アスカとシンジが、学校へと歩いていた。
途中にある本屋の前を通りながら、二人が中を覗く。
マユミが、本を読んでいた。
二人が、中に入っていく。
「マユミ。」
アスカが声をかけた。
「あ、アスカ。碇君。おはよう。」
マユミが本を置く。
「おはよう。」
シンジが、マユミに声をかけ、マユミに近づいた。
シンジが、鞄を開けて、包みを取出す。
「はい。」
シンジが、マユミに包みを差し出した。
「ありがとう。」
マユミが、微笑んで包みを受けとり、鞄の中に入れた。
「じゃ、行こうか。」
シンジが言う。
「はい。」
三人が本屋を出た。

マユミが、アスカに耳打ちする。
「もう貰った？」
「うん。」
アスカが、マユミを見て、言う。
「そう。」
マユミが呟いた。
アスカが、マユミの耳に口を近づける。
「今日、デートでしょ？」
マユミがアスカを見る。
「うん。」
マユミが、はにかみながら微笑んだ。
 

放課後 図書室

マユミが、本を読んでいた。
入り口で、中を見まわして、シンジが、マユミの方に歩いてきた。
「お待たせ。」
マユミが、シンジを見る。
「ううん。」
マユミが、微笑んで、本を閉じた。
「行こうか。」
「はい。」
マユミが、立ちあがった。
 

新新宿 高島屋

ホワイトデーのディスプレイが、そこかしこに飾られていた。
マユミとシンジが、手を繋いで歩いている。
「クッキー、手作りでしょ？」
マユミが、箱詰めされたキャンディーのショーケースを見ながら言う。
「うん。」
「おととい作ったの？」
「そうだけど．．．
  あんまりおいしくなかった？」
「ううん。おいしかったよ。
  アスカが、昨日デートするって言ってたから。」
「ああ。昨日は、３人で本部に行ってたから、デートはできなかったんだ。」
マユミが、シンジを見た。
「．．．」
シンジが、マユミを見る。
「どうかした？」
マユミが、シンジを少し見つめて、そして、前を向いて、少し俯いた。
「何でもない．．．」
シンジが、マユミを少し見つめて、そして、前を向いた。
「そう．．．」
沈黙が流れた。
 

高島屋脇の、線路を見渡せる通路のベンチ

シンジが、マユミの膝の上の箱から、クッキーを取り上げ、口に入れる。
環状７号線内回りが走っていく。
マユミが、箱からクッキーを取り上げ、口に入れた。
「ちょっと砂糖を減らして、蜂蜜を入れると、もっとおいしかったかな。」
シンジが呟く。
「そうかも．．．」
マユミが、シンジを見る。
「けど、おいしいよ。」
シンジがマユミを見る。
「ありがとう。」
シンジが微笑む。
マユミが微笑んで、そして、線路の方に顔を戻した。
シンジが、缶の紅茶を飲む。
沈黙が流れた。

「碇君て．．．」
マユミが口を開く。
シンジが、マユミを見る。
「碇君て、実は、やさしくないのかな？」
マユミが、夕陽が照り返す線路を、目を細めて見ながら呟く。
「そう？」
シンジが、マユミから目を離し、線路の方を見て言う。
「．．．」
マユミが、シンジを見る。
沈黙が流れた。

「昨日、アスカとデートできなかったんでしょう？」
マユミが、シンジを見て言う。
「うん．．．」
シンジが、線路の方を見ながら呟く。
「ねえ。」
シンジが、線路の方を見ていた。
「ねえ、こっち見て。」
マユミが、少し声を荒げる。
シンジが、マユミを見た。
「アスカと一緒に来ればよかったのに。」
「アスカと一緒の方がよかった？」
シンジが言う。
マユミが、口と目を少し開いて、言葉を途切れさせ、そして、口を動かした。
「その方が、アスカも嬉しかったと思う。」
「そう．．．
  ごめん。僕、そういうの鈍いから．．．ごめん。」
シンジが、視線を落とす。
「あ．．．そういう意味じゃなくて。ごめんなさい。」
マユミが、少し慌ててフォローする。
「ううん。ありがとう。」
シンジが、マユミを見て微笑む。
「．．．うん。」
マユミが微笑んだ。

「それ、食べていい？」
シンジが、１つ残ったクッキーを見て言う。
「うん。いいよ。」
マユミが微笑む。
「ありがと。」
シンジが微笑みながら、クッキーを取り上げて、口に運んだ。
線路の方を見ながらクッキーを噛むシンジを、マユミが見ていた。
「ね。」
マユミが口を開く。
シンジが、少し口を動かして、クッキーを飲みこんで、口を開いた。
「何？」
「紅茶、少し貰っていい？」
「いいよ。」
シンジが、缶をマユミに渡す。
「ありがと。」
マユミが、缶紅茶を一口飲んだ。
「はい。」
マユミが、シンジに缶を渡す。
「うん。」
シンジが、缶を受け取り、脇に置いた。

シンジが、缶紅茶を飲み干す。
「そろそろ行こうか。」
シンジが、マユミを見る。
「うん。」
マユミが頷く。
シンジが立ちあがり、マユミに右手を伸ばす。
「山岸さん。」
マユミが微笑む。
マユミがシンジの手を掴んだ。
 

山岸邸玄関前

「それじゃ、今日はありがとう。」
シンジが、微笑みながら言う。
「うん。また明日。」
マユミが微笑む。
シンジが、踵を返し、歩き出そうとする。
「碇君。」
マユミが言う。
「何？」
シンジが振り向く。
「あの．．．」
マユミが、シンジを見て、そして俯いた。
「．．．」
シンジが、マユミに近づく。
「マユミ。」
シンジが、マユミの顎に指を添え、軽く持ち上げる。
「あ．．．」
シンジの唇が、マユミの唇を塞いだ。
シンジの舌がマユミの舌に絡む。
シンジが、唇を離した。
マユミが、目を開ける。
「またね。」
シンジが微笑む。
「うん。」
マユミが微笑んだ。
 

シンジがコンビニの前を歩いていると、レイが中から出てきた。
「綾波！」
レイが、シンジの方を見て、そして微笑んだ。
レイが、シンジの方に近づいて来る。
「今帰り？」
「ええ。」
「そうなんだ。晩御飯買ったの？」
「ええ。」
「そっか。何買ったの？」
「カップラーメンとサラダ。」
「そう．．．よかったら、家でご飯食べていかない？」
レイが、シンジを見る。
シンジが、レイを見ていた。
「いいよ。」
レイが微笑んだ。
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赤いリボンと緑のベスト Genesis 0:Ex.3 完

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