ。」
女子更衣室のドアが開いて、アスカが出てきた。
「お待たせ。」
アスカが、シンジを見て微笑む。
「うん。」
シンジが、壁にもたれたまま、アスカに微笑む。
「帰らないの？」
アスカが、少し不思議そうな顔でシンジを見る。
「うん。ちょっと綾波に用があるんだ。」
「そう．．．
  先に帰ったほうがいい？」
「．．．
  多分、ここで済むから、カフェテリアで待っててくれる？」
「分かった。」
アスカが歩き出そうとした瞬間に、更衣室のドアが開いた。
レイが、シンジとアスカを見る。
「綾波？」
「何？」
レイが、シンジを見る。
「明日、学校来る？」
「明日は、本部にいると思うわ。」
「そう。じゃあ．．．」
シンジが、鞄を開けて、中から包みを取出す。
「これ。」
「何？」
「バレンタインデーのお返し。」
「．．．ありがとう。」
レイが、微笑んで、包みを受け取る。
レイが、包みを鞄に入れた。
レイが、視線を鞄からシンジに移して、シンジを見つめる。
「碇君．．．」
レイが呟く。
「．．．」
シンジが、レイに近づき、レイと唇を合わせる。
レイの唇が軽く開き、シンジの舌がレイの舌と絡んだ。
シンジが、唇を離す。
レイが、目を開けた。
「綾波．．．」
「．．．」
レイが微笑む。
「僕達、カフェテリアで夕飯食べてくけど、一緒に食べる？」
「．．．」
レイが頷いた。
 

カフェテリア

アスカは、ビーフストロガノフのセット、シンジは、生姜焼きのセット、そしてレイは、野菜サンドを取った。
「食べよう。」
シンジが言う。
「いただきます。」
アスカが言う。
「いただきます。」
レイが呟いた。

「綾波って、あんまり食べないの？」
シンジが言う。
「ええ．．．」
レイが小さく呟いて、シンジをみる。
「そう。」
シンジが、生姜焼きを一切れ、口に入れた。
沈黙が流れた。

「それ、おいしい？」
アスカが口を開く。
「食べてみれば？」
シンジが言う。
「じゃ、一切れ貰うね。」
アスカが、生姜焼きを口に入れる。
「．．．
  ふーん。今度作ってよ。」
「了解。」
シンジが答える。
レイが、二人を見ていた。
 

地下鉄の駅

「それじゃ、さよなら。」
「うん。」
レイが歩いて行く。
アスカとシンジが、レイを見ていた。
「行こう。」
シンジがそう言って歩き出す。

「レイとは、もう、したの？」
アスカが口を開く。
「うん。」
シンジが口を開いた。
「そう。」
「ごめん。」
「何が？」
「見たくなかったでしょ？」
「ああ．．．
  そうね。」
「．．．」
「ちょっと胸が痛かったかな．．．」
「．．．」
シンジが、アスカの手を握った。
沈黙が流れた。

「明日、放課後、マユミとデートだっけ？」
アスカが口を開く。
「うん。」
「そっか．．．」
「ごめん。」
「仕方ないわよ。今日は、急にテストが入っちゃったし。」
「．．．」
沈黙が流れた。
 

葛城邸玄関

シンジが、鍵を開ける。

プシュー。

いつもの音をたてて、ドアが開いた。
ミサトの靴が、脱ぎっぱなしになっていた。
シンジが、ミサトの靴をそろえる。
シンジが、靴を脱いで、スリッパを履く。
シンジが、靴をそろえた。
「アスカ？」
「うん。」
アスカが、靴を脱いで、スリッパを履く。
アスカの靴を、シンジが揃えた。
アスカが、その様子を見ていた。
シンジが、アスカの方を振り向く。
「どうかした？」
シンジが口を開く。
「ううん。なんでも。」
アスカが、小さく微笑んだ。

ダイニングを通って、リビングに入る。
「「ただいま。」」
「おかえりなさい。」
引き戸の向こうから、ミサトの声がした。
「夕飯、食べてきちゃいましたけど．．．」
「うん。私も食べてきたから。」
「分かりました。」
シンジが、アスカを見る。
「お風呂、入る？」
「シャワー浴びてきたからいいわ。」
「そう。」
アスカとシンジが、部屋に歩いていく。
「クッキー、１２時に持っていくから。」
シンジが、部屋の前で言う。
「うん。」
アスカが、シンジを見る。
「じゃ、おやすみ。」
シンジが微笑む。
「おやすみ。」
アスカが微笑んだ。
 

３／１４ ００：０１

「シンジ、遅いな。」
ベッドに横になったまま、アスカが呟く。
「寝てたりして．．．」
そう言って、勢いよく起きあがると、ベッドから降りて、ドアの方に歩き出した。
アスカが、障子を開ける。

シンジが立っていた。

思わず、飛びのくアスカ。
シンジを見て、アスカが、大きく息を吐く。
「あー、びっくりした。」
アスカが、胸を押さえながら言う。
「いつ出てくるかと思って待ってたんだ。」
微笑みながら、シンジが言う。
「あー、そういうこと言うわけ？ バカシンジの癖に。」
「ふふ。ごめん。」
シンジが、笑いながら言う。
「もー、許さないんだから。」
そう言って、アスカが、シンジにヘッドロックをかける。
「や、止めてよ、アスカ。」
「謝らないと止めてあげない。」
「ご、ごめん、アスカ。このとおり。」
シンジが、拝むように手を合わせる。
アスカが、ヘッドロックを外した。
「もう。止めてよね。」
「うん。ごめん。
  それで、これ。」
シンジが、アスカに包みを差し出す。
「うん。ありがと。」
アスカが、包みを受け取り、顔を上げて、シンジを見る。
「ね．．．」
「うん。」
シンジの唇が、アスカの唇を塞いだ。
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赤いリボンと緑のベスト Genesis 0:Ex.2 完

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