「マユミ。」
アスカが呟いて、マユミの肩に手をかけ、少しづつ倒していく。
ベッドに仰向けになるマユミ。
「アスカ。」
アスカが、マユミの唇に唇を重ねる。
マユミの胸に、アスカの手が触れる。
「ん．．．」
マユミの喉から、小さく声がした。

「アスカ？」
ドアの外で、シンジの声がした。
「何？」
マユミから唇を離して、アスカが言う。
「洗い物、終わったから。」
「了解。」
シンジの足音が離れていった。
「マユミ。」
アスカがマユミを見る。
「アスカ。」
マユミがアスカを見ていた。
アスカの唇がマユミの唇に重なり、そして離れた。
「行こうか。」
アスカが言う。
「うん。」
マユミが呟いた。

アスカがベッドから起き上がり、立ちあがる。
マユミが体を起こした。
「マユミ。」
そう言って、アスカがマユミに手を伸ばす。
マユミが微笑んで、アスカの手を取り、立ちあがった。
 

二人がダイニングに行くと、シンジが椅子にかけていた。
「お待たせ。」
アスカが言う。
「ううん。じゃ、行こうか。」
シンジが微笑みながら、立ちあがった。
 

コンビニで、花火を物色する三人。
「どれにする？」
花火の棚の前にしゃがみこんでいる二人の後ろからシンジが言う。
「どうしようか。」
アスカがマユミに言う。
「うーん。」
マユミが呟く。
「別に一つじゃなくてもいいよ。」
シンジが言う。
「奢り？」
アスカが首をひねって、シンジを見る。
「え？割り勘じゃないの？」
「．．．」
じーっ、とシンジを見るアスカ。
「分かりました。」
諦めたようにため息をつくシンジ。
「あ、私、半分出します。」
マユミが、慌てて言う。
「いや、いいよ。山岸さんに奢るのは。」
「あ．．．ありがとう。」
マユミが、ほんの少し顔を赤らめて俯く。
「あーあ、熱いわね。」
アスカが醒めた目で、花火を見ていた。
沈黙が流れた。

「アスカ、どれがいい？」
シンジが言う。
「マユミには、聞かないの？」
アスカが言う。
「じゃ、山岸さんは？」
「うーん。じゃあ、これ。」
マユミが手持ち花火のセットを取った。
「アスカは？」
「じゃあ、これかな。」
アスカが大きめの打ち上げのセットを取った。
「山岸さん、二つ目とかある？」
「えー。じゃあ、これかな。」
マユミが、ロケット花火のセットを取る。
「あ、私もそれにしようと思ってた。」
アスカが言う。
「ふふ。気が合うね。」
マユミが笑う。
「そうね。」
アスカも笑った。
「ＯＫ。じゃ、それでいこうか。」
「シンジは？」
アスカがシンジを見る。
「あとは、線香花火と鼠花火と煙幕くらいじゃない？」
シンジが棚の下の方に並んでいるのを見ながら言う。
「なるほど。じゃ、適当に取っておくね。」
アスカも棚の下の方を見て言った。
「よろしく。」
アスカが線香花火を一袋取った。
 
 

第３新東京市立砧公園

シュッ。パーンッ。

光が丸く広がった。
「なんか、今一つよね。」
アスカが言う。
「まあ、花火大会の打ち上げみたいにはいかないよ。」
次の打ち上げ花火を立てながら、シンジが答える。
「ああいうのって、簡単に出来ないのかしら。」
「売ってるの見たことないよ。」
「そうねえ。リツコに聞いたら、分かるかしら。」
「そうかもしれないね。けど、手続きとかは、ミサトさんの方が詳しいかも。」
「ああ。そうかもね。」
シンジが火をつけて、花火から離れる。

シュッ。パチパチパチパチパチパチパチパチ。

細かい光が広がり、流れて落ちていった。
 

アスカが、ロケット花火に火をつける。
花火から離れ、シンジの隣りに立った。

ヒューッ。パンッ。

「これって、水平に撃つと面白いのよね。」
アスカがシンジを見て、怪しげな笑いを浮かべる。
「止めようよ。そういうの。」
シンジが、苦笑いしながら言う。
マユミが、空き缶にロケット花火を挿し、火をつける。
マユミが、花火から離れて、シンジの隣りに立った。

ヒューッ。パンッ。

三人が、こぼれ落ちる火の粉を見ていた。
 

マユミが、ドラゴンに火をつける。
花火から離れ、シンジの隣りに立った。

シュー。

噴き上がる白い火の粉に辺りが明るくなった。
「きれいね。」
マユミが呟く。
「そうだね。」
シンジが呟いた。
アスカの顔に光が映っていた。
 

シュルシュルシュルシュルシュル。
「「キャーッ。」」
鼠花火から逃げ回るアスカとマユミ。
辺りには、煙幕の煙が立ちこめている。
パンッ！
「「キャハハハ！」」
はあはあ言いながら、アスカとマユミが笑っている。

アスカが、鼠花火に火をつける。
「シンジ、行くわよ！」
アスカが、サイドスローで、鼠花火をシンジに投げる。
シュルシュルシュルシュルシュル。
空中で音を立てはじめ、加速する鼠花火。
「アスカ！それ、反則だよ！」
シンジが、鼠花火を避けて走り出した。
 

シュー。

手持ち花火が音を立てながら、光の色を変えていく。
緑．．．赤．．．青．．．
「ドラゴンとか、手持ちが、一番いいかもね。」
アスカが呟く。
「そうだね。」
シンジが呟いた。
マユミが、次の花火に火をつけた。
 

チリチリチリチリチリチリ。
ジー。
パチッ。

線香花火が終わった。
「結構、遊べたね。」
シンジが言う。
「そうね。」
アスカが言う。
「うん。楽しかった。」
マユミが言った。
「じゃあ、帰ろうか。」
「そうね。」
「あ、それじゃ、今日はありがとうございました。」
マユミが言う。
「どういたしまして。けど、三人で、山岸さんの家に行こうよ。」
シンジが言う。
「え？」
マユミが、きょとんとした顔になる。
「この面子だと、そうなるわよね。」
アスカが言う。
「あ、そうか。ありがとう。」
マユミが微笑んだ。
 

山岸家 玄関前

「それじゃ、また明日。」
シンジがマユミに言う。
「うん。それじゃ。」
「またね。」
アスカがマユミに言う。
「うん。」
マユミが、家の中に入っていった。
「さ、帰りましょ？」
「そうだね。」
アスカとシンジが歩き出した。
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赤いリボンと緑のベスト Genesis 0:7 完 

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