「あの．．．アスカ？」
アスカがテレビの方を見る。
「今度の日曜．．．つきあってくれる？」
「．．．分かった。」
シンジが呟いた。
 

ＲＲＲ．．．ＲＲＲ．．．

携帯のオフフックボタンを押すシンジ。
「はい。」
『碇君？』
「あ、山岸さん？」
『うん。今、いい？』
「いいよ。」
『あの、今度の日曜、空いてる？』
「あ．．．ごめん。アスカに買い物付き合ってくれって言われてて．．．」
『そう．．．』
「あの．．．ごめん。」
『ううん。いいの。』
「そう．．．」
『あ．．．うん．．．分かった。』
「ごめん。本当にごめんね。」
『いいの。じゃ、次の日曜に。』
「うん。分かった。行き先考えておくから。」
『ありがとう。』
「ごめんね。山岸さん。」
『うん。大丈夫だから。』
沈黙が流れた。

「あの、山岸さん？」
『何？』
「電話．．．いいの？」
『．．．話さなくてもいいから、繋いでいてくれる？』
「え．．．うん．．．」
『ありがとう。碇君。』
「．．．」
『好き。』
マユミが小さく呟いた。
「え？」
『何でもないの。何でも。』
「そう．．．」
沈黙が流れた。
 

翌日。昼休みの図書室。
マユミが書棚にもたれて本を読んでいた。
「マユミ。」
何時の間にか近づいてきたアスカがマユミに囁く。
「アスカ。」
マユミがアスカを見ながら、本を閉じる。
「どうしたの？」
アスカが呟く。
「うん．．．」
マユミが、そう呟いて、歩き出す。
アスカも歩き出した。
「今度の日曜、碇君と買い物に行くんでしょ？」
マユミが言う。
「え？ええ。」
アスカが答える。
「私、デート断わられちゃった。」
「そう。」
マユミが振りかえって、アスカを見る。
「一緒に行っちゃ、だめ？」
アスカがマユミを見つめ、そして、視線を左下に落とした。
「さびしくなりそうね。私。」
アスカが呟く。
「あ．．．」
マユミが呟く。
沈黙が流れた。

「いいわ。」
アスカが、視線を落したまま、突然呟く。
「え？」
マユミがアスカを見た。
「シンジに、そう言ってみる。」
アスカが、視線を落したまま言う。
「いいの？」
「いいよ。」
アスカが、マユミを見て、言う。
「ごめん。」
マユミが視線を落とした。
「いいの。」
アスカが呟く。
「．．．」
「好きだから。」
アスカが呟いた。
沈黙が流れた。
 

リビングでアスカがテレビを見ていた。
シンジがリビングに入ってくる。
「シンジ？」
アスカがテレビを見たまま言う。
「何？」
シンジが答えた。
「今度の日曜、マユミも一緒に行きたいって。」
「え？」
シンジがアスカを見ながら言う。
アスカがシンジを見る。
「デート断わられたって、マユミに怒られちゃったわ。」
アスカが、少し頬を膨らませながら言う。
「そう。」
シンジが左上の方に視線を投げて言う。
アスカが、少し寂しそうな顔で、それを見ていた。
「それで、いい？」
アスカが言う。
シンジがアスカを見た。
「え？あ、うん。いいよ。」
「そう．．．」
アスカが、少し寂しそうな顔をして、そして、テレビの方に顔を向けた。
「あの．．．アスカはいいの？」
シンジが、アスカの雰囲気に、何かを感じて、慌てて言う。
沈黙が流れた。

「いいに．．．決まってるじゃない．．．」
アスカが呟く。
「そう．．．」
シンジは、そう呟くと、何か、居たたまれないものを感じて、部屋に戻った。

「バカ。」
アスカが呟いた。
 

『ＲＲＲ．．．ＲＲＲ．．．
  はい。』
「山岸さん？」
『あ、碇君？』
「今、いい？」
『ええ。どうしたの？』
「今度の日曜のことだけど。」
『あ．．．だめ？』
「ううん。いいよ。一緒に買い物に行こう。」
『よかった。』
「ははは。待ち合わせ、どこにしようか。」
『碇君が決めて。』
「うーん．．．」
『．．．』
「じゃ、いつもの本屋さんにしようか。」
『うん。時間は？』
「１０時でいい？」
『いいよ。』
「じゃ、日曜日に。」
『はい。楽しみにしてます。』
「うん。」
『それじゃ。』
「それじゃ。」
 

翌日。昼休みの図書館。
マユミが席について、本を読んでいる。
アスカが近づいてきた。
「マユミ。」
アスカが囁く。
本を閉じて、マユミがアスカを見る。
「アスカ。」
「今度の日曜、ＯＫでしょ？」
「うん。」
「よかった。」
アスカが微笑む。
「アスカは、いいの？」
マユミがアスカを見る。
アスカがマユミを見て、そして、窓の方に顔を逸らした。
「．．．」
マユミがアスカを見ていた。
沈黙が流れた。

マユミが机に視線を落とす。
「碇君、知ってるの？」
マユミが呟く。
「知らないんじゃない？」
アスカが窓の方を見たまま呟く。
「そう．．．」
マユミがため息をついた。
沈黙が流れた。

「やだな．．．」
マユミが机を見たまま呟く。
「そうね．．．」
アスカが、顔をそむけたまま、呟いた。
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赤いリボンと緑のベスト Genesis 0:2 完 

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