視線の方に振り返る。
「お待たせ。」
「いいえ。」
小首をかしげ、マヤが微笑む。

マヤが椅子から立ち上がる。
「行きましょ。」
マヤに近づきながら言った。
マヤが手を繋いでくる。
マヤを見た。
私の肩に、マヤが頬を寄せる。
「先輩。」

アコーディオンドアを開いて、脱衣所へ。

「マヤ？」
「？」
私の顔を見るマヤ。
「手、離して。」
「あ、はい。」
スカートのチャックを下ろし、ホックを外して、下ろし、足を抜く。
たたんで洗濯物の袋へ。
ブラウスのボタンを外そうとして、ふと、マヤを見た。
マヤが私を見ている。
「？」
マヤが私のブラウスに手を伸ばす。
ボタンを外しはじめた。
マヤが私の背中にまわってブラウスを脱がせ、ブラジャーを外す。
ショーツを下ろして、そして、背中から私の胸に手をまわす。
「マヤ？」
「先輩．．．」
背中から伝わるマヤの鼓動。

マヤの方を向いた。
「今度は、私が脱がせてあげる。」
「．．．」
マヤが私を見つめている。
ジーパンのチャックを下ろし、ボタンをはずして、下ろし、足を抜く。
たたんで洗濯物の袋へ。
Ｔシャツを脱がせ、ショーツを下ろした。
「先輩．．．」
マヤの声がかすれている。
「入りましょ。」
「．．．」
マヤが私を見ている。

湯船に手を入れる。
ちょっとぬるいかな。
少しお湯を出す。
手桶を湯船に入れ、少しお湯を足して、肩からかける。
お尻とお腹、そして足を流してから、湯船に浸かった。

マヤが身体にお湯をかけはじめた。

マヤが私を見ている。
「入る？」
「いえ。」
「そう。いつも、シャワー？」
「ええ。」
「そう。」
沈黙が流れた。
「頭、先に洗うの？」
「はい。」
「そう．．．じゃ、洗ってあげるわ。」
「え？」
湯船から出ながら、言った。
「マットの上に座って。」
「あ、はい。」

シャワーの温度を手で確かめながら調節した。
マヤの髪を濡らして行く。
シャンプーを手に取り、マヤの髪に伸ばし、泡立てて行く。
地膚をやさしくなでながら、髪に泡をなじませて行く。
耳の後ろ、下、耳に泡をなじませて行く。
「流すから、少し頭下げて。」
「はい。」
シャワーの温度を確かめて、優しく流して行く。
後頭部から、えり足、耳、そして、頭の上から前髪。
２度流して、また、シャンプーをなじませていく。

２度流して、リンスをなじませて、そして、軽く流した。
絞ったタオルで軽く拭き取る。
「目、大丈夫？」
「はい。」

マヤが私を見つめる。
「あの、先輩．．．」
「クス。洗ってくれる？」
「はい。」

マットの上に座った。
お湯と共に、マヤの手が私の髪をなでていく。
シャンプーの匂い。マヤの手の感触。地膚から髪、時々耳に触れる手。

リンスを流し、タオルで水を拭き取っていく。

「あの、先輩．．．」
「体も洗ってくれるの？」
「はい。」
「じゃ、あのボディソープで、お願い。」
「はい．．．」
マヤが私の体にお湯をかける。
マヤがボディソープを手にとり、泡立てている。
背中になじませていく。
背中に伸ばしおわると、首、そして、喉。
右肩をすべり、右腕へとなじませていく。
右手のひらが両手で挟まれ、泡立てられて行く。
左肩から左腕、そして左手。
マヤが私の前に回る。
左胸に泡をなじませていく。まず、上から、そして下から持ち上げるように。
そして、右胸。
そして、お腹．．．
「あの．．．」
マヤの前に立った。
そして、足。
背中から、そして前から、マヤが、シャワーで流してくれる。

「ありがとう。」
マヤを見つめた。
「いえ。」
マヤが俯く。
「じゃ、座って。」
マヤの体にお湯をかける。
ボディソープを手にとり、泡立てる。
マヤの背中にボディソープをなじませて行く。
背中から首、右手、左手、胸、お腹．．．
「立って。」
マヤが立ち上がる。
マヤの足に泡をなじませていく。

ボディソープが残らないように、手で確かめながら流していく。
「はい。終わり。」
「．．．」
「あとは、顔、洗わなくちゃ。先洗う？」
「いえ、後でいいです。」
「じゃ、お湯、浸かってて。」
手早く、顔を洗って、髪を軽くシャワーで流した。

「お待たせ。」
「はい。」
マヤが湯船から出る。
私が湯船に入った。
マヤが顔を洗いはじめる。

「ね、一緒に入らない？」
「はい。」

並んで浸かるには少し窮屈だったので、向かい合って入った。
「先輩？」
「なに？」
「．．．なんでもありません。」
「クス。おかしなマヤ。」
「．．．」
頬を赤くしているマヤを見ていた。

「さてと．．．」
そう言って、湯船から出た。
「出ましょう？」
マヤに手を差し出した。
マヤが左手をのせる。

絞ったタオルで軽くお湯を拭き取ってから、浴室から出た。

マヤにバスタオルを渡す。
マヤがバスタオルを持った手を私に伸ばす。
「早く拭いた方がいいわ。湯冷めするわよ。」
そう言って、もう一つのバスタオルで体を拭きはじめた。

「ドライヤー、先に使って。」
頭にタオルを巻きながら言った。
マヤを見ると、私を見ている。
「あ、そうね。」

ドライヤーを手にとり、マヤの髪をブロウしていく。
始め手で、そして、ブラシで髪をとかしていく。
「これでいい？」
「はい。」

「じゃ、お願い。」
「はい。」
マヤが私の髪をブロウしていく。
「これでいいですか？」
「ええ。ありがとう。」

リビングに戻った。

「アイスティー？」
「はい。」
「氷入れるのでいいかしら？」
「はい。」
冷蔵庫から、アイスコーヒーを出しながら言った。
マヤは、ティーバッグを入れたカップにお湯を注いでいる。
冷凍庫から、氷を取り出して、トレイに入れる。
「取ってくれる？」
「はい。」
マヤが氷を４つ入れた。

煙草に火を点ける。
息を深く吸い込み、紫煙を吐き出す。

マヤが私を見ている。
「吸う？」
「あ、いえ、いいです。」
マヤが苦笑する。

マヤを見ながら、アイスコーヒーを飲んだ。

「あの．．．」
マヤが上目遣いに私を見る。
「寝ようか。」
「はい．．．」
消え入るような声。

立ち上がり、マヤに手を差し出す。
「マヤ．．．」
マヤが左手をのせる。
その手に唇をよせ、薬指に舌を滑らせた。
「！」
マヤが肩を震わせる。
マヤを見た。
マヤのうつろな目が私を見つめている。
「マヤ。」
マヤにくちづけた。
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モニターのこちら側 Genesis 0:6 完

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