「あいかわらず、ちらかってるわね。」
ミサトの部屋の床に散らかった服や本、ＣＤを見て、アスカが言う。
「．．．」
マユミが、少し目を開いて、部屋を見まわしていた。
アスカが押し入れを開ける。
「マユミ？」
「何？」
マユミが、アスカを見る。
「ごめん。運んでもらっていいかな．．．」
「あ、うん。」
マユミが、アスカの隣りに来て、敷布団を取り出す。
「ごめんね、マユミ。」
「ううん。」
マユミが、布団をかかえて、足元を覗きながら、歩いていく。
「大丈夫？」
アスカが不安そうに聞く。
「う、うん。大丈夫だから。」
マユミが、部屋を出ていった。
アスカが、マユミの通った辺りを片付け始めた。

マユミが入ってきて、押し入れから毛布を取出す。
アスカも押し入れの前に来て、枕とシーツを取出した。
「これでいいよね。」
アスカがマユミを見る。
「うん。」
マユミが頷く。
「ＯＫ。」
アスカが、押し入れの戸を閉めた。

マユミが、敷布団にシーツをかけていく。
「はい。」
アスカが、枕をマユミに渡す。
「うん。」
マユミが枕をシーツの端に置く。
アスカが、毛布をマユミに渡す。
マユミが、毛布をシーツに広げた。
マユミが、アスカを見る。
「歯、磨こうか。」
アスカが言う。
「うん。」
マユミが頷いた。

二人が、ダイニングからリビングに入ってくる。
「まだ早いから、テレビでも見る？」
アスカが言う。
「うーん。どっちでもいいよ。」
マユミが答える。
「そう。」
マユミがアスカを見る。
「そう言えば、数学の宿題あったよ。」
「そうなんだ。」
「しなくちゃ。」
「了解。」
アスカが苦笑した。

「終了！」
アスカが教科書とノートを閉じる。
マユミが、アスカを見て微笑みながら、教科書とノートを閉じた。
「なんか、疲れちゃったわ。」
「お疲れ様。」
アスカが、教科書とノートを机に載せて、ベッドの上に仰向けになる。
「うーん。」
アスカが、ベッドの上で伸びをする。
アスカが腕を落とし、ため息をついた。
マユミが、教科書とノート、そして眼鏡を鞄に入れて、布団に座り、アスカを見た。
アスカが、目を閉じていた。
「アスカ。」
「ん？」
アスカが、マユミを見る。
「．．．何でもない。」
マユミがアスカを見ている。
「．．．そう。」
アスカが呟いた。
「アスカ。」
マユミが、アスカの顔に顔を近づける。
「マユミ。」
マユミの唇が、アスカの唇を塞いだ。

マユミが、唇を離す。
アスカが目を開いた。
「マユミ。」
アスカが呟く。
「おやすみ。」
マユミが呟く。
「うん。」
アスカが呟いた。

「ね。」
アスカが呟く。
「何？」
マユミが呟く。
「手、繋いでくれる？」
「いいよ。」
マユミが、ベッドにあがって、アスカの隣りに横になり、アスカの手を握った。
「ありがと。」
アスカが目を閉じた。
 

マユミが寝返りをうち、目を開けた。
起きあがって時計を見ると、２時を少し過ぎたところだった。
隣りを見ると、アスカが寝息を立てていた。
静かにベッドから降りると、部屋を出た。

トイレから戻り、アスカの部屋のドアを開けようとして、手を止める。
振り返って、シンジの部屋の戸を見た。
マユミが、シンジの部屋の戸を静かに開ける。
ベッドにシンジが横になっていた。
ゆっくりと部屋の中に歩を進める。
マユミが、ベッドの脇に立ち、シンジを見つめた。

少しして、シンジが寝返りをうち、そして、目を開けた。
シンジが、マユミを見る。
「山岸．．．さん？」
シンジが、不思議そうな顔で、マユミを見上げる。
「碇君．．．」
「どうしたの？」
シンジが、起きあがる。
「え．．．あ、あの．．．」
「．．．」
沈黙が流れた。

「目、醒めちゃった？」
シンジが言う。
「う．．．うん。」
「そう。
  何か、飲む？」
「え．．．うん。」
シンジが起きあがって、マユミの前に立つ。
「じゃ、リビングで待ってて。」
「うん。」
シンジが、部屋を出ていった。
マユミが、引き戸を見ていた。
「．．．」
マユミが、部屋を出た。

「お待たせ。」
シンジが、マユミにカップを差し出す。
「ありがとう。」
マユミが、シンジを見て、カップを受け取りながら言う。
シンジが、マユミの隣りに腰を下ろして、カップに口をつける。
マユミが、シンジを見ていた。
「ね。」
マユミが呟く。
「何？」
シンジがカップから口を離して言う。
「キス．．．しない？」
「．．．」
シンジがカップを置く。
シンジが、マユミを見つめる。
マユミが、目を閉じた。
シンジの唇が、マユミの唇を塞いだ。

シンジが、唇を離す。
マユミが、目を開ける。
マユミが、シンジを抱きしめた。

「碇君。」
マユミが、シンジを抱きしめたまま呟く。
「何？」
シンジが言う。
「続き．．．しない？」
「．．．」
「だめ？」
「いいよ。」
「ありがとう。」
「．．．」

マユミが、シンジから離れ、シンジを見つめる。
「僕の部屋で。」
シンジが言う。
「はい。」
二人が立ちあがった。

シンジが、ベッドに腰を下ろす。
マユミも、ベッドに腰を下ろした。
マユミがシンジの手を握る。
シンジが、マユミを見る。
マユミがシンジを見ていた。
「山岸さん。」
シンジが囁く。
「碇君。」
マユミが目を閉じる。
シンジの唇が、マユミの唇に重なる。
シンジが、マユミの手を握った。
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赤いリボンと緑のベスト Genesis 0:14 完

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