部屋を出ると、アスカがマユミの腕に腕を絡めた。
「アスカ？」
マユミがアスカを見る。
アスカがマユミを見た。
「駄目？」
アスカが、すがるような目つきをする。
「．．．いいよ。」
マユミが、前を見た。

二人がダイニングに入っていくと、シンジがシステムキッチンに立っていた。
シンジが、振り向いて、二人をみる。
「．．．」
一瞬、少し驚いたような表情を浮かべ、そして、普通の表情になった。
「山岸さんの分、もうすぐできるから、ちょっと待ってて。」
「うん。」
アスカが呟いた。
二人が、椅子に腰を下ろした。

「お待たせ。」
シンジが、ハンバーグの載った皿をマユミの前に置く。
「ありがとう。」
マユミが微笑んだ。
シンジが腰を下ろす。
「それじゃ、いただきます。」
「「いただきます。」」
シンジが、コンソメスープに口をつけた。

「いつも、腕、組んだりしてるの？」
シンジが口を開く。
「驚いた？」
アスカが言う。
「ちょっとね。」
シンジが苦笑いする。
「キスもしてるよね？」
アスカがマユミを見る。
マユミが、アスカを見て少し顔を赤くする。
「．．．うん。」
マユミが前を向いて俯く。
「そう．．．」
シンジが、複雑な表情で、二人を見て、視線をテーブルに落とした。

「そうだ。マユミ、今日泊まっていくから。」
アスカが口を開く。
「そう。」
シンジがアスカを見る。
「私の部屋に布団敷けばいいよね？」
アスカがマユミを見る。
「え？ええ。」
マユミがスープのカップを口から離して言う。
「リビングの方がいいんじゃない？」
シンジが言う。
「けど．．．」
アスカが、不満げな視線をシンジに向け、そして、マユミを見た。
「あ．．．うん。私は、アスカの部屋で、いいから．．．」
マユミが、軽く俯いて、上目遣いにシンジを見る。
「あ．．．そっか。
  ごめん。」
シンジが、バツが悪げに俯きながら言った。

「「「ごちそうさまでした。」」」
シンジが、食器をかたしていく。
「冷蔵庫にアイスがあるから、食べててよ。」
シンジが言う。
「うん。」
アスカが立ちあがりながら言う。
マユミも立ちあがった。

「リビングにいるね。」
アスカが、アイスを持って言う。
「うん。」
シンジが、食器をシステムキッチンに運びながら言った。

「いい？」
アスカが、マユミに聞く。
「あ。うん。ありがとう。」
アスカが、マユミの食べたアイスの箱を取り、立ちあがった。
アスカが、箱をゴミ箱に捨て、マユミの隣りに腰を下ろす。
「手、繋いでて、いい？」
アスカが呟く。
「いいよ。」
マユミが呟いた。
「ありがと。」
アスカがマユミの左手を握り、寄りかかった。
「あったかいね。」
アスカが、目を閉じて呟く。
「．．．」
沈黙が流れた。

シンジが、リビングに入ってきて、二人を見て、そして、部屋に歩いていこうとする。
「シンジ？」
アスカが、口を開く。
シンジが立ち止まる。
「何？」
アスカが起きあがり、シンジを見る。
「ね、ここに座らない？」
アスカが、マユミから少し離れ、二人の間を指差す。
「いいけど．．．」
シンジが、いぶかしげな顔をして、歩いてきて、腰を下ろした。
沈黙が流れた。

「あのね．．．」
アスカが呟く。
「．．．」
沈黙が流れた。

「何？」
シンジが言う。
「うん。」
沈黙が流れた。

「キス、しない？」
アスカが呟く。
「え．．．」
シンジが呟く。
シンジが、ゆっくりとアスカを見た。
沈黙が流れた。

「息、止めなくていいから。」
アスカが囁く。
「．．．」
アスカがシンジを見る。
「そのままで、いいから。」
アスカが、目を閉じて、シンジの唇に唇を重ねた。
少しそのままでいて、そして、唇を離した。
アスカが目を開く。
「シンジ．．．」
「．．．」
「今度は、少し、口、開いて．．．」
アスカが、目を閉じて、シンジの唇に唇を重ねる。
アスカの舌が、シンジの歯茎を滑り、シンジの舌と絡んだ。
アスカが唇を離す。
アスカが目を開いた。
「シンジ．．．」
「アスカ．．．」
「ありがと。」
「アスカ．．．」
アスカが、シンジの唇の前に人差し指を立てる。
「マユミともして．．．」
シンジが、アスカを見つめる。
「三人でいたいから。」
「．．．」
シンジが、マユミを見た。
マユミがシンジを見る。
「山岸．．．さん？」
シンジが、少し掠れた声で呟く。
「うん．．．いいよ．．．」
マユミが目を閉じて、少し顔を上げる。
「山岸さん．．．」
シンジの唇が、マユミの唇に重なった。
マユミの唇が開き、シンジの舌がマユミの舌と絡んだ。
シンジが唇を離す。
「碇君．．．」
マユミが俯いて、シンジに抱き付いた。
沈黙が流れた。

しばらくして、マユミがシンジから離れた。
マユミが、シンジを見て、そして、前に向き直り、俯いた。
シンジが、アスカを見る。
アスカが、マユミから、シンジに視線を移した。
「アスカ．．．」
シンジが呟く。
アスカが、右下に視線を逸らす。
「続き．．．する？」
アスカが呟く。
「．．．」
アスカがシンジを見た。
「手首の傷、開いちゃうかな？」
アスカが苦笑いする。
「そうだね。」
シンジも苦笑いした。
「ごめんね、シンジ。」
アスカが申しわけなさそうな顔をする。
「ううん。そんなことないよ。」
シンジが微笑む。
「ありがと。シンジ。」
アスカが微笑む。
「どういたしまして。」
シンジが微笑んだ。

アスカがマユミを見た。
「マユミ、お風呂入るでしょ？」
アスカが言う。
マユミが、アスカを見る。
「うん．．．」
アスカがシンジを見る。
「私達、お風呂入るね。」
アスカが言う。
「了解。」
シンジが微笑んだ。
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