−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
アスカが、マユミを見る。
マユミがアスカを見た。
マユミが目を閉じる。
アスカの唇が、マユミの唇に重なった。
沈黙が流れた。
アスカの唇が、マユミの唇から離れる。
アスカがマユミを見る。
マユミが目を開いた。
アスカが、視線を床に落とす。
「お茶とか、飲む?」
アスカが呟く。
「え?...うん。」
マユミが答えた。
「じゃ、ちょっと待ってて。」
アスカが立ちあがり、部屋を出ていこうとする。
「あ、アスカ?」
アスカが振り向いて、マユミを見る。
「お手洗い、教えてくれる?」
マユミが言う。
「ああ。じゃ、一緒に行こう。」
アスカが微笑んだ。
アスカとマユミがダイニングを通り、トイレに行く。
「ここだから。」
アスカが言う。
「うん。ありがとう。」
マユミが、トイレに入っていった。
アスカが、トイレの扉を少しの間見ていた。
洗面台で手を洗い、うがいをして、鏡を見るアスカ。
小さくため息をついて、アスカが、ダイニングに出ていった。
アスカが、冷蔵庫を開けて、麦茶の入ったポットを取出す。
コップ立てからコップを2つ取り、麦茶を入れていく。
ポットを冷蔵庫に戻し、コップを持つ。
「ちょっと待ってようかな。」
そう呟いて、コップをテーブルに置き、椅子に腰掛けた。
アコーディオン・カーテンが開き、マユミが出てきた。
「マユミ。」
アスカが言う。
「はい。」
アスカが、麦茶の入ったコップを少し押し出す。
「ありがとう。」
そう言って、マユミが、アスカの向かい側の椅子にかけた。
マユミが、手を伸ばし、コップを引き寄せる。
マユミが、アスカに微笑んだ。
マユミが、麦茶を一口飲む。
「冷たくて、おいしいね。」
微笑みながらマユミが言う。
微笑みながら、アスカがコップに口をつける。
「これ、アスカが作ったの?」
マユミが言う。
「ううん。こういうのは、みんな、シンジがやってるの。もう分かってると思うけど。」
苦笑しながら、アスカが言う。
「そうなんだ。」
そう言って、マユミが視線をテーブルに落とす。
「どうかした?」
アスカが、少し心配そうに言う。
「ううん。別に。」
マユミが、少し作ったような微笑みを浮かべた。
「そう。」
アスカが、視線をテーブルに落として言った。
沈黙が流れた。
「テレビでも、見ようか。」
アスカが言う。
マユミが、アスカを見た。
「それともゲームする?」
アスカが、マユミを見ていた。
「そうだね。」
「じゃ、リビングに行こうか。」
そう言って、アスカが立ちあがる。
マユミも立ちあがった。
ダイニングへの扉を開けるアスカ。
「あ、ところで、宿題やった?」
唐突にマユミが言う。
「え?うーん。宿題は、漢字が難しくて。」
アスカが苦笑しながら答える。
「あ、そっか。けど、だったら、一緒にすればよかったね。」
「そうね。なんだったら、宿題する?」
微笑みながら、アスカが言う。
「それでもいいけど。」
マユミが苦笑しながら言う。
「碇君と、一緒に宿題したりしないの?」
「うーん。私、漢字は苦手だけど、一応、大学出てるから...」
「そっか。」
「...」
沈黙が流れた。
「えーと。」
アスカが、ソファの脇で言う。
「宿題?」
アスカがマユミを見る。
「それでもいいよ。っていうか、問題を読むだけね。」
マユミが微笑む。
「ふふ。ありがと、マユミ。」
アスカが微笑んだ。
「アスカ?」
ドアの外でシンジの声がした。
「何?」
アスカが答える。
「夕飯できたよ。」
「了解。」
シンジの足音が遠ざかる。
アスカが教科書とノートを閉じる。
「行こ?」
アスカがマユミを見た。
「うん。」
マユミが微笑んで立ちあがった。
「碇君と宿題すればいいのに。」
ドアを開けるアスカに、マユミが言う。
「シンジ、とろいんだもん。」
アスカが、少し頬を膨らませながら言う。
「すぐ喧嘩になっちゃうのよ。」
アスカが、少し残念そうな顔になる。
「クス。」
マユミが小さく笑った。
「何よ、もう、他人事だと思って。」
アスカが、拗ねて見せる。
「フフフ。」
マユミが、アスカに微笑んだ。
アスカとマユミが、ダイニングに入ると、カレーピラフとサラダが並んでいた。
アスカとマユミが、椅子に腰を下ろす。
シンジが、コンソメスープのカップを置いて、椅子に腰を下ろす。
「いただきます、ってする?」
シンジが、マユミを見て言う。
「うん。」
マユミが微笑む。
「「「いただきます。」」」
シンジが、トマトを口に入れた。
「この後、何かする?」
シンジが口を開く。
「何かって?」
カレーピラフを口に運ぶ手を止めて、アスカが言う。
「うーん。例えば、花火とか。」
「あ、それいいかも。」
アスカがマユミを見る。
マユミが、口の動きを止めて頷いた。
「じゃあ、山岸さんを送るのも兼ねて、公園ででもしようか。」
「そうね。」
そう言って、アスカが、スープに口をつけた。
「「「ごちそうさま。」」」
シンジが食器を片付けだす。
「あ、私が。」
マユミが言う。
「あ、いいよ。」
シンジが重ねたピラフの皿の上にサラダの皿を重ねていく。
「冷蔵庫に、アイスがあるから、アスカと食べててよ。」
シンジが、マユミを見て微笑む。
「あ...うん。」
アスカが立ちあがって、冷蔵庫から、ブルーベリーのアイスを取出す。
「マユミ。」
アスカが、マユミにアイスを差し出す。
「あ、ありがとう。」
「お客様なんだから、気、使わなくていいわよ。」
アスカが微笑んだ。
「じゃ、私達、部屋にいるから。」
アイスを食べ終わったアスカが、まだ洗い物をしているシンジに言う。
「了解。」
手を動かしながら、シンジが答えた。
アイスの箱と袋、そして棒をくずかごに捨てて、アスカとマユミがダイニングを出ていった。
「なんだか悪いみたい。」
ベッドに腰を下ろして、マユミが言う。
「そうね。」
ベッドに腰を下ろしながら、アスカが言う。
沈黙が流れた。
「マユミ。」
アスカが、マユミを見る。
「...」
マユミがアスカを見た。
アスカが、マユミの唇に唇を重ねる。
マユミが唇を開く。
アスカの舌がマユミの舌に絡んだ。
アスカが唇を離す。
マユミが瞼を開けた。
アスカがマユミを見る。
「甘い。」
マユミが呟く。
「アイスの味がする。」
アスカが呟く。
「アスカ。」
マユミが呟く。
マユミの唇が、アスカの唇を塞いだ。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
赤いリボンと緑のベスト Genesis 0:6 完
赤いリボンと緑のベスト Genesis 0:7へ
Evaメニューに戻る |